【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

284 / 316
〝最強と最強〟

全身に纏う〝赤い気〟の残照を残し、フルボディが一直線にカイドウ目掛けて青天を飛ぶ。

 

「うおぉおりゃあぁああぁっ!!!」

 

「ぐおぉあっ!!?」

 

気合いの乗ったフルボディの身体能力を「120倍」の倍率という上限を超えて底上げした〝界王拳〟のスピードはカイドウの〝見聞色の覇気〟で視える───遥か先の未来すらも置き去りにして、カイドウのボディに重いパンチをめり込ませる。

 

10倍の〝界王拳〟で漸くカイドウの纏う龍の鱗を砕き、罅を入れることが出来る程度だったフルボディのパンチは全人類最強最大の〝武装色の覇気〟を誇るカイドウのボディを貫き、カイドウに単純なボディーぶろーでダメージを与えた。

 

「ウォロロロロロオォーーーッ!!!!」

 

パンチの一発一発が重く、威力は先程の数百倍にあるフルボディの左右の拳のラッシュにカイドウは臆する処か逆に〝武装色の覇気〟を迸らせ、鬼気迫る形相で金棒を振るって殴り返した。

 

「まだだァ!」

 

金棒の一撃を脳天に受けて尚もフルボディは強引に右のパンチをカウンターで繰り出し、カイドウの横っ面に拳を食い込ませ、彼の頭を弾き飛ばす。

 

しかし、フルボディのパンチをもろに食らったカイドウは彼の頭を掴み、そのまま勢いに任せて、ズガァンッ!と強烈な頭突きをブチかました。

 

「イッヂィ゛イ゛……!?」

 

堪らず、頭を押さえる。

 

「バカが、喧嘩で隙見せんじゃねえ!」

 

その一瞬の隙を見逃すほどカイドウは甘くない。額から伝う流血など気にも止めず、八斎戒を左手に持ち替えてフルボディの腕を掴んだ次の瞬間、7メートルの巨体で2メートル程度の彼の顔面に向かって膝蹴りを打ち込み、何度も攻撃を加えていく。

 

「うぼおっ!?……ンギッ、だりゃあっ!!!」

 

「うッッ、ぐおぉおっ!?」

 

血まみれの顔で膝を受け止めたフルボディは身体を翻し、カイドウの拘束を抜けると同時に〝足技〟の枷を解き、回転を加えた横回転の踵落としをカイドウの横腹に叩きつけ、間合いを広げて体勢を整える。

 

逆立った桃と赤の髪を揺らして構える。

 

自由に、身体が最適と感じる場所に拳を置き、蹴りと移動に適したスタンスで青天を踏み締める。この数秒間の内にフルボディの身体は空中戦に適応しつつあるのだ。

 

「ウォロロロロロ……酒を戻しかけたぜ」

 

「それは下の奴らが可哀想だろうが」

 

「バカ野郎、折角飲んだ酒を吐くかよ!だが、この喧嘩の後に飲む酒は、きっとオレの生きてきた人生で一番美味えんだろうなァ…」

 

にやけた顔を隠しもせず、カイドウは呟きながら八斎戒を右手で持ち直す。フルボディとカイドウの身体にはおびただしい数の打撲痕、打撃による裂傷が刻まれ、出血量も凄いことになっている。

 

「フルボディ、お前は最高の敵だ。おそらく今のお前に勝てるヤツはオレを含めて五人も居ねえだろう。感謝するぜ、この出会いに…!

 

「いいや、ソイツはオレのセリフだ。この強さを手に入れるキッカケを作ってくれたのは、カイドウだ。貴方を越え、オレは世界最強の男になる!」

 

「なら、もう言葉は要らねえなァ!?」

 

「さ、いっちょやろうぜ。カイドウッ!!!」

 

二人の〝赤い気〟と〝焔雲〟が弾ける。

 

カイドウのスピードが更に上がり、フルボディの交差した腕のガードを金棒で跳ね上げ、隙だらけでがら空きになった胴に蹴りを打ち込み、体勢の崩れた彼の頭上から金棒を振り落とす。

 

「うおぉああぁあぁーーーーっ!!?」

 

ワノ国の地面に向かって叩き落とされるフルボディは野太い声を上げて急停止しようとするが、金棒の一撃で生じたスピードを殺しきれず、そのまま地面に激突する。そこへ、狙い澄ました様にカイドウの金棒が飛来し、フルボディの背中に突き刺さる。

 

「チッ、寸前で避けやがったか」

 

悔しそうに呟きながら地面に降りてきたカイドウはクレーターの下で金棒を担ぎ、力任せにぶん投げてきたフルボディを見下ろす。

 

あまりにも突然すぎる光景に唖然と二人を見つめるワノ国の住人を無視して、二人の姿が消える。それと同時に上空で激しい衝撃音が響き渡る。

 

やがて住人は理解し始める。

 

今まで聞こえていた轟音の正体こそが、あのふたりだと。仇敵・カイドウの傷だらけの姿、見知らぬ桃と赤の髪を揺らす男、その二人の姿は憎いと思っている筈なのに、何故か明王や太陽のごとく神々しく見えていた。

 

「〝ギャラクティカ・マグナム〟ッ!!!」

 

「〝雷鳴八卦〟ッ!!!!」

 

銀河を打ち砕く右のストレートを金棒の一振りで破壊し、荒々しく〝焔雲〟を靡かせて突進するカイドウをフルボディは〝赤い気〟を纏って受け止めるために両腕を突き出して構える。。

 

「ウォロロロロロオォーーーッ!!!!」

 

「ンギッ、でりゃああぁぁぁーーーーっ!!!」

 

再び地面に落ち掛けるが踏ん張ってカイドウの巨体を受け止め、いや、そのまま角を掴んで地面から引き抜くように彼の巨体をぶん投げる。

 

「〝大威徳〟……!」

 

しかし、瞬時に身を翻したカイドウはこの戦いが始まって、初めて〝武装色の覇気〟を八斎戒に纏わせ、両手で金棒の柄を握り締めて構える。

 

これが、最後の一撃だ。

 

その姿に応えるためにフルボディも〝赤い気〟を迸らせ、とっておきを───他の技を組み合わせたものだが、唯一、自分の必殺技とも言える一撃を放つために、全身の〝武装色の覇気〟を右拳に集める。

 

「「行くぞ、これが最後だッッ!!!」」

 

同時に、二人は青天を駆け抜ける。

 

「〝雷鳴八卦〟エェッ!!!!」

 

「〝拳骨爆星(ビッグバン・インパクト)〟オォーーーッ!!!!」

 

ワノ国の上空でカイドウの纏った巨大な龍の闘気とフルボディ自身が変じて生み出された赤い巨拳が衝突し、凄まじい衝撃波の余波を作り出す。

 

しかし、その余波はワノ国だけではない。遥か彼方にある「新世界」の外側に存在する「東西南北の海」にまで影響を及ぼす。

 

「勝つのはッ、勝つのはオレだアァーーーッ!!!」

 

僅かに、フルボディがカイドウを上回った。

 

カイドウの龍の闘気を〝赤い気〟が飲み込み、フルボディの拳がカイドウの胴体に突き刺さり、そのままカイドウの事をワノ国の外────鬼ヶ島に向かってぶん殴り、力任せに殴り飛ばしたのだ。

 

 

 

 

「……ハアッ…ハアッ……オレの勝ちだッッ……」

 

 

 

 

バシュンッ!と音を立て、フルボディの変身が解ける。

 

全身の筋肉と骨が軋む感覚に襲われながらフルボディは「最強の称号」を得たことに満足げに笑い、ゆっくりとワノ国の中心部、花の都へと落下を続けるのだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。