【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝ルーザールーズ〟

オレとジャック殿の戦いに人々が盛り上がる。

 

「オッ、ラァッ!!!」

 

「ぐっ、ごおぉっ?!」

 

ジャック殿のモーニングスターのごとき回転で繰り出された拳鎚を肩に受け、僅かに身体が沈み掛けるが何とか踏ん張って立ち上がる勢いでアッパーを見舞う。

 

一歩も引かず、無防備に殴り合う。

 

その度に身体の中を駆け巡る血液が沸騰し、グツグツと煮えたぎるような感覚が押し寄せる。最高の感覚、全身全霊のメンツを賭けた喧嘩に思わず笑みが出る。

 

「ギヒッ…!」

 

「カカッ、喧嘩は愉しいよなァ!」

 

「確かに愉しすぎるぜ、ジャック…!」

 

ただ、強さを競う。

 

正拳を打てば掌低打ちが、裏拳を受ければフックを、ひたすらに拳の強さを競う。オレもジャックも蹴りは使わない、肘も膝も使わない、正々堂々(フェア)に、ハンカチを掴んだ手の片割れを使う。

 

素手喧嘩(ステゴロ)で賭けるのは意地(メンツ)だけ────。

 

「良いなァ…!良いなァ……!!お前みたいに魂をぶつけ合える海兵がいるなんて知らなかったッ!お前となら、本気の本気で分かり合えそうだッ!!!」

 

「オレもジャックみたいにぶつかり合える海賊に出会えて嬉しいぜッ!こんなに胸が躍るのは、白ひげ海賊団のキングデューやミホーク以来だッ!!」

 

「ソイツァ…妬けるじゃねえか!!」

 

「なら妬く暇も与えねえさッ!」

 

気が付けばハンカチを握ることを止め、手のひらにハンカチを乗せているだけでオレとジャックは殴り合っていた。握るのは不格好で格好悪いからではない、もしも負けたときに意地でハンカチを掴んでいたら自分に勝った相手に失礼だからだ。

 

「コイツはオレの〝とっておき(・・・・・)〟だ。テメーに、フルボディというオレの認めた喧嘩屋の男に、この一撃を受け止める覚悟はあるか?」

 

「ああ、ドンと受け止めてやる!」

 

「やっぱり最高だぜ、お前!〝紅斑羽太(アカラマハタ)〟ッ!!」

 

ジャックの右拳が赤黒く光り、オレの胸部に向かって強烈な正拳がめり込んだ刹那、全身を駆け巡る鮮烈すぎる衝撃に吐血し、地面に倒れ掛ける。

 

「今度はオレの番だ…」

 

「カカッ、勿論だァ!!」

 

オレは左拳を握り固める。本来は右拳で放つ技だが、ジャックを倒すには左手にフルパワーを籠めて打つしかない。一撃必中の技だ。

 

「〝ウイニング・ザ・レインボー〟ッ!!!!」

 

「なッ、オッ、オォオオッ!!?」

 

オレの左アッパーカットはジャックの鉄仮面を撃ち抜き、強烈な破壊力を伴って彼の巨体を打ち上げる。もはやアッパーカットという枠組みを超越した強烈無比のパンチを受けたジャックは静かに倒れ伏す。

 

「愉しかったぜ、ジャック」

 

「……ああ、オレもだ」

 

そう言ってオレ達は握手した。

 

 

 




〈ウイニング・ザ・レインボー〉

出典・リングにかけろ

高嶺竜児の必殺技

もはやアッパーカットという次元を超越したスーパーブローであり、このパンチを放っているフルボディですら真の意味で使いこなせているのかは不明……。

〈紅斑羽太〉

オリジナル技

魚人空手に類する正拳突き。本来は突き抜ける衝撃波を何重にも重ねて体内に留める必殺の一撃。ちなみに紅斑と羽太はハタの別名である。

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