【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
オレとアラマキ殿の目の前でお菊さんに言い寄っている紫色の髪をした巨漢はグズグズと鼻水や涙を垂れ流しながら何かを言おうとしている。
「やっぱり、おれじゃダメかい?」
「拙者に恋慕するのは構わないのですが。浦島殿、貴方はワノ国で一二を争う相撲取り。しがない町娘に求婚せずとも良いはずです」
お菊さんの「町娘」という言葉に違和感を感じつつ、オレとアラマキ殿は静かに黙って浦島と彼女に呼ばれた力士に視線を向ける。
「他の娘じゃダメなんだ!おれが力士として強くなれるのはお菊ちゃんのおかげなんだ、君の笑顔が、応援が、土俵際のおれに活力を与えてくれる…!」
「むっ、むう、相も変わらず強情な人ですね」
「二代目、これどうしたらいいんだ?」
「人の恋路にチャチャ入れるのはダメだな」
「そうか」
オレの言葉に納得してくれたアラマキ殿は蕎麦屋に戻っていき、二杯目の蕎麦を食べようとしているのでオレも蕎麦を食べることにした。
ワノ国にも居るんだな、変態って。
「ん?」
「あ?」
ふと蕎麦を差し出してくれたサンジの後ろに見た瞬間、オレは思わず首を傾げてしまった。なんで、ここにホーディがいるんだ?
ジャンゴのヤツにホールケーキアイランドにいるって聞いたような気がするんだが。……まあ、面倒な事に関わるのはやめておこう。
それよりも今は蕎麦だ。
「ジャハハハハッ。フルボディじゃねえか!」
いきなり笑い始めたかと思えば、バシバシ!とオレの背中を叩くホーディによって危うく蕎麦を落としかけ、気がつけばぶん殴ってしまった。
「なんだ、知り合いなのか?」
「ジンベエ殿の部下で、魚人島の警備隊だけど。この世の全ての女性と結婚しようとする、とんでもない強欲な変態魚人だ」
「イテェ…!久しぶりの再会だっていうのに随分と失礼だな。まあ、オレは強欲じゃなくて、シンプルに性欲に従ってるだけだぜ?」
「とりあえず、捕まえとくか?」
「いや、コイツはビッグ・マムの攻撃にも耐える耐久力がある変態だ。いくらアラマキ殿でも栄養分を吸ったら、コイツみたいに変態になるかも知れない」
そんなことを話しながらお菊さんを見たら浦島という力士をぶん投げていた。うむ、やっぱりワノ国の町娘はすんごいアグレッシブだな!
ズルズルと蕎麦を啜るオレの隣を陣取ったホーディはアラマキ殿に聞こえない小さな声で「さっきジャンゴのヤツを見かけたが、百獣海賊団のヤツと戦ってた。立地も悪い上に手数で勝る相手だ、このままだとジャンゴが負けるぞ」と言ってきた。
オレ達より先に乗り込んでるのか、やるな。
「ホーディ、アイツがそう簡単に負けるわけないだろう。そもそもジャンゴは自覚してないだけで、ドフラミンゴを相手に数時間は持ちこたえるし、まだ階級が大佐の頃に格上の大将をブッ飛ばしてるんだぞ?」
「……海列車のときか?」
「おう。アイツもオレも無意識的にお互いを頼ってるんだよ。だが、こうして離れて行動すればアイツが自分で抑え込んでるモノも外れるさ。それに、アイツはオレに勝ったことあるんだぜ?」
そうオレはニヤリと笑みを浮かべてホーディを見る。