【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
世界政府の調査員の取り調べに対してオレは「エレジア事件は、封印されていた〝魔王トットムジカ〟の仕業だ。おそらく本体は眠っているはずだが、封印の綻びを抜けたんだろう」と出来る限りの伝えておいた。
ウタに関しては何も覚えていない事を逆手に取り、トットムジカの出現と同時に吹き飛ばされ、意識を失ってしまったということにしてある。
あの化け物を退けた後───。
呑気に目を覚ましたジャンゴの話によればエレジアを襲った汚名を赤髪海賊団が全て被り、ウタと赤髪海賊団は一時的に離別することになってしまうそうだが、オレとシャンクスによって最悪の結末は無事に変わった。
だが、トットムジカを倒したわけではない。
アレの本体は楽譜でありウタの歌声に呼応するように出現を繰り返して、完全にこの世界に生まれ落ちようとしている。
「次は纏めてブッ飛ばせるように鍛えないとな」
そんなことを呟きながら砕けたメリケンサックの欠片を見つめる。この世界に転生して、東の海の海兵になってからオレの命を守ってくれた最高の相棒だ。
オレが全力で〝武装色の覇気〟を注ぎ込まなければ、このナックルは砕けることはなかったかもしれない。コイツを壊したのはトットムジカじゃなくて、オレだ。
「フルボディ、傷は大丈夫か?」
「赤髪、お前こそ大丈夫なのか」
ズタボロの身体を引きずって、そうオレに話しかけてきたシャンクスに聞き返す。オレは全身の骨にヒビが入り、右腕は完全に折れているが、部下も親友もいるので基本的に困ることはない。
シャンクスは身体中をトゲで貫かれ、大量出血による貧血とトゲで開いた身体中の穴が塞がるのも待たなくちゃいけない状態だ。
今なら赤髪海賊団に勝てると考える輩も出てきそうな雰囲気に、なんともやるせない気持ちになりながらオレは立ち上がり、ナックルの欠片をズボンのポケットに仕舞い込んだ。
「エレジア奪還の協力に感謝する」
「…ああ、こっちも愛娘の救出に感謝する」
そうお互いに敬礼を交わす。
こうしておけば物陰でオレ達の会話を盗み聞きしている世界政府の役人も、そう簡単には赤髪海賊団に手出しすることは出来ないはずだ。
だって、この島を救った立役者のひとりだからな。
「あぁーーっ!シャンクスってば、こんなところにいたの!?」
「なんだ、ウタ。オレを迎えに来てくれたのか?」
シャンクスとウタの会話を聴きながら、ゆっくりと岩石に座り直して、空を見上げる。
「ああ、空が目に沁みやがる……綺麗な空だ」
なんとなく、そう呟いてオレは眠る。
ほんとに、疲れたぜ……。