【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝神髄解禁〟

「カアァァッ!!」

 

「グウゥゥッ!?」

 

攻める。往なす。攻める。弾く。攻める。逸らす。

 

キングデューの繰り出すラッシュを受けきれずに後退を余儀無くされるフルボディの骨肉を軋ませ、音速を越える速度で投げ放たれた鉄球がごとき拳の衝撃が彼の頑強な筋肉に守られた内臓を圧し潰す。

 

「お前の強さはこんなもんじゃねえだろォッ!!もっとだ、もっと全力を振り絞ってやり返して来いよ、フルボディイィィーーーッ!!!」

 

「イチイチ騒ぐんじゃねえエェッ!!!」

 

「クカカカッ!!!」

 

狂喜の相貌を発露して吼えるキングデューの繰り出す右フックを躱して、フルボディは左フックを合わせてカウンターを狙い、バギャッ!と彼の拳はキングデューの側頭部を的確に撃ち抜き、捉える。

 

それでも尚、キングデューは止まらない。

 

この二年間の年月を費やして強くなったのはフルボディだけに非ず、キングデューもまた死闘を重ね、己の拳を鍛え上げることに費やしてきた。

 

二人の実力の差は拮抗している。

 

故にキングデューの正拳以外のチョップや抜き手など多様性を加えた手形を交えた攻撃に、フルボディは防御の間合いを見誤り、フルボディの放つ打撃をキングデューは敢えて(・・・)受けきり、受け返しているのだ。

 

「ルォアッ!!」

 

「グッ、ガハァッ!?」

 

ガードごと押し潰すカチ上げ掌底を受けて、フルボディの身体は浮き上がったところを寸分違わず、正確無比な右正拳突きで殴り飛ばした。

 

「はあっ、はあ、クソが殴られ覚悟の頭突きかよ」

 

荒々しく呼吸を乱しながらもキングデューはフルボディがカウンターぎみに繰り出した頭突きによって肉の裂けた血まみれの顔を手甲で拭った。

 

「あの時はパンチに固執して、お前の拳に僅かに競り負けたがなァ…オレの本来の戦い方は此方だ。オヤジを、家族を、大事なモノを守るためにオレは〝鋼の拳〟を手に入れた。だから分かる、テメーにもあるんだろ(・・・・・・・・・・)?他のヤツに隠してる『奥の手』が……

 

そう言って地面に倒れ伏すフルボディは自身を見下ろすキングデューの言葉に答えることなく、ゆっくりと立ち上がって鮮血に染まったワイシャツを脱いだ。

 

「……確かに、オレも『奥の手』は持っている。だが、決してお前や仲間を騙しているつもりはない、況してや自分の強さに慢心し驕った事もない。シンプルに使いたくないだけなんだ」

 

フルボディは緩やかに両腕を上げて構える。

 

しかし、数秒前のフルボディのボクシングのオーソドックスだった構えより、やや前傾姿勢のフォームにキングデューはニヤリと笑みを深める。

 

「最終ラウンドを始めようぜェッ!!」

 

常人の動体視力では追いきれないスピードで駆け出したキングデューに対して、フルボディは静かに構えたまま左腕を腰に溜めて、後ろに引く。

 

即座にキングデューは繰り出される攻撃予測を開始する。正拳、否。フック、否。アッパー、否ッ!!そのどれにも該当しない攻撃が、フルボディから『奥の手』が放たれた。

 

刹那、キングデューの巨体が上に弾ける。

 

「~~~ッッッ!!!?(なんだ!?何を受けたッ、なんでオレの身体が上に弾かれてんだッ……!?)」

 

「悪いな」

 

突然の出来事に困惑するキングデューの隙を見逃すほどフルボディは甘くない。慌ててガードを固めるキングデューの目に映ったフルボディの『奥の手』────。

 

肘、膝、脚、拳、四種混合の打撃の極致。

 

全ての打撃に適した部位を超加速的に連動させ、キングデューに反撃の猶予すら与えずにフルボディは暴風雨のごときラッシュを繰り出して攻める。

 

「グガァーーーッ!!!!?」

 

「コイツで終わりだ」

 

カコン……と。

 

フルボディは軽く顎を振り抜いてキングデューの意識を完全に刈り取った。フルボディの強さは拳による打撃のみに非ず、全局面に対応する打撃の総合こそ彼の真の姿であり、格闘者たる彼の本性だ。

 

「次に戦るときは(コイツ)だけで勝負しようぜ」

 

そう言い残してフルボディは〝金獅子〟のシキを探すために再び捜索を再開する。そのついでにジャンゴの回収、グルメ食材の調達を考えている。

 

 

 

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