【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝鉄拳〟の熔ける日

フーシャ村の人達と別れを惜しみながらもオレ達は海軍支部に帰還し、久しぶりに見る我が家──執務室の横にある仮眠室に安心感に安らぎを覚える。

 

「やっぱり自分の枕が一番落ち着く」

 

今すぐ片付けるべき仕事がまだ残っているのに、オレは布団の誘惑に負けて眠りにつこうとしたがドアをノックする音に邪魔をされる。

 

だれ、いったい?と聞こうとするよりも早く仮眠室のドアは開かれ、数量の書類を抱えた部下が部屋に入ってくる。

 

その後ろには同じように書類を抱えたジャンゴ、そしてクリーク海賊団に見捨てられ、ジャンゴの催眠術で真人間に生まれ変わり、今は新人の海兵として海軍支部に勤務する〝鬼人〟のギンを順番に見る。

 

「フルボディ大佐、まだ寝るには早いですよ。フーシャ村のお土産を配り終えていませんし、長期休暇の間に溜まった仕事もあるんです」

 

「そうだぞ、フルボディ。ついでにオレの仕事も片付けてくれると助かる」

 

「ジャンゴ少尉、さすがにズルはダメだ」

 

「ギン、バレなければ犯罪じゃないんだぜ?」

 

ワイワイと騒ぐ三人に呆れたように、どこか嬉しさの混じった溜め息を吐き、オレは軍帽をかぶって外套を肩に羽織りながら立ち上がる。

 

「まったく、分かったよ。オレもだらけずに仕事をすればいいんだな?よぉうし、まずは君の仕事を片付けよう」

 

そう言ってオレは部下の書類を受け取ってジャンゴとギンを追い出す。あからさまに「ブーブー!」とバカみたいに文句を言うジャンゴをギンに押し付け、オレは執務室に戻ってイスに座る。

 

カリカリと万年筆を使って書類の整理を始めるオレの傍らに腰掛け、オレと同じように仕事を始める部下。……よくよく考えたらオレって彼女の名前を呼んだことってあるか?

 

そんなことを考えながらオレは仕事を進める。

 

だが、あまり筆は進まず、どうしようかとオレは少しだけ考えてみることにした。えーっと、前世だと名前呼びでセクハラになったりするのは聞いたことあるけど。

 

こっちだと、どうなんだ?

 

「……ふと気になったんだが」

 

「はい。なんでしょうか?」

 

「君の名前を呼んで良いか?」

 

「……そ、それは、どういう意味で……」

 

オレの質問に対して、彼女の瞳はどこか期待する眼差しに変化した。いや、なんでだ?とオレが思うよりも早くオレの頭の中に『好きです』という声が聴こえてきた。

 

…………えっ、なにこれ?

 

突然の出来事に困惑しながらも彼女に視線を向ければ『フルボディ大佐、どうして何も言ってくれないんですか?』とか『また、私にジョークを言っているんでしょうか』という声が何度も聴こえてくる。

 

「(まさか、これは〝見聞色の覇気〟か!?)」

 

こんなことで習得したくなかったと思う反面、いつもオレに着いてきてくれる彼女の本心を知れた事を喜んでしまい、少しだけ自己嫌悪してしまう。

 

実質、本心を盗み聞きしているだけだろ、これ。

 

……いや、オレも本心を伝えよう。

 

「オレは君が好きだ」

 

「え?」

 

「もう一度言うぞ。オレは、サニー・アイボリーを愛している」

 

「はっ?!んぁえっ!?」

 

オレの一世一代の告白に戸惑っているのか。

 

彼女は赤面しながら何かを言おうとしているが、何も言えずにオレの手を握りしめている。これは、オッケーということだろうか?

 

 




〈サニー・アイボリー〉

本作のオリジナルヒロイン

フルボディの部下として長年勤務し、彼に片想いしていた女性であり、ずっとフルボディの支えになってくれていた。自分の弱さに不甲斐なさを感じながらも、ひた向きに正義も恋も貫き、遂に成就した。

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