【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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好敵手として

フルボディは裂帛の気合いと共に踏み込み、至近距離での打撃の乱打を打つ。人体の急所のみ正確に殴り、大地を砕く衝撃がミホークの身体を軋ませるが、すかさずミホークは反撃を繰り出していく。

 

フルボディもまた瞬時に〝武装硬化〟の範囲を前腕部に集中した十字受け(クロスアーム・ブロック)で大海を断絶する剣撃を受け止めるも、斬撃の衝撃を抑えきれずにフルボディの両腕が後方に大きく弾ける。

 

ついに鉄壁の防御を誇っていたフルボディの身体が無防備に、がら空きになる。ガードしようと両腕を引き戻すよりも速く、ミホークの剣がすれ違いざまにフルボディの胴体に食い込み、彼の身体を切り裂く───。

 

「……斬り損ねたのは何十年ぶりだ」

 

「斬れてるよ、少しだけな」

 

己の黒刀の刀身を見つめ、静かに呟くミホークに応えるようにフルボディはゆっくりと彼に向かって振り返った。斬られたはずの胴体には、うっすらと赤い筋が通っており僅かに血が滲んでいる。

 

「オレの刃筋がズレた原因を聞いておこう」

 

「まあ、流派の名前は言えないが。とある暗殺拳の秘伝の受け技、その名を〝弾丸すべり〟と言う弾丸や斬撃に特化した防御法だ」

 

「たますべり、弾丸を滑らせるか。だが、オレの斬撃をそう何度も滑らせることは出来ん…!」

 

「ああ、上等だぜ…!」

 

ミホークの凄まじい鋭さを秘めた剣気の昂りに呼応するようにフルボディの纏う〝青い蒸気〟が倍増し、より最高の一撃を放つために意志を高める。

 

「ルゥアッ!!」

 

「イィイヤッ!!」

 

もはや別次元のパワーとスピードを持った二人の動きは常人の目に捉えることは出来ず、二人の衝突し、拳と剣がぶつかる衝撃音、億万の斬撃と拳撃の嵐が天空で閃光を迸らせ、音すらも置き去りにした爆発が広がる。

 

次第に二人を取り巻く空気は裂け、砕かれた大気が集束し膨張していく。だが、その異様な環境の変化すら気にもかけず、ミホークの剣が大気を撫で斬り、巻き起こる突風と竜巻がマリンフォード海岸沿いに吹き荒れる。

 

「デヤアッ!!」

 

だが、フルボディは一切の躊躇もなく自然災害たる竜巻をぶん殴って消し飛ばしながら空を蹴って崩れた岩肌に立つミホークに向かって突貫していく。

 

分厚く固く握り締めたナックルと鍛え上げられた拳骨がミホークの頬にめり込み、そのまま右拳を振り切ってミホークの身体を海底まで叩き落とす。

 

「────ッ!!?」

 

刹那、フルボディの脳裏に身体を切り裂かれる光景が浮かび、無理やり身体を後ろに倒し、後転しながら別の岩肌へと飛び移って構えた、そのときだった。

 

大海を斬り裂いて、ミホークが舞い戻る。

 

「やはりお前は強いな、フルボディ」

 

「貴方に褒めて貰えるのは嬉しいよ、ありがとう。だが、オレは絶対に負けるつもりはねえ…!」

 

「フッ、オレも同じだ…!」

 

二人の〝覇気〟が迸り、大気を揺るがす。

 

決着まで、あと僅か─────。

 

 

 

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