【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「アイボリー、他の奴らを頼む」
「気をつけてくださいね、フルボディさん」
オレは軍帽と外套を彼女に預けて、ジャケットとネクタイをテラスに脱ぎ捨てる。本気のジュラキュール殿を相手に鎧や服を無駄に着込んだところで無意味だ。
両手のナックルをガキン!とぶつけて打ち鳴らし、クリーク海賊団の壊れた甲板に跳び移る。足場は上々、敵の強さも最高級だ。あの時は自慢のナックルが砕けて意気消沈していたが、今回は絶対にブッ飛ばす。
「ヌオォラッ!!」
「フンッ!!」
オレの振りかぶる右ストレートを黒刀の腹で受け止め、即座に切り返してくるジュラキュール殿の十字架を模した鍔に左の拳をぶつけ、一撃必殺の斬撃を阻止するもオレの身体に、ビシビシッ!と無数の切り傷が刻まれる。
ジュラキュール殿は軽く振っただけで相手を切り裂く剣圧を作り出す。世界最強の剣士の異名は伊達ではないと再認識し、オレは更に間合いを詰めるように踏み込む。
「シィッ!!」
「ぐっ、があ゛ァ゛ッ!?」
僅か0コンマ1秒──刹那の内に顔面、顎、心臓、鳩尾、肝臓の五つの急所を撃ち抜く〝スペシャル・ローリング・サンダー〟でジュラキュール殿を放ち、力任せに振り抜いて船尾まで殴り飛ばす。
しかし、ただでブッ飛ばせたわけではない。
オレの身体に斜めに切り裂かんと黒刀を滑らせた傷痕が数秒遅れて発生し、白い生地のシャツを赤々とした鮮血に染め上げる。
「づあ゛ッ、ぐうぅ…ッッ!」
ボタボタと甲板に落ちる血を止めるように片手を傷口に押し当てながらジュラキュールを睨み付け、ミシミシと音を立てるほど右拳を強く握り固める。
「〝黒刀〟───〝十六夜〟ッ!!」
「ぬぐうぅっ!?負けるかァ!!」
タンッ!と甲板を蹴ると同時にジュラキュールは六式の〝剃〟に似たような動きで黒刀を槍のごとく突きだし、オレの〝武装色の覇気〟で硬めたわき腹を僅かに切り裂く。オレも負けじとジュラキュールの横面に左の拳を叩き込み、間合いの外に殴り出す。
「ハアッ、ハアッ…!クソ、オレじゃなかったら真っ二つに斬れてるぞ、この野郎ッ」
「そのつもりで斬った。だが、貴様の練り上げた〝覇気〟に切っ先を寸分ほど狂わされた。やはり赤髪が気に入った男と豪語するだけはあるな」
「男に気に入られても嬉しくねえよ」
ジュラキュールの称賛の言葉に反論し、いつでもぶん殴れるように拳を握り固める。
「ムンッ!!」
「〝白刃流し〟!!」
大上段の唐竹割に手の甲を捻るように剣筋を逸らす〝白刃流し〟で外側に弾き、そのまま突き上げる拳をジュラキュールの顎に放つ。だが、オレの拳は紙一重で躱され、横薙ぎの一閃で甲板の外──軍船の残骸の泳ぐ海に斬り飛ばされ、オレは海面を蹴って直ぐ様甲板に戻る。
「この野郎、殺す気か!?」
「貴様もオレを殺す気で殴ったはずだがな!」
斬り、弾き、殴り、逸らされ、無数の斬撃と拳圧をばら撒きながら甲板の上を駆け回り、お互いの間合いと攻撃を悉く潰し合う。
「フウゥ……ッ」
ゴキリと肩を押さえながら骨を鳴らす。
「ジュラキュール、オレのとっておきを見せてやる」
「ほう、鉄拳の本気か?」
「グギッ、グググッ…!」
ゆっくりと全身に力を込める。
「〝八門遁甲第七驚門・開〟ッ!!」
メキメキと全身の筋肉を総動員し、無理やり肉体の安全装置を抉じ開ける。だんだんと汗は蒸気の如く噴き出し、オレの〝覇気〟と混ざり、青白い湯気が全身に迸り、オレの身体を赤く染め上げる。
「凄まじい気迫と闘気だな」
「まだ、そう長くは維持できないがお前をブッ飛ばすのに出し惜しみなんて無粋な真似はせん!!」
「ならば此方も全力で応えよう…!」
瞬間的に加速するオレの動きを〝見聞色の覇気〟と経験則によって正確に読み切り、ジュラキュールは黒刀で素早く防いで切り返してくる。
流石は世界最強の剣士だとオレの魂は震える。
「〝ギャラクティカ・マグナム〟ッ!!」
「甘いッ!!」
ギュルギュルと螺旋を描くエネルギーと〝武装色の覇気〟を纏った右ストレートをブチ込む。しかし、ジュラキュールは容易く海を潰し抉る破壊力を持つオレのパンチの衝撃を空に向かって切り上げる。
オレは息を整えるために、この戦いを始めた最初と同じ場所に着地して〝八門遁甲〟を解除する。まあ、何時間も使えるほど極めた技じゃないからな。
「先程の右は貴様の切り札では有るまい?」
「なら受けるか?オレのスーパーブローを」
「無論、斬り伏せる!」
「オーケー、上等だ!」
オレは再びメキメキと全身の筋肉を総動員し、右のパンチに全ての〝覇気〟を詰め込み、ゆっくりと後ろに砲丸投げのフォームで大きく拳を振りかぶる。
「このパンチはオレの集大成だ」
イメージするのは三人の必殺技を引っ括めた破壊力もエネルギーも普段の何百、何千倍と跳ね上がる──オレだけの史上最強の〝鉄拳〟だ。
ガープ中将の〝
「〝
オレのパンチは海をブッ飛ばして、海底が見えるほど海面を抉り進んでジュラキュールに激突する。これで終わった───あや、ジュラキュールはオレのパンチに黒刀を叩きつけて踏ん張っていやがる。
「どれだけすげえんだよ、アンタは!」
ゆっくりとオレのパンチは遥か彼方まで飛んでいき、ズタズタに服の破れたジュラキュールは黒刀を構えたまま、オレを見つめている。
「ハアッ、ハアッ…!やはり貴様は面白い、これほど傷つき胸が躍る戦いは赤髪以来だ。もっとオレと戦え、〝鉄拳〟のフルボディ!!」
「ったく。仕方ねえなあ…!」
「いいわけないでしょう!?」
セガンドバトルを始めようとした瞬間、オレの頭に張り手が叩き込まれた。いつの間にか甲板にやって来たアイボリーにオレとジュラキュールは視線を向ける。
「ここに居たら危ないぞ、アイボリー」
「えぇ、それは分かっています。…ですが、お二人のケンカを止めるには私が出向いて止める以外に方法はありませんよね?なによりお二人とも死ぬまで戦うつもりだったでしょう!?」
「「まあ、事実だな」」
「……フルボディさん、貴方は海軍少将で、ジュラキュール氏は海軍に属する王下七武海のメンバーなのです。どちらも欠けてはいけないんです!!」
そうアイボリーに言われてしまったオレとジュラキュールは戦う雰囲気では無くなったことを理解し、黒刀とナックルを静かに納める。
「正直助かったよ、アイボリー。ありがとう」
「……そう思うなら心配させないで……」
オレに抱きついて苦言を呈するアイボリーに申し訳なさを感じながら、ジュラキュールに視線を変えて「悪いな、また今度やろうぜ?」と合図を送り、オレはアイボリーをお姫様抱っこして「バラティエ」に戻る。
〈スペシャル・ローリング・サンダー〉
出典・リングにかけろ
日本ジュニア代表選手・志那虎一城の必殺技。
ローリング・サンダーを越える最高速のパンチを一瞬にして顔面、顎、鳩尾、心臓、肝臓の五ヶ所の急所に叩き込み、志那虎最強のパンチ。
〈白刃流し〉
出典・史上最強の弟子ケンイチ
最強の弟子・白浜兼一の対刃防御技。
捻りきった拳を捻り戻すと同時に刃物の剣筋を逸らす技術であり、一瞬でも躊躇えば拳も腕も切り裂かれる可能性もある。
〈八門遁甲〉
出典・NARUTO
木の葉の里第3班マイト・ガイの必殺技。
肉体に存在する八つの経絡門を無理やり抉じ開ける事によって火事場の馬鹿力を意図的に発動する。ただ、術者にも多大な負荷は掛けてしまうため多用は出来ない。
フルボディはジャンゴの催眠術で無理やり抉じ開けたものです。
〈ギャラクティカ・マグナム〉
出典・リングにかけろ
日本ジュニア代表選手・剣崎順の必殺技。
原子の光を生み出す最強のブローを極限まで鍛え上げ、その破壊力は銀河すら打ち砕く最強のスーパーブローへと昇華したボクシング史上で最も凄まじいパンチ。
〈ビッグバンパンチ〉
出典・ジャイアントロボ
国際警察機構長官・静かなる中条の必殺技。
命と引き替えに大陸を打ち砕く最強のエネルギーを秘めたパンチであり、フルボディは全ての〝武装色の覇気〟を極限まで練り上げることで再現し、一度の使用に一ヶ月ほど覇気を使えなくなるデメリットを抱えている。
〈
出典・ONE PIECE/HUNTER×HUNTER/ジャイアントロボ
フルボディの最大最強のスーパーブロー。
彼の尊敬する三人の必殺技を重ねたモノ。モンキー・D・ガープの〝拳骨衝突〟を〝武装色の覇気〟で再現し、ウボォーギンの〝超破壊拳〟を念能力(ジャンゴの催眠術のおかげ)でイメージし、人間爆弾の異名を持つ静かなる中条の最大最強の〝ビッグバンパンチ〟に二つの必殺技を重ねたフルボディの集大成とも云えるパンチ。