【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
フルボディとジャンゴのコンビによる〝金獅子〟のシキの拠点捜索と同時刻、モンキー・D・ガープもまた彼らと同じように鬱蒼と生い茂る背の高い草を押し退け、何十年も前に感じたことのある〝覇気〟を追っていた。
「おい、そろそろ出てきたらどうじゃ」
海軍精鋭部隊の設営したベースキャンプを離れて約二時間半ほど歩いたところで立ち止まり、ガープは何千に見える木々の間を睨み付け、呟く。
次の瞬間、鈍い輝きを放つものがガープめがけて降り注ぐも彼は避けるどころか外套を脱ぐ動作に〝武装硬化〟を織り交ぜて、降り注ぐ何かを薙ぎ払った。
───投擲物は、手裏剣だ。
しかし、十字の先を斜めに折り曲げ、卍の形に加工された肉を断つ事より肉に食い込み、苦痛を与えることに特化したフォルムの武器にガープは顔を顰める。
「流石は〝海軍の英雄〟でござる、よくぞ某の手裏剣を捌いてみせた」
「ホントに誰じゃお前えぇっ!!?」
「某の名は風影、ワノ国よりシキ殿の手助けをするために参った百獣海賊団の忍びにござる。さあさあ、某と勝負でござる!!!」
些か忍者とは思えないほど大胆に現れた風影と名乗る男にガープは珍しく戸惑いつつ、ワノ国という言葉に直ぐに顔付きに変わり〝武装硬化〟した両拳を握り固める。
「今回の騒動どうにもキナ臭いと思えばカイドウのヤツめ。シキが繋がっとるなぞワシでも想像すらしとらんかったぞッ」
「───故に、ガープ殿。お主には我が主君カイドウの野望のためにこの場で死んで頂くでござる!」
「ぬおっ!?」
カイドウも関与している事実に面倒臭さと大規模すぎる作戦に顔を歪めるガープに向かって、風影は百を越える手裏剣を投げつける。速度も軌道も変則的な手裏剣に硬化した腕を振るい、ガープは手裏剣を弾き、往なし、叩き落とす。
「〝超忍法・舞獅子〟ッ!!」
「なにッ、忍法じゃとおぉ!!!?」
風影は素早く両手を組み合わせ、技の名を叫ぶ。
その姿にガープは思わず両目をキラキラと輝かせて風影を見上げたその瞬間、風影の身体は左右に一人ずつ、更に二人ずつ、と、数を増やして風影は増殖する。
「「「いざや死合おうぞ!!」」」
「分身の術じゃな!ワシは詳しいぞ!!」
合計七人に増えた風影は背中に背負う刀を抜き、〝六式〟の〝剃〟や〝月歩〟に酷似した動きを繰り返し、ガープに上下左右前後の四方八方から斬りかかり、すれ違いざまに薄皮を斬って、素早く木々の背後や合間を目にも止まらぬ速さで移動し、ガープの常人離れした視界の有利を潰して、彼の行き先も退路も閉ざす。
「邪ァッ!!!」
「ヌンッ!!」
ほとんど地面と接触するほど超低空姿勢の姿でガープに急接近してきた風影は刺突を放つ。が、ガープの振り下ろす拳骨は生半可な武具では防ぐことは出来ず、地面を抉り、風影の一人を浮き島の外まで殴り落とした。
年老いて尚も強さを増す拳骨の破壊力に風影は姿を隠したまま冷や汗を流しながら、ガープの頭上を取って素早く両手を組み合わせる。
「〝超忍法・影の舞〟ッ!!!」
「ぬうぅぅっ、ヤミヤミの実か!?」
その言葉と共にガープは影の中に取り込まれ、六人の風影の繰り出す怒涛の攻撃を受け止め、弾きあげ、無理やり〝影の舞〟を吹き飛ばした。
ガープは『ヤミヤミの実』と勘違いしそうになるが、すぐに意識を切り替えて木々にぶつかり、掻き消えた分身の中に紛れていた風影の本体に近付く。
「ぐうっ、某としたことが…!」
「ワシって忍者見るのは初めてなんじゃが、お主は中々に強かったぞ。どうじゃ?カイドウのところなんぞ止めて、ワシのところに来んか?」
「やっぱり、ガープ殿は優しいでござるな。しかし、某の主君はカイドウのみ。例え犬死にしようとも某の意思は変わらぬ!!!」
ボフンッ!と煙幕を起こして逃げる風影の背中を眺めつつ、ガープは静かに「ワシも忍者に主君とか呼ばれてみたいのぉ……」とか童心に帰って呟いていた。
〈風影〉
オロチ御庭番〝風影〟に転生した男
光月スキヤキ時代よりワノ国に将軍に仕える忍び。他の御庭番が軒並み〝黒炭オロチ〟に仕えることを選ぶ中、己の全てを捧げるべき主君はカイドウただ一人だと宣言して御庭番を離反した。
忍者っぽいことは大体できる。また、ワノ国にいる普段はカイドウの子女ヤマトのお目付け役として護衛および見張り番という立場を与えられている。
〈超忍法・舞獅子〉
出典・忍風戦隊ハリケンジャー
ハリケンイエローの必殺技
風神エネルギー「ゆらぎ」を利用して、物質化した分身と共に攻撃を繰り出す。さらに〝覇気〟の強さも加わって凄まじい効力を発揮する。
〈超忍法・影の舞〉
出典・忍風戦隊ハリケンジャー
地球忍者の必殺技
特殊な空間を作り出して相手を攻撃する。舞獅子による多段攻撃も加われば絶対必中の奥義足り得るが、ガープには通じなかった。