【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「久方ぶりだな。〝鉃拳〟」
「ミホーク殿…!」
この人は王下七武海の制度を廃止しているのに、なんでマリンフォードに来てるんだ?と疑問に思いながらジャンゴとアイボリーに仕事を任せ、オレは彼に着いていく。
制度の撤廃に対する抗議か、あるいはオレと戦う機会が最後だと思ったのか。そのどちらかだと思うが、出来れば後者だとオレは嬉しい。
ツカツカと海軍本部の廊下を歩くミホーク殿は唐突に窓を開け、この移動する時間を勿体無く感じたのか。思いっきりの良いショートカットのために窓の外に飛び降り、オレを見上げている。
まあ、オレも飛び降りれば良いのか。
あとでアイボリーに怒られるな。
「……っと。ミホーク殿、いきなりオレの執務室にやって来た理由を聞かせてくれ」
「まずは突然の訪問について詫びよう。七武海の制度を撤廃した世界政府の策略に乗ってやるつもりはない。───だが、お前と本気で戦える此度のチャンスを逃すほどオレはバカじゃない」
「成る程、確かにオレもミホーク殿と本気で戦えるのは今回が最後のチャンスかも知れないな。分かった、オレも貴方と戦える機会を逃がしたくない」
「やはり、お前は良い拳闘家だ」
スラリと背中に佩く黒刀〝夜〟を抜刀し、猛禽類のごとき眼光がオレを射貫く。オレもポケットに仕舞っていたメリケンサックを取り出し、ゆっくりと四本の指に嵌め、ミシリと拳を握り固める。
「フッ、この黒刀と同様に幾度となく強者と戦いを重ね〝武装色の覇気〟を纏った〝鉄拳〟は、すでに黒拳と成っていたか」
「ああ、その強者の中にミホーク殿もいるがな」
「……フハ、ハハハッ!そうか、お前の強さの糧にこのオレもいるか。ならば尚の事お前に負ける理由は無くなってしまったな」
刹那、オレに向けてミホーク殿の暴力的なまでに研ぎ澄まされた〝覇気〟の奔流が吹き荒れ、大気が弾ける。ああ、ナックルが砕けたときも二年前の「バラティエ」のときも引き分けか、ミホーク殿が満足するだけで決着には至らなかった。
「オレの全身全霊を捧げよう」
「オレは貴方の剣を越える」
その言葉を合図にオレとミホーク殿は同時に動く。掬い上げるような左の横薙ぎを上体を後ろに大きく逸らしながら紙一重で回避し、瞬時に踏み込んで切り返しの斬撃を放とうとするミホーク殿の横っ面に右フックを打つ。
だが、ミホーク殿はオレの動きを〝見聞色の覇気〟で予測していたのか。黒刀の峰を盾代わりに霞の構えに姿勢を変えて拳を防がれる。
「ヌゥンッ!!」
「ぐっ、ぬうぅぅッ!?」
それでも尚も無理やり左拳を振り抜き、ミホーク殿を吹き飛ばす。もっともこの程度の打撃で倒し切れるほど甘くないな。
「仕切り直しだ」
「良かろう」
そう言ってオレとミホーク殿は拳と剣を構える。