【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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ハニー大作戦を決行する!!!

「チッ、見失ったか…!」

 

ズカズカと歩くシャーロット・カタクリは木々の間を通り抜けようとした時、ふと視界に入り込んだ違和感の存在に視線を向けてしまった。

 

その魚人はドロリとした粘着性の強い液体『ハチミツ』を全身に纏い、両手を左右に伸ばして、片足を僅かに持ち上げ、己の全身を駆使して「T」の字を描いていた。

 

「オレはハチミツの妖精、はっちみー!」

 

そんな異様な存在にカタクリの思考は思わず、数秒ほど無防備に停止した。

 

「(な、なんだあれは?何故、アイツは全身にハチミツを塗りたくって……ふざけているのか?し、しかし、あの真剣な顔付きは自分の隠蔽に絶対の自信を持っている…!)」

 

ベタベタと地面にハチミツを垂らし続けるホーディにカタクリは気圧され、どうしたものかと真剣に考え始める。どうにか意識を外に動かさなければいけない。

 

だが、今のホーディはハチミツの妖精なのだ。

 

「……落ち着け、クールになるんだ」

 

ゆっくりと深呼吸を繰り返しながらカタクリはホーディから視線を外すように身体を背ける。そこにいたのは、木々の顔にサングラスを引っ掛ける。

 

「ウ~ン、これじゃないんだよな」

 

そんなことを呟くジャンゴがいた。

 

「(お前もかあぁぁぁぁっ!!?)」

 

冷静沈着な男ほど予想外のアクシデントには弱い。カタクリは自分の手を画角に例えてサングラスの位置とサイズ、レンズやフレームの形状を変えるバカに思わず叫びそうになるのを堪える。

 

楽しげに歌う草花と奇行を繰り返す侵入者の騒ぎに段々と意識を支配され始めるカタクリの耳に「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」と心配そうに自分の事を呼ぶ妹の声が響き、ソッと手鏡を覗いた。

 

「どうした、ブリュレ…!」

 

「レザンが可笑しくなっちゃったの!!」

 

「バカなッ!?レザンはオレに次ぐ実力者だぞ!」

 

そう言って鏡の中に映っているものが変わり、カタクリの視界を支配したのは人面樹に燃えるタバコを押し付け、マヨネーズを飲む弟の姿があった。

 

『あのクソ魚人野郎、母さんにデートしてくれってなんてほざきやがるからオレに皺寄せが来たじゃねえか。70歳間近の母さんの恋愛観なんぞ分かるかよ、ちくしょう!!!』

 

「レザン!?レザン!!?」

 

普段の真剣さや真面目さは鳴りを潜めて、悪態を吐く弟の姿にカタクリは叫んでしまう。だが、意図的にカタクリの声は遮っているのか、彼の声がレザンに届くことはない。

 

「……帰るか……」

 

ビッグ・マム海賊団最強の戦士は静かに呟く。

 

無敗の男、シャーロット・カタクリ。

 

だが、彼の壮絶な受難の人生はまだ始まったばかり…!

 

 

 

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