【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
ワノ国、上陸…!
「……どうやって登るんだ、これ?」
そう困惑するオレ達の目の前にそびえ立つ。
いや、そもそも断崖絶壁を流れ落ちる巨大すぎる濁流の滝を登るなんてことが出来るのかも怪しい。緑牛大将は「一人でなら登れるが、単身で突っ込むのは無謀すぎるか」と真剣に考え込んでいる。
「よぉうし、オレが押し上げる…!」
「ハァッ!?なに言ってんだよ!」
ジャケットと正義の外套をアイボリーに預け、身体の筋肉を解しながら局所的に海流が異なる海に飛び込む準備を始めるオレに近づき、なにかを言おうとするジャンゴを制止してサムズアップを送る。
「安心しろよ、オレの頑丈さは知ってるだろ?」
「……だああぁぁーーーーっ!!?オレもやる!お前だけに軍艦を持ち上げさせるとか絶対に嫌だぞ、オレは!嬢ちゃん、指揮官は嬢ちゃんだから後は頼むぞ!」
「えっ、ちょっと、お二人とも!?」
オレを追いかけて海に飛び込んできたジャンゴに「アホか、お前は!」と言いながら海面を突き抜けた瞬間、身体が粉々になるんじゃないかっていうぐらい激しい海流の流れに襲われる。
コイツは、気を抜いたらヤバいな。
「(ジャンゴ、竜骨を支えるぞ…!)」
「(何言ってんのか、わかんねえよ!?)」
いつものように話そうとして、ゴボゴボッ!と泡を吐き出すオレにジェスチャーを送ってくるジャンゴ。……すまん、海軍式のジェスチャーは忘れた。
そんなことを謝りながら海水を蹴って、竜骨を目指して泳いでいる途中、とんでもないデカさの錦鯉を目撃してしまった。
「「(で、でけえ…!)」」
あまりにも壮大な錦鯉に驚きつつ、オレは軍艦の船底を担ぐように掴み、〝八門遁甲〟の第六門まで開き、更に筋力を底上げするために〝界王拳〟を行い、擬似的に第八門を開いた状態になる。
ジャンゴも同じように〝八門遁甲〟を第三門まで抉じ開け、オレと同じく海水を全力で蹴り付け、何度も踏みつけることを繰り返していると、だんだんと船体は浮かび上がり始める。
「…ぼっ…ごぼっ、ぶはあっ!!?死にかけた!」
「ゲホッ、肺活量も課題だな」
「この修行バカがよぉ…!」
「備えあれば憂いなしだろう?」
そう言ってジャンゴに笑いかけると気難しそうに眉間にシワを作り、オレだけに聞こえるように「絶対に第八門は開けるじゃねえぞ、フルボディ」と言ってきた。
まったく何を言うかと思えば───。
「あくまで切り札だぜ?それに第八門を開けなきゃならないヤツと戦うときはお前も一緒に戦ってくれるし、まず開ける必要すらないだろ」
「……だけどよ。あのカイドウが相手だぞ」
そう僅かに恐怖を含んだ声色に思わず、苦笑いを浮かべそうになる。だが、そうだ。今から戦うのは作中屈指の……ひょっとしたらオレが戦ってきたどんな強敵よりも強い、本当の意味で最強を名乗れるかも知れない相手だ。