【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
今、オレの目の前に義兄弟が存在している!
オレの記憶に残っているポートガス・D・エースとサボの二人は再会することなく永遠の別れを告げることもできず、サカズキ大将によって惨い最後を迎えることを知っているのはオレだけだ。
戦闘力に関してはドラゴンボール並みにインフレに凄まじい成長を続けているフルボディには追い付けず、トットムジカの時も爆風で飛ばされながら、辛うじてフルボディに『お前の攻撃は絶対に当たる』という催眠術を掛けることしか出来なかった。
ほんとうに不甲斐ない。
よくもまあ、こんな体たらくでアイツの親友を名乗っているものだ。そんなことを考えながらオレは自分の弱さに失笑し、まともに〝覇気〟すら使えない自分を責めてしまう。
「ジャンゴ氏、どうしたんですか?」
「……ああ、嬢ちゃんか。悪いな」
オレは猛獣に身ぐるみを剥がされたパンツ一枚の姿で彼女の目の前に移動した、そのときだった。巨大な岩石に超低速で拳を放つフルボディを嬢ちゃんの後ろに見つける。
ドゴォォンッ!!!
とんでもない衝撃と共に砕ける岩石。あれでまだ自分のナックルを壊したことを悲しんで、あんまり本気を出せないのはウソだとオレは思う。
「すんげえぇーーーっ!!フルボディ、どうやったんだ!?なあ!なあ!!」
「フッ、今のは全身の脱力によって生み出された究極の力みを拳に乗せることにより、ここまでの破壊力を作り出せる。この秘技の名を〝
「オレにもできるのか!?」
「バカだな、ルフィ。オレとサボなら兎も角、いっつも騒いでるお前に脱力なんて出来るかよ」
「まあまあ、やってみなきゃ分かんねえだろ?」
フルボディと義兄弟の和気藹々とした会話を嬢ちゃんと一緒に眺めていると「私も強くなりたいな」なんて小さく呟いてしまった彼女の声に自然と身体が強ばる。
そうだな、強くなりたいよな。
オレのずっと先を駆け抜けるフルボディにもう一度だけ視線を向けた瞬間、漫画やアニメで何度も見た白目で号泣する義兄弟に顔面を蹴られ、ぼんやりと嬢ちゃんも逃げ出す姿に違和感を感じて、後ろを振り返った。
ゴリラやライオン、タカより百倍は大きい猛獣に追われるフルボディを目撃し、オレはまたしてもパンツ一枚で逃げることになった。
「ふるぼでぃぃいいぃいぃっ!!」
「ちょっと調子に乗りすぎたみたいだ」
ドタドタドタ!と全力疾走するオレの真横を楽しそうに走るフルボディはヘロヘロと減速し始めた嬢ちゃんをお姫様抱っこし、ほとんど同じ速度をキープしていやがる。
いやだ、もうギャンブルはいやだ!
「このパンツだけはやめてくれぇーーーっ!!」
そんなオレの悲痛な叫び声が山の中に響く。
〈
出典・刃牙シリーズ
郭海皇の必殺技。
究極の理合とも称される全身の脱力を利用し、絶対的防御を誇る受けの極み。その脱力を利用して打撃を放てば〝究極の攻め〟となる。