【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
最初に動いたのはフルボディだった。
超人的なスピードで移動を可能とする〝剃〟でミホークの間合いに踏み込み、教科書の基本に忠実な三連発の左ジャブを正確にミホークの急所に目掛けて打つ。───が、ミホークは三連続の音速をブチ抜く左拳を避け、拳撃の打ち終わりにフルボディへと剣を振り上げる。
ガッ、ギャリィィッ!!!
しかし、フルボディの
「シィッ!」
「カアッ!!」
フルボディは肩口でミホークの黒刀を受け止め、切り裂かれる前にミホークの横っ面に渾身の右ストレートを打ち込んで大きく後ろに吹き飛ばす。だが、ミホークは吹き飛ぶ途中で強引に体勢を立て直し、フルボディに向かって一太刀の内に千を越える斬撃を放つ。
「〝朝孔雀〟ッ!!!」
迫り来る斬撃の豪雨に対して〝八門遁甲〟を第七門まで抉じ開け、摩擦熱で炎を纏った尾羽を大きく広げた孔雀のごとき拳撃の壁が斬撃を打ち落とす。
それでも千発の拳撃を放って尚、打ち落としきれなかった斬撃はフルボディに無視できないダメージを刻みつけ、純白のスーツが彼の鮮血に染まる。
「やっぱりアンタは強いなァ、ミホーク…!」
そう言って笑うフルボディの肉体は赤く染まり、炎のように揺らめく〝青い蒸気〟が彼の身体を包み込み、肉体のリミッターを外す。
普段のジャンゴやアイボリー、親しい関係の人間に話しかけるように口調を崩して話すフルボディは刻まれたスーツを破り捨て、引きちぎるようにネクタイを外し、血まみれの上着を脱ぎ捨てて筋肉の要塞としか形容できない肉体を露にする。
「今度はオレの番だッ!」
「ああ、いつでも来い!」
獰猛な野獣のごとき闘争本能に突き動かされるがままに駆け出す。───刹那、二人の〝見聞色の覇気〟は己に降り注ぐ斬撃と拳撃の暴風雨を予測した。
「「(この程度ならば問題なし…!)」」
二人は一撃でも絶命しかねない攻撃を危険とは判断せず、まるで〝見聞色の覇気〟の見せた未来をなぞり、脚本を演じる役者の様に紙一重の間合いで絶死絶命の一撃を避け、往なし、躱す。
「〝ツイン10連ネイルガン〟ィッ!!!」
ドドドドドドドドドド────ッ!!!!
「ぐっ、ごおっ!?」
フルボディが左右の拳を突き出してミホークの胴体に拳をめり込ませた次の瞬間、ミホークの身体に砲撃よりも凄まじい10連続の衝撃が弾け、後ろに向かって大きく深く打撃が浸透する度に吹き飛ぶ。
「ハアッ、ハアッ…!」
何度も荒々しく乱れた呼吸を整えるために深呼吸を繰り返すフルボディは〝ネイルガン〟の反動を抑えきれず、筋肉が蠢くように痙攣する両腕をぶら下げ、土煙に包まれたミホークを睨み付ける。
「赤髪……いや、一撃の重さは赤髪以上か」
「ソイツは光栄だぜ……」
そう呟くミホークの胴体は赤黒く変色し、打撃の浸透で内臓を傷付けたのか。彼の口元は吐血した後が残っており、胸元にも吐き出した血が付着している。