【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「テメー、海軍だな?」
「ん?」
ズルズルと二十杯目を迎える蕎麦を啜っているとオレを見下ろす金髪と角の生えた厳つい男が話し掛けてきた。筋肉質な見た目に反して、柔軟性の高さも伺える。パワーもありそうな感じだ。
「……食い終わるまで待つ」
「わふひな」
「店主、オレにも一杯くれ」
「あいよー!」
しかし、オレが抱える蕎麦のお椀を見て食事中と察したのか。おそらく百獣海賊団の船員であろう男はオレと同じ蕎麦をサンジに注文した。
コイツも食事が好きなタイプだな。
そんなことを考えながら海老の天ぷらを齧り、プリプリした肉厚な海老の身を楽しみつつ、蕎麦の浸かった芳醇で濃厚な出汁を飲む。
あー、ホントに美味すぎる。
流石はゼフ殿の義息子のサンジだ。
「「ふう、美味かった。ありがとう」」
オレと巨漢は同時に食べ終わり、まだ人もいる花の都の蕎麦屋を離れるように並んで歩く。アラマキ殿には「ひとりで大丈夫だからお菊さんの話を聞いてほしい」と伝えておいた。
多分、大丈夫だろう。
「まずは挨拶しておこう。ごきげんよう、オレは海軍大佐のフルボディだ」
「オレはジャックだ。しかし、大佐だァ?そのえげつねえ〝覇気〟でオレに階級詐偽するだけ無駄だぞ。素直にオレに階級教えろ」
「……ケンカして降格したんだよ。前は大将だ」
「フン。強さ以外に序列がいるかよ」
まあ、言いたいことは分かる。
……と言ってもオレは海兵だ。
海賊を捕まえるのは当たり前だし、悪さするヤツは懲らしめて捕まえる。このジャックと名乗った男に視線を向ければ闘争心を剥き出しにした、とんでもない笑顔を向けてくる。
「お前は武器持ってねえし、
「ジャック殿は剣士だろ、良いのか?」
「ジャックで良いさ。オレは強いヤツと喧嘩できんなら自分が不利になろうが関係ねえ…!だが、お前の内に秘めた破壊衝動をさらけ出せ!オレと戦うこと以外に意識を割くことは許さねえ…!」
流石にそれは暴論過ぎるぞ。
ジャック殿の言葉に呆れながらオレは賑わう人込みのど真ん中で立ち止まり、アイボリーに手渡されたハンカチを端を掴んでジャック殿に反対側の端を差し出す。
「ルーザールーズか?」
「貴方と本気で殴り合うなら、これだろ」
「ハッ!最高だぜ、フルボディ!!」
そう言うとジャック殿のハンカチの端を親指と人差し指で摘まみ、オレは親指と小指でハンカチの端を摘まんで一気に殴り合いのケンカを始める。
「ぐばあぁっ!?」
「んがあっ!?」
オレの左拳がジャック殿の顔面にめり込み、彼の右拳がオレの腹に食い込んでお互いの身体を弾き合う。が、更にパンチを繰り出して打撃の応酬を続ける。
突然の殴り合いに賑わう人々は動きを止め、悲鳴を上げそうになるがオレとジャック殿がハンカチを掴んで殴り合っていることに気が付き、何かの催し物だと勘違いしたらしい。
「オラッ!もっと気合い入れろやァ…!」
「そっちこそなァ!!」
ジャック殿の頭突きがオレの頭を叩き潰し、オレのパンチが彼のボディに突き刺さり、彼の肘打ちが、オレのフックが、怒涛の勢いで巡り合う。
「「こりゃあ最高の気分だな、