【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「随分とオレの船で暴れまわったな、海兵」
そう言ってオレを睨み付ける〝黄金帝〟ギルド・テゾーロと値踏みするようにオレを観察する側近と思わしき男女の視線を警戒しておく。
ただ、ギルド・テゾーロの近くにロブ・ルッチやスパンダムの気配は感じない。ここにいるわけじゃないのか?どこか別の場所に閉じ込めている。いや、あるいは身動きを封じるモノを着けている可能性が高いか。
「此処に世界政府の役人は居ないぞ」
「……なんだ、知ってたのか」
「あまり嘗めるなよ、此処は世界最大規模のカジノ船、世界経済30%を越える通貨を牛耳る国の王、それがオレだッ!ギルド・テゾーロだッ!!!」
ミシリと黄金の玉座に座していたギルド・テゾーロは憎悪の滲んだ顔をオレに向ける。どこかで恨まれるようなことしたかと疑問に思うものの、オレと彼は初対面だ。
チラリとジャンゴを見るが「いや、オレも知り合いじゃねえよ」と言い返される。茶豚のオッサンや桃兎の姐さんは違うし、アイボリーは絶対に無関係だ。
そんなことを考えながら謁見を終えたオレ達を出迎えるようにギルド・テゾーロの部下に案内されてホテル区域に向かうカメ車に乗り込もうとした、そのときだった。
殺気を感じて、後ろに振り返る。
「………」
「フルボディさん?」
「……なんでもない。乗るときは気をつけてな」
「はい。ありがとうございます」
嫉妬の感情を察知したような気がするが、オレに嫉妬する様なところはあるのか?とギルド・テゾーロに対する更に疑問を深めることに。
やはりアニメ派だったから記憶に難点があるな。
「ジャンゴ、あとでギルド・テゾーロについて詳しく教えてくれ」
「ああ、任せとけ」
とりあえず、今は観光客として情報収集しよう。
ロブ・ルッチを捕まえる手段を持っているからこそ、オレを自分の間合いに踏み込ませ、オレの様子を見て優位に事を進めよと考えていたし。
「なあ、茶豚のオッサンと桃兎の姐さんの二人は何処に行ったんだ?さっきまでオレ達と一緒にギルド・テゾーロに会ってたよな?」
「そ、そういえば帰る時には居ませんでしたね」
「ふたりはテゾーロの城の中にいるな。たぶん、オレ達と別れてルッチ達を探すつもりなんだろうけど。流石に無謀すぎるぞ、あそこに留まるのは……」
そう言うとジャンゴはコインを取り出して、運転手の目の前に翳す。何も分かっていない運転手は「ワン・ツー・ジャンゴ!」の掛け声と共に催眠術を掛かり、ジャンゴの指示に従ってホテル区域の出入り口で止まった。
「お前らは先に休んでな。こういう派手なところで動けるのはオレくらいだろうし。意外と何とかなりそうな相手も見つけたからな」
「気を付けろよ、ジャンゴ」
「お前も気を付けろよ、フルボディ」
カメ車を降りたジャンゴはダンスホール区域に向かっていく。おそらく情報収集するつもりなのだろう。それよりも〝金獅子〟のシキはどうなっているのかがすごく気になって仕方ない。