【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝流浪の剣豪〟霜月ゾロ十郎

ふらりと三本の刀を佩いて花の都の見える活気はあるものの、本来ならば草木が生い茂る山道の道すがらには生えた草花は枯れ、獣の気配も少ない寂れた山道を歩く男がひとり。

 

大きな貸し徳利をグビリと仰ぐ緑髪に髷を結った三つの耳飾りをした浪人───に扮した霜月ゾロ十郎(ロロノア・ゾロ)は懐に仕舞っていた片腕を袖の中に戻す。

 

「山賊か?」

 

そう彼の問い掛けに無言で木々の間を抜け、ゾロ十郎を取り囲むように次々と現れた覆面の集団───ワノ国の将軍・黒炭オロチに仕える〝オロチお庭番衆〟の十数名の下忍、十人首領の一人が刀を抜き放つ。

 

「霜月を騙る賊。貴様の命、貰い受ける!」

 

「へェ…オレと殺る気か?」

 

「「チェヤアァッ!!」」

 

カチリと三本の刀の一振り、和道一文字の鯉口を切ったゾロ十郎の気迫に気圧された二人の下忍びが逆手に構えた刀を振るった。

 

───だが、二人の斬撃はゾロ十郎の半身を抜いただけの和道一文字によって遮られ、彼らの刀は抜刀するという動きで刀身を両断されたのだ。

 

「馬鹿なッ、触れたまま刀を斬るだと!?」

 

「寄せ、後ろに下がるのだ…!」

 

「ワノ国の忍者と聞いて期待していたが、オレがゾウで出会った忍者より弱ェじゃねえか」

 

心底呆れたようにゾロ十郎が呟いた、そのときだった。困惑と恐怖を抱き、警戒心を高めていた筈の下忍びの身体は糸が切れた人形のように崩れ落ちる。

 

「刀を抜き放つと同時に斬ったのか…!?」

 

その一言にゾロ十郎を取り囲んでいた下忍び達は戦慄し、ゾロ十郎の間合いを離れるように後退中、オロチお庭番衆の首領の一人は刀を逆手に構え、ゾロ十郎を睨み付け、静かに呼吸を整える。

 

「まだ殺る気か?」

 

「えぇい、黙れッ!貴様の命、必ずや奪ってやる!」

 

「ソイツは、楽しみだッ!!」

 

彼の挑発めいた言葉に激昂し、刀を振るって凄まじい気迫で迫り来る鬼面の男にゾロ十郎は徳利を宙に放り投げ、ギリャイィッ!!と鈍い金属音を立てて鬼面の男の斬撃を受け止める。

 

逆手のアドバンテージを生かした拳打と併用して繰り出される太刀筋にゾロ十郎はニヤリと笑い、鬼面の男の拳に和道一文字の柄頭を打ち付け、そのまま鬼面の男の身体を袈裟に切り裂く。

 

「…ぐふッ…む、無念だ!…」

 

「雷蔵には劣るが強かったぜ、忍者」

 

そう言ってゾロ十郎は賛辞の言葉を送りつつ、和道一文字の血糊を振り払って刀身の汚れを和紙で拭き取った。すでに下忍び達は鬼面の男を見捨てて逃げ仰せている。

 

「……チッ。部下に恵まれなかったな」

 

自分達を守るために戦った男を捨てて逃げた彼らを責める言葉を吐き、ゾロ十郎は落ちてきた徳利を片手でキャッチし、まるで供養するかのように男の側に徳利を置き、また歩き始める。

 

 

 

 

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