【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝桃源十拳〟

「〝熱─(ボロブ)─────ッッ!!?」

 

「カッパッパ。拙者の間合いで首を上げる愚行、易々と見逃すものか!ワノ国に轟きし我が〝河童流・押しの一手〟をその身で受けよッ!!」

 

地面に叩き伏せられたカイドウが首を持ち上げ、三度目の〝熱息(ボロブレス)〟を放とうと口を大きく開きいた刹那、雨笠を被った淡緑色の肌、指の間に水掻きの付いた〝河童〟の河松が右の張り手を繰り出す。

 

「ぐおぉっ!?」

 

轟ッ!と荒々しく大気を押し退け、手の形がくっきりと浮かび上がる程に力強く押し出された空圧はカイドウの顎をカチ上げ、天を仰ぐようにカイドウの頭を弾き、龍の顎下に隠れた逆鱗が顕になる。

 

「漸く出しやがったな、その憎き頚をッ!〝斬鉄閃〟ッ!」

 

がら空きの首に向かって駆ける侍とは思えない風貌の男〝居眠り〟狂死郎───否、赤鞘十人男の一人傳ジローが身体を回転させ、強烈な斬撃を龍の逆鱗に叩き込む。

 

「最後は親分、あんただ!」

 

そう傳ジローが叫ぶ先に立つ男は、かつての肥満体が見違えるほど絞り込まれ、明王がごとき肉体を手に入れたその背中に桜吹雪を刻んだワノ国の〝荒くれ大名〟アシュラ童子が大太刀を肩担ぎに振りかぶる。

 

「カイドウ、おでん様の仇ッ!今こそ討たせてもらうど!!〝一文字流・斬岩剣〟ッ!!」

 

アシュラ童子の振るう〝一文字流〟の剣撃がカイドウの顎下に食い込み、僅かに龍の鱗を断つ。だが、赤鞘十人男の怒涛の如く繰り出された連続攻撃はカイドウの薄皮を斬るだけで大したダメージを当たるに至ってすらいない。

 

「ウォロロロロロ。テメー等、おでんの家臣だろうが手緩い攻撃をチマチマと出してねえで使えよ。おでんが使った、あの〝剣技〟をよォ…!」

 

ゆっくりと身体を起こしたカイドウは赤鞘十人男を煽る……いや、少し違う。カイドウはおでんの家臣ならば、己の身体を切り裂き、あと一歩まで自身を追い詰めたあの〝剣技〟を使えると信じているのだ。

 

「……おでん様……」

 

カイドウの言葉の真意は分からない。

 

しかし、カイドウの真剣な眼差しに応えるように、赤鞘十人男は二刀流の構えを取る。銃士は銃剣を銃身に着け、一刀流の侍は鞘を二刀目に見立て、無手の者は豪腕を振るうがままに構えていく。

 

「「「「「〝おでん〟ッ!!」」」」」

 

「「「「「〝二刀流〟ッ!!」」」」」

 

赤鞘十人男の全員が同じ構えを取る。

 

亡き君主・光月おでんが振るっていた最強の剣術を彼らは間近で見続け、その一番弟子を巡って幾度となく喧嘩し、誰が一番に学ぶかを死に物狂いで競い続けた剣技をカイドウに向けて放つ。

 

 

 

おでん二刀流〝桃源十拳〟─────。

 

 

 

あの日の夜、カイドウとおでんの壮絶な死闘から二十年の時を経て、漸く亡き君主の領域に踏み込んだ赤鞘十人男の剣技が、光月おでんの振るった最強の剣術が二度目の致命傷をカイドウの身体に刻み込まれた。

 

 

 




〈押しの一手〉

出典・史上最強の弟子ケンイチ

風林寺隼人の必活技

練り上げた気当たりと共に繰り出す強烈な張り手。その破壊力は巨大な張り手の痕が壁にくっきりと浮かび上がるほど凄まじい。

〈斬鉄閃〉

出典・サムライスピリッツ

覇王丸の必殺技

踏み込んで渾身の剣撃を繰り出す技。傳ジローは逆風(切り上げ)として使用した。

〈一文字流・斬岩剣〉

出典・魁!!男塾

赤石剛次の必殺技

この世に斬れぬものなしと謳われる最強の流派の奥義にして基礎の基礎である。

此等の技は、かつてワノ国に転生した男が後世のために秘伝書として当時の光月家に献上した物だ。その技のどれもが流派の奥義に匹敵し、この秘伝書を書き綴った彼はありとあらゆる剣術を編み出した功績を讃えられた。

今も尚、彼は〝名も無き剣聖〟として奉られている。



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