【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
その戦いは突如、起こった。
数時間前に邂逅したばかりのフルボディは困惑ぎみに迫り来る黄金の大津波を避け、縦横無尽に放たれる黄金の豪雨を拳圧で叩きつぶす。
「どういうつもりだ、黄金帝…!」
「どうもこうもあるか。オレの城に忍び込んだ挙げ句、根こそぎ金を奪ってカジノに注ぎ込みやがった、あのクソ野郎を何処に隠したァッ!!!」
テゾーロの言葉にフルボディは動きを止めそうになるものの。ロブ・ルッチを救出に向かっていた茶豚と桃兎の作戦だと即座に理解した。
フルボディは静かに「成る程、派手に動きやすくなった。流石だぜ、茶豚のオッサン」と呟き、電伝虫越しにアイボリー達に避難と救助の命令を下す。
しかし、これは茶豚の作戦でも何でもなく実際の理由は〝茶豚〟トキカケは他人の金でギャンブルしたかっただけなのだが、フルボディは都合良く解釈し、無駄にトキカケに対する尊敬度がアップした。
「〝
「なんッ、ぐぅううぅぅっ!!?」
派手なピンク色のスーツを脱ぎ捨て、黄金を纏った右拳を振り抜き、フルボディの身体を大きく後ろに吹き飛ばす。体勢を立て直そうとするフルボディの手足に黄金の枝が絡みつき、無理やり黄金の中に取り込む。
「潰れろオォーーーッ!!!」
怒りのままに叫ぶテゾーロが片手を握り締めると同時にフルボディが埋もれた黄金が一気に圧縮され、メキメキと金属の軋み、歪む音が豪華客船全体に鳴り響き、テゾーロはニタリと勝利を確信し、笑みを浮かべる。
───ゴォン…ゴォンッ…!
────ゴォン…ゴォン……ゴォンッ!!…
────ゴォンッ…ゴォン…ゴォオンッ!
ドゴオォォ─────ンッ!!!!
「死んだらどうする気だッ」
フルボディが黄金を突き破って現れた。
目立った外傷もダメージも見えない存在にテゾーロは苛立ちをぶつけるように黄金の豪雨を解き放つ。不規則に折れて伸びる、尖り、拡がる黄金の攻撃をフルボディは危なげ無く防ぎ、往なし、殴り飛ばす。
「まだだァッ!!!」
「ぐおっ!?やるじゃねえか、コラァ!!」
黄金の総攻撃の間を掻い潜って現れたテゾーロの両拳は黄金の装甲を纏い、フルボディのナックルを越える分厚さと質量を以て彼の身体を僅かに退かせる。しかし、その程度の打撃でフルボディは止まらず、瞬時に黄金の拳を上回る破壊力の込められたパンチで殴り返す。
だが、テゾーロの「ゴルゴルの実」の能力で操っている流動的な黄金の障壁にパンチは阻まれてしまい、グワングワンと黄金は激しく波打ってパンチの破壊力を『グラン・テゾーロ』の外部まで分散していく。
緩やかに解かれた黄金の障壁は再び地面に戻り、ようやく相見えたフルボディはテゾーロの姿に少しばかり大きく目を見開いた。
その姿は紛れもなく
そして、テゾーロの身に纏う聖衣は「
「オレはお前達みたいに幸せになるのが当たり前みてえな成功している転生者が大ッ嫌いなんだ!金も地位も大事な女も全部守れる様なヤツが、オレの国に、オレ達の世界に土足で入ってくるんじゃねえぇッ!!!」
その雄叫びにフルボディの動きが鈍り、眼前に迫り来る黄金の拳を避けることも躱すことも防ぐことも出来ず、無造作に顔面を殴り付けられ、黄金の建造物を突き破りながら双胴船の端で吹き飛ばされた。
まだ、戦いは終わらない。
〈ギルド・テゾーロ〉
〝黄金帝〟ギルド・テゾーロに転生した男
ギルド・テゾーロに成りきっているわけでも転生者としてでもなく本心のまま愛する女性と出会えた。だが、彼の人生は一度として〝原作〟を越えることは出来ず、ただ漠然と未来に起こる劇場版の〝ラスボス〟になるべく絶望の道を歩んできた。