【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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ごきげんよう、ルフィくん

オレはフーシャ村に来ている。

 

その理由はシンプルにガープ中将に捕まって、そのままジャンゴと部下諸とも道連れにしたからだ。部下には「いきなり抱きつかないでください」と怒られ、ジャンゴには「オレのヒゲを掴むなバカ野郎!」とチャクラムを投げつけられた。

 

だいたいガープ中将のせいなんだけどな。

 

そんなことを考えながら海楼石のメリケンサックではなく、部下の用意してくれた鋼鉄のナックルを眺める。オレの使っていた大幅なメリケンサックを真似て作ったモノだそうだが、手に馴染む事はない。

 

「このままじゃ〝鉄拳〟じゃなくて〝拳骨のフルボディ〟になっちまう」

 

「なんじゃフルボディ、ワシとおんなじ異名はイヤと言うつもりか」

 

「別にガープ中将と同じ異名になる事には不満はないんです。でもオレは〝鉄拳のフルボディ〟という異名を気に入っているんです」

 

だって、この異名はフルボディに転生して、ようやく本物の彼に辿り着いた証だ。たとえオレの独り善がりだとしても、この異名はオレの誇りだ。

 

「まあ、ワシも自分の異名は気に入っとる。最近の若いヤツは〝海軍の英雄〟という上辺ばかりで、ワシの昔ながらの異名を知っているのはもう昔馴染みか、弟子の数人だけじゃ……」

 

そう言うとガープ中将はフーシャ村の見える山道の半ばで懐かしむように穏やかな大海原を眺めている。ジャンゴは彼の人生の大半は原作の知識として、この世界の事情を多く知っているけど。

 

ONE PIECE原作に関する知識を殆ど忘れているオレにとって、ガープ中将はオレの知らない時代を駆け抜けてきた強くてカッコいい誇り高き海兵だ───。

 

「フルボディ、ワシの孫が海兵になったらお前のところで鍛えてやってくれ」

 

「はっ!」

 

彼の言葉にオレは敬礼で返事を返す。

 

いつだって戦い抜いた男はカッコいいのだ。

 

「ゲエェーーッ、じいちゃん!?」

 

「コリャアアァッ!実の祖父に向かって『ゲエェーーッ』とはなんじゃ、ルフィイィィーーーーっ!!!」

 

「ギャアァーーーーッ!!!?」

 

大木の上に立っていた麦わら帽子の少年モンキー・D・ルフィにオレはもう忘れかけていた前世の記憶を少しだけ思い出した。何度も漫画で、テレビで、DVDで、彼の声を聞いて泣いて笑って感動した。

 

ああ、すごく懐かしい記憶だ。

 

「いてえぇ、ゲンコツは止めろよぉ!」

 

「フン!お前は海兵になるんじゃ、これぐらいで泣き言を言っとる場合か!それよりワシの連れてきた、この男に挨拶せい!」

 

二人の会話を聞きながら背中を押されて、オレの足元にやって来た主人公にオレは視線を合わせるために、ゆっくりと怖がらせないようにしゃがみ込み、しっかりと彼と目線を合わせる。

 

「……オッサン、だれだ?」

 

「ごきげんよう、ルフィくん。オレは東の海で活動している海兵のフルボディだ。君の話はよくガープ中将……君のお祖父さんから聞いているよ」

 

「フーン、オッサンはフルボディっていうのか。オレはルフィ、モンキー・D・ルフィ!これから海賊になる男だ!!」

 

「お前は海兵になるんじゃ、バカモンが!!」

 

「ギャアァーッ!?いでえぇー!!!」

 

ルフィは「これから海賊になる男だ」と自己紹介してくれた次の瞬間、またガープ中将に拳骨を叩き込まれて、森の中に逃げていった。

 

 

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