【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝拳骨〟対〝金獅子〟

その戦いは正しく自然災害だった。

 

シキの振り抜く剣足が屋敷の壁や床を微塵切りに刻み、ガープと振り上げた渾身の右拳が『フワフワの実』の効果を身体に纏い、羽毛の様に軽くなったシキの身体をカチ上げ、建物の屋根消し飛ばす。

 

「おいおい。衰えて、その威力かァッ!!」

 

歓喜の雄叫びを上げ、シキは右の剣足を振るう。上段の廻し蹴り───いや、瞬時に蹴りの軌道を〝縦〟の軌道に変化させ、ガープの脳天を狙って剣足を振り落とす。が、ガープは拝むように両手のひらを叩き合わせ、シキの剣足を受け止める。

 

いわゆる、真剣白刃取りだ。

 

「お前こそ全盛期よりかなり衰えとるクセに随分と足癖が悪化しとるようじゃなァ…!」

 

「ジハハハハッ!!テメェもイケイケだったあの頃なら今の蹴りは受け止めずに殴り返していたじゃねえか。随分と小手先の技を覚えたもんだぜッ!!!」

 

ミシミシと剣足を掴んだガープと剣足を振り落とそうとするシキの動きが膠着したかに見えたが、シキは浮遊する身体に捻りを加えて、水平に身体を倒しながら横薙ぎの一閃を繰り出す。

 

両腕を交差させて受けの姿勢を取ったガープは剣足と腕がぶつかる刹那、凄まじい速度で剣先を、まるでバレーボールの球を弾くように真上に殴り上げ、斬擊の衝撃波を力任せに逸らした。

 

「ヌェリアッ!!」

 

透かさずガープは万歳するように上げていた両腕をハンマーを振るうがごとくシキに叩き込む。しかし、ガープの両腕は空振りに終わり、キンと地面に刺さる金属音がガープの頭上で聴こえる。

 

「危うく頭蓋を潰されるところだったぜ…!」

 

「フン。そのつもりだったわい!」

 

ガープは逆さまの状態で立ったまま軽口をこぼすシキに文句を言い、自由に姿勢や体勢を変えて剣足を振るうシキの動きに攻めあぐねている。が、蹴りの軌道や攻撃範囲は手技に比べてしまえば狭く軌道も読みやすい、ガープは致命傷どころか掠り傷すら負っていない。

 

「〝斬波〟ッ!!」

 

「〝飛ぶ斬擊〟と〝乱脚〟の複合技か!?」

 

「ジハハハハ。まだまだ続くぞ、この〝剣の雨〟はよォッ!!半径四キロ圏内に降り注ぎ、あらゆるものを斬り裂く怒涛の村雨だッ!」

 

そう言い放った瞬間、空を裂く轟音と共に可視化する程に多く、豪雨のごとき〝飛ぶ斬擊〟がガープに向かって降り注ぎ始める。

 

「〝拳骨連星(ギャラクシー・パルサー)〟ッ!!」

 

迫り来る剣の雨に対して、ガープは背中を地面に預けるなり、右手の四本の指を親指で押さえつけ、ギリギリと力を籠めるように突き出して構える。

 

親指の留め金が四本の指に弾かれ、四本の指が跳ねる。それと同時に剣の雨が搔き消され、四つの衝撃波は広範囲に向かって拡散する。

 

「相変わらずデタラメな野郎だなァ…!」

 

「ブワァーッハッハッハッ!!お前の攻撃をまともに受けてやる道理はない!それに、ここにはフルボディをはじめとした部下もおる。そう簡単に斬擊の雨なぞ降らせるわけないじゃろう!!」

 

ガープが行ったのは、ただ親指で押さえた四本の指で放つデコピンである。しかし、ガープの鍛え上げた世界最強の拳骨に加圧された強さが加われば、千の雨だろうと、万の雨だろうと、覆せない道理は無い。

 

緩やかに降りてきたシキと向かい合い、ガープは老骨の衰えすらも忘れるほど滾る血潮の熱に流されるがまま拳骨を握り締めて構える。

 

「この白髪爺がッ!!!」

 

「そっちはハゲ爺じゃけどなッ!」

 

「ぐうっ!?」

 

お互いを罵る口論の末にシキはダメージを受け、またも大きく高らかに響き渡る声で笑うガープの拳骨を顔面にめり込ませ、地面の上を滑るように吹き飛ぶ。

 

 

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