【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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200話、到達!

そして、決着!!


鉃拳(フルボディ)〟対〝黄金帝(テゾーロ)

冷たい海水に身体の半身を沈めながらフルボディは薄れ掛けていた意識を取り戻すと身体を引きずり起こして、未だ動かずに怒りを高め、今も尚、自身を睨み付けるテゾーロの存在を〝見聞色の覇気〟で感じ取っていた。

 

「……確かに、オレの人生は恵まれてる。親友が居て、大事な人が居て、頼りになる先達も後輩もいる。お前みたいに絶望したことなんてない」

 

ゆっくりとフルボディは自分の突き破ってきた建造物の風穴を歩いてテゾーロの待つグラン・テゾーロの中心に戻りながら、ポツリポツリとフルボディは言葉をこぼす。フラッシュバックするように思い出すのは、海兵として歩み続ける自分を慕って、己の信念に、志に集まってくれた最高の仲間達の姿だ。

 

「お前の人生を憐れに思えるほどオレは大層な人間でも超人的な強さを持ってるわけでもねえ……オレの拳は誰かを守るために鍛え上げた信念なんだよ」

 

「何が言いてえんだお前はァ…!!」

 

フルボディの言葉に苛立ちを隠しきれず、テゾーロは黄金を纏う拳を振り抜き、今度こそフルボディの命を断つ攻撃を繰り出した。誰もが黄金の拳がフルボディに直撃したと眼を背けそうになる。

 

だが、ニヤリとフルボディは笑った。

 

「だから、愛ある拳骨でお前を倒してやるッ!」

 

「ぬがあ゛ァ゛ッ!!!!?」

 

黄金と拳骨が衝突する。

 

黒い稲妻を発する二人の拳が同時に弾け、地面を踏み砕いて、追撃のパンチを相手の顔面にめり込ませ、今度は上半身を大きく後ろに仰け反らせる。しかし、確実にダメージを与えているのは黄金と〝武装硬化〟を纏うテゾーロの方のはずだ。

 

───だと言うのに。

 

すべての〝武装硬化〟を解除して、ナックルも嵌めていない拳骨がテゾーロの身体にめり込む度、テゾーロは苦悶の表情を浮かべ、フルボディより僅かに数秒遅く殴り返している。

 

「鋼鉄を上回る黄金の質量を持つ拳が、オレの憎悪が生み出す〝武装色〟が、お前の何にも纏っていないただの拳骨に劣っているはずがねえェッ!!!」

 

テゾーロは血反吐を吐きながらフルボディの頬面にパンチを食い込ませ、血塗れのフルボディに猛然と黄金のラッシュを叩き込み、フルボディを攻め立てる。

 

「ウオオオォオォォォォーーーーーッ!!!」

 

ズガガガガガガガガァ─────ッ!!!!! 

 

この世で唯一出会えた本心から愛する(ひと)を〝抑止力(シナリオ)〟に奪われた男の、この世の全てを怨み、妬み、嫌悪するテゾーロの黄金の拳撃が確実にフルボディの肉体を殴り砕き、黄金の闇の中に押しつぶす。

 

「ハアッ、ハアッ……何故だ、何故倒れないッ」

 

ようやく止んだ黄金の豪雨の中に立っていたフルボディの眼前に片膝を突き、苦しげにテゾーロは乱れた呼吸を整えることも忘れて吼える。

 

「オレは最強だッ!この世の悪に全てを奪われ続けたオレは漸く手に入れたんだ。『ゴルゴルの実』の生み出す黄金で、今度はオレが支配するッ!!そのオレが何もかも持っているお前に見下されなきゃならねえェ…!」

 

悪魔の実。

 

それも『ゴルゴルの実』を十全に使いこなせるステージで圧倒的な優位性を持つ筈の自分が疲れ果てているのに、平然と己を見下ろす血塗れのフルボディにテゾーロは怒りのままに叫ぶ事しか出来ないのだ。

 

「お前の味わった絶望をオレには分からない。だが、こうしてお前の絶望を少しは受け止めて、お前の悲しみを発する相手にはなれる」

 

「なんだッ、なんなんだお前はアァーーッ!!!」

 

「……ああ、そうだな。お前にも改めて名乗ってやる。ごきげんよう、オレは海軍大将フルボディだ。オレの正義に誓ってお前の絶望を纏めて受け止めてやる」

 

あまりにも身勝手な自分の絶望を分かってやれるという言葉に苛立ち、地面を殴り付けて立ち上がったテゾーロの黄金の拳をフルボディ片手で受け止め、ミシリと力強く握り込んだ右拳をテゾーロに叩きつける。

 

その一発一発が確実にテゾーロの身体にめり込み、突き刺さる。ただの拳骨が黄金の拳を越える現実にテゾーロは我武者羅に拳を繰り出す。しかし、パンチが当たってもフルボディは怯まず、瞬時に最適の角度で僅かな数センチの距離だろうと最大火力のパンチを放っていく。

 

「これで終わりにしよう、テゾーロ」

 

「オレは、オレは負けるわけには゛ァ゛ッ!?」

 

フルボディの拳骨がテゾーロの纏う黄金の聖衣を砕き、彼の身体を大きく黄金に照らされた夜空に吹っ飛ばす。テゾーロは己を守るべく黄金を集めようとするが、黄金の輝きが彼を包むことはなかった。

 

「……フル…ボディィィ…!!!」

 

「〝龍拳〟えぇぇぇんっ!!!!」

 

テゾーロの黄金を上回る黄金の龍の輝きを纏って右拳を突き上げるフルボディをグラン・テゾーロに乗っていた人間だけではない、巨人が、魚人が、海軍、海賊、革命軍、世界政府が、あの天竜人でさえも見上げ、その雄々しく咆哮する姿に目を奪われる。

 

「まだだ、まだオレは終わらねえェッ!!!」

 

なけなしの黄金の指輪を盾に作り替えてフルボディの〝龍拳〟を受け止めんと構える。だが、押し寄せる絶大な〝覇気〟に呑み込まれ、彼を縛り付けていた黄金は粉々に砕け散って霧散する。

 

「……あァ……結局、オレの負けか…」

 

ポツリとテゾーロは悔しげに小さく誰かの名前を求めるように囁き、二人の激戦で破壊され尽くした黄金の中に落下し、飛び散る黄金の煙幕に包まれて倒れ伏した。

 

 

 

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