【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「ようやく見つけたぞ、待てッ!!」
ズカズカと大股で迫り来る赤髪と毛皮のマフラーを首に巻き付けた男の放つ〝覇王色の覇気〟に身体が竦み、今すぐ意識を手放そうとする本能を押さえつけ、オレは身体を翻して全速力の〝剃〟を駆使して逃げ出す。
「ジャハハハッ!誰かと思えばキュートな鼻がチャームポイントだったお嬢ちゃんの兄貴じゃねえか!また今度デートしてくれって伝えてくれよ!」
「殺す!オレの妹に近付く害虫がァッ!!」
「オレは無関係っ!ホントに無関係だぞ!?」
「ソイツといる時点で同罪だ。〝モチ突〟ッ!!」
「ジャンゴは殺らせねえ!〝魚人空手〟ッ!!」
ホーディはオレの事を庇うように駆け寄って来るなり、高速回転する三又の槍を回し受けで弾き、素早く正確な踏み込みと同時に正拳を放った。
変態のクセにオレより強いんだよな…。
「オレの拳を受け止めただと!?」
しかし、ホーディの繰り出した右の正拳突きは赤髪の男にぶつかる瞬間、まるで吸い込まれるように男の手のひらに掴まれた。
「生身の人間なら一撃だろうがオレの身体に魚人空手は通じん。オレの妹に色目を使った報いを受けるがいい〝角モチ〟ッ!!」
「グホアァッ!?」
ズガガガガガ─────ッ!!!
赤髪の男は四角く変形した両腕を振るい、ホーディの事を殴り付ける。その圧倒的な強さと風格に、ようやくオレは彼の名前を思い出した。
「シャーロット・カタクリ…!」
そう、無敵のお兄ちゃんだ。
「オレに催眠術は効かん。この魚人を置いていけばお前を見逃してやろうかと思ったが、魚人より先にお前を潰しておけば簡単そうだ!」
「またかよ、クソがっ!」
「ジャハハハ。モテモテだな、ジャンゴ!」
「お前のせいだよバカ野郎!!?」
「〝柳モチ〟!」
無数の降り注ぐモチの槍をチャクラムで切り裂き、なんとか直撃を避けるように移動しながら万国の建造物を盾に使って逃げる。だが、シャーロット・カタクリは当たり前のようにオレとホーディの先々に回り込み、攻撃を仕掛けてきやがる。
クソ、やっぱり〝見聞色の覇気〟の熟練度が違いすぎる。オレが四秒、五秒、先を見えてもアイツはその数倍以上の未来を認識している。
「潰れろ!」
「〝魚人空手〟───〝腹下し蹴り〟ッ!!ジャンゴ、こういうときは無駄に考えるより兎に角当たって砕けろだろ!!」
巨大なモチの手を振り抜くシャーロット・カタクリの攻撃よりも速く彼の懐に飛び込み、ホーディが強烈な鳩尾を狙った蹴りを放つ。
「……だあああぁぁぁぁっ!!!死んだら恨むからな、この変態サメ男がよオォッ!!」
ホーディの叫びに頭を掻き毟り、オレはソフトハットを投げ捨ててフルボディのように自分より強くて強敵をブッ倒すために駆け出す。