【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝赤鞘十人(・・)男〟

「今日は随分と客が多いなァ……」

 

グビリと並々と盃に注がれたワノ国の名酒を呑むカイドウの目の前に立つ見覚えのある───十人(・・)の男達にカイドウは愉快そうに笑う。

 

本来の世界では裏切りが起こる筈だった赤鞘九人男が誰一人として欠けることなく勢揃いし、カイドウを前に己の武器を構えて佇んでいるのだ。

 

「────二十年だ。拙者達は貴様を討つために二十年先、この時代に飛び、過去に残った者達もこうして貴様の前に再び集結した。全てはおでん様の無念を……オロチに騙され、海賊に脅かされるワノ国のち、おでん様の家臣として貴様を斬る!!」

 

「……おでんの家臣としてか」

 

光月おでんの家臣〝狐火〟の錦えもんを初めとした九人の侍が一斉に向ける鋭い眼光と鍛え上げられた〝覇気〟の練度にカイドウは二十年前───かつて光月おでんという男と戦った日の事を想う。

 

何度打ちのめされようと不屈の闘志で立ち上がり、本物の不死身かと焦りすら感じるほどに己を追い詰めてきた歴代屈指の強敵の家臣が一丸となって、光月おでんの仇討ちに燃えている。

 

其処に立つ九人の〝武装色の覇気〟は一人も劣ることなく最上質であり、流石はおでんの家臣だとカイドウは笑みを浮かべ、フルボディとの戦いで負った傷だらけの身体が膨れ上がり、その姿が〝青龍〟となって暗雲の空に立ち上がる。

 

「ウォロロロロロ。受けてやるよ、侍…!」

 

カイドウの承諾と同時に最初に動き出したのは本来は錦えもん達を裏切り、作戦を台無しにする筈だった黒炭家の男───〝夕立ち〟のカン十郎だった。

 

「受けよ、カイドウ!〝百筆・抜け雀〟ッ!!」

 

カン十郎が身の丈を越える筆を振るい、百匹の巨大な〝武装色〟を纏った鉄色の雀を飛ばす。全ての雀の嘴は鋭く鋭利に尖り、正しく剣の如し。

 

「小鳥がオレに勝てるかァ!〝熱息(ボロブレス)〟ッ!」

 

しかし、カン十郎のカイドウの放った巨大な球状の火炎によって何匹かの〝抜け雀〟が消し飛んでいく最中、百匹の先頭を飛ぶ雀の背に錦えもんが佇む。

 

「〝狐火流〟……〝焔裂き〟ッ!」

 

一瞬にして抜き放たれた刀がカイドウの〝熱息〟を一刀両断し、〝「飛ぶ」斬撃〟が青龍と化したカイドウの巨体を僅かに弾き上げ、二刀目を抜刀すると同時に錦えもんの前に剣士と忍者、銃士が現れる。

 

「〝弾斬丸〟ッ!」

 

「〝残雪鎌〟ッ!」

 

「〝奉還・残雪弾丸返しの術〟ッ!!!」

 

大太刀を振るって無数の斬撃を放つ〝残雪〟の菊の丞、貫通力を増す魔弾を射つ〝元白ひげ海賊団16番隊隊長〟イゾウの背後に立ち、二人の技を大量に蓄えた巻物を解き、〝残雪弾丸返し〟と名付けた技を放つのはワノ国一番の忍者〝霧〟の雷ぞうだ。

 

千人力の攻撃をまともに受けて尚も倒れずにニヤリとカイドウは笑みを侍達に向ける。だが、彼らの攻撃ではカイドウの龍の鱗を断つには力が足りない。

 

「チマチマした攻撃なんぞ効かねえなァ!!」

 

そうチリチリと口内に火炎を溜めて叫ぶカイドウに悔しげに顔を歪める赤鞘十人男。しかし、それでも赤鞘十人男は圧倒的な〝覇気〟に剥き出しにしたカイドウに彼らは挑み続ける。

 

 

 

 

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