【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

291 / 316
〝霜月〟と〝竜の矜持〟

ワノ国の暴徒を制圧するために鬼ヶ島を離れたキングは己の強さに追随する───今も尚、成長を続ける緑髪の剣士〝ロロノア・ゾロ〟に苛立ちを感じながら、アブサロムに敗れて以降、ひたすら磨き上げ、修練を積み重ねてきた剣を荒々しく振るう。

 

その度、キングの背に生えた黒翼が彼の怒りのボルテージに呼応するように燃え上がり、爆発的な瞬発力を生み出し、ゾロの身体を強引に力強く後方に弾く───が、ゾロは柔の剣にてキングの剛剣を往なし、袈裟、右薙ぎ、幹竹、次々と太刀筋の間合いを変えて斬り返す。

 

「チッ。斬った感覚がねえ…!」

 

「いい加減に無駄だと理解しろ、ロロノア」

 

和道一文字を咥えたままゾロはキングの肉体に刃筋の通らない事実に焦り、何度も剣の間合いを変え、剣の速さを、剣の強さを、一合の斬り合い毎に増す。それでもキングの肉体を断つには至らない。

 

既に百を越える剣の攻防を超えているというのにキングの肉体に傷は無い。しかし、ゾロの肉体もまた無傷のままキングを前に、三本の刀を構えている。

 

二年前、ロロノア・ゾロはスリラーバーグにて出生の一端を知り、この二年間、世界最強の剣士、海軍大将の剣士、元最強の海賊団の剣士に鍛え上げられ───ワノ国に辿り着き、本当の意味でロロノア・ゾロは〝霜月〟の無念を晴らす戦いに挑んでいるのだ。

 

亡き親友の名もまた〝霜月〟───。

 

絶対に負けるわけにはいかない。

 

「〝三刀流・煉獄鬼斬り〟ッ!!」

 

三本の刀が閃き、キングの身体を弾き退ける。

 

ガギィンッ!!

 

───と、鈍い音が響き渡る。

 

ぽっきりと、折れた。

 

キングの持つ剣が、ワノ国で集めた名刀の一振りが、キングの〝武装色の覇気〟で覆われていた刀が中ほどから粉々に砕け、切っ先が地面に突き刺さる。

 

「きッ、貴様ァッッ!!!!」

 

「なんだ。大事な剣だったのか?」

 

頭の全てを覆い隠すマスクで唯一見えていた目が血走り、キングの肉体をカイドウとは違う〝竜〟の姿に作り替えていく。

 

〝世界最強の生物〟カイドウに与えられた、彼の相棒(キング)という称号に相応しく、彼の隣に並び立つ〝竜〟が花の都で目覚める。

 

「この害虫がッ!」

 

〝リュウリュウの実「古代種」〟

 

「竜を斬るか……ハッ、奇縁だな」

 

そう小さく呟いたゾロの声は羽ばたきに掻き消され、砂塵を巻き上げ、目の前から瞬時に消えたキングを追い、ゾロは暗雲を背負って立つ〝竜〟を睨む。

 

「殺してやるぞ、ロロノア・ゾロ…!!」

 

────かつて太古の大空を支配したプテラノドンが花の都で巨大な翼を振るい、舞い上がり、三本の刀を構えて威風堂々と己を見上げ、睨みつけるロロノア・ゾロを睨み返す。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。