【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
ヘラクレスンの背中を追ってたどり着いたのは、小さなキッチンだった。ただ純然たる旨味の満ちた暴力的な場所にオレの身体は激しく脈動し、オレの食欲を満たす食べ物を求めている。
「まずはコレを飲むだん」
「コレって、ただの水?」
「良いから飲むだん!」
「お、おう」
オレはテーブルに置かれた水の入ったコップを手に取り、スンスンと匂いを嗅いだ瞬間、異様な喉の乾きに耐えきれず、一気に水を飲み干してしまった。
「なんだ、この枯れていた植物が栄養満点の水を与えられたような。普段、使っていない細胞の一つ一つにエネルギーが行き渡る用や感覚は!?」
身体の痛みや凝りが一気に吹っ飛びやがった。いや、それどころかドフラミンゴの策略で傷ついていた身体が生き返るような満足感を感じる。
「フルボディンが飲んだのは〝エアアクア〟だん。そのまま飲んでも美味しいものを。沸騰させ、ろ過し、一度冷やして純粋な旨味のみ抽出したものだん」
エアアクアって喉越しが世界トップ5の飲み水だよな?と驚きつつ、オレは「ありがとう。これなら満足に戦える」と伝えてキッチンを出ようとした動きを止める。
はあ、こいつは困った。
ここの出口が分からん!!
「少し冷静さを取り戻すだん。エアアクアだけで生き返れるほどお前の傷は浅くない。もっと飯を食って食って食いまくるだん!!」
「分かった。だが、ホントに大丈夫なのか?」
「ここは裏の世界、外とは時間の流れが違うだん。さあ、全身の細胞にエネルギーを蓄えるイメージを行うだん!〝にんにく鳥〟のチキンステーキを食べろ!」
「……ゴクッ……いただきます」
オレはヘラクレスンの言葉を信じて椅子に座り、テーブルに置かれていく料理を食べていく。芳醇な肉汁が噛めば噛むほど溢れだし、パリパリと歯応えのある鶏皮とガーリックの濃厚な香りが口の中に充満する。
うめえ、うめえよぉ…!
「…………一瞬、トリコになりかけた……」
「よくあることだん。次は〝マグロ豚〟の漬け丼と〝かつおペッパー〟で出汁を取ったお味噌汁だん。今度はゆっくりと味わい、その旨味を力に変えることをイメージするだん」
そう言って丼とお椀をテーブルに置き、また料理を始めたヘラクレスンの背中を見つめる。さっきは焦りで分からなかったが、オレより何倍、いや十数倍は強いな。
だが、グルメ食材の恩恵ではない。
ガープ中将やセンゴクさんのように純粋な鍛練によって積み上げ、研鑽し、研磨し、磨き上げてきた強さの頂点に立つ人間だ。
しかし、今は食事に没頭しよう。