【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
青天の空に雷鳴が響く。
純然たる破壊の一撃を頭上に掲げた
カイドウは落胆の表情を浮かべそうになる。が、ガラガラと身体に乗った瓦礫を押し退け、立ち上がるフルボディに獰猛な笑みを浮かべて見下ろす。
「くたばりやがったかと思っだぜぇ゛っ?!!」
そう呟こうとしたカイドウの懐に瞬きより素早く潜ったフルボディの右ストレートが竜の鱗を砕き、くの字に折れ曲がったカイドウの顔面に引き戻された右拳がめり込み、鼻の骨をへし折り、おびただしい量の鼻血を垂れ流しながらカイドウは殴り倒される。
「危うく死にかけたぞ、この野郎…!」
「ウォロロロロロ、加減してねえ筈なんだがなァ?一体、その身体の何処から、こんな馬鹿げた腕力が出せるんだフルボディ」
パキッと鼻の骨を無理やり矯正し、立ち上がったカイドウは鼻の中に詰まった鼻血を噴き出しながらフルボディに問う。しかし、フルボディは事も無げに「こういうのは努力したら手に入るもんだ」と即答した。
「ああ、そうだ。努力を怠るヤツはダメだ。どんなに強いヤツも怠けちまえば格下に負ける可能性は捨てきれねえ。現にオレも格下と思った奴らに幾度となく敗北した。……いや、敗北と認めざるを得ない瞬間だった」
「ギヒッ。やっぱり貴方も分かるか?」
「ウォロロロロロッ!当然だ、オレはテメーより何十年も生きてんだ、敗北の数も最高の好敵手、強敵、ピンチに陥るなんざ何度も経験してらァ!!!」
そう嬉しそうに語るカイドウに思わずフルボディも笑みを深めてしまう。
この世界のカイドウは本当の意味で〝白ひげ〟エドワード・ニューゲートを越える。いや、未だに進化を続けている彼こそ正しく〝世界最強の生物〟なのだ。
黒炭オロチの策略で矜持を汚されなかった。
それが最大の特異点───
「あァ、酒が飲みたくなるぜ。フルボディ、この喧嘩が終わったら一杯どうだ?」
「オレは下戸だ……が、ジュースかお茶でなら構わん」
「ウォロロロロロッ!!それなら決まりだ!!」
そう言って笑い合う二人の身体に蓄積していたダメージは、この五分にも満たない数分の内に回復し、フルボディは血塗れの髪を搔き上げ、カイドウは心底愉しそうに八斎戒を握り締めて構える。