【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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お久しぶりです。

まだ、本調子ではありませんが投稿を再開します。

みなさんもストレスにはお気をつけて。




〝天地鳴動、暴竜、覇と成りて〟

鬼ヶ島に強大な〝覇気〟が迸り、弾ける。

 

赤鞘十人男と戦って敗れたカイドウの意識が目覚め始めているのだ。しかし、カイドウと未だ戦っていないルフィ達をしり目にカイドウはメディカルマシーンを抜け出し、両手に握り締めて、より強い力を込める。

 

また、強くなっている(・・・・・・・・・・)

 

そう自身の〝成長〟を越えた〝進化〟に笑みを浮かべ、カイドウの脳裏に見込みのある、中々に強い三人の海賊船長の姿が映り込み、彼らを相手取るために向かおうとする。───だが、その三人を上回る気配の接近、ヤマトとエースの存在を感知し、立ち止まる。

 

一人は我が子、もう一人は強敵の子、どちらも十分に〝覇気〟を鍛え上げた強者だ。しかし、カイドウの興味は既に三人の海賊船長に向いている。

 

「カイドウ、勝負だァーーーッ!!!」

 

力強く勇んで叫んだヤマトは床を蹴って飛び上がり、カイドウの振るう金棒と同じ素材を使い、幼き頃より苦楽を共にしてきた序列に入らずとも大業物に匹敵する金棒〝建〟をカイドウの脳天に向かって、満面の笑みと怒りを込めて思いっきり叩き落とした。

 

「痛くも痒くもねえなァ…」

 

しかし、カイドウは平然と腕を伸ばしてヤマトの首を掴み、彼女を追ってきたエースに放り投げる。カイドウにヤマトやエースと戦う意思はなく、今は静かに己を打ち倒した二人の男の事を想い、心地好き敗北を噛み締めていたいのだ。

 

「……まただ、またその眼だ(・・・・・・・・・・)!!」

 

「ヤマト?どうしたんだよ!?」

 

その一時の静寂をブチ壊すように叫ぶヤマトにエースは困惑し、彼女の憂いを帯びる眼差しに驚く。しかし、エースの目に映るのはまるで迷子になっあ子供が親を探すように喚くヤマトの姿だ。

 

「ボクを見ろ、カイドウッ!」

 

そう切に願うヤマトの言葉にカイドウが応えることはなく、静かに背を向けて、三人の海賊船長の元に通じる通路を歩き始める。その背中を必死に追い縋るヤマトを払いのけ、カイドウは進んでいく。

 

「ボクがいる!ボクがカイドウをッ……お父さんを倒すから待ってよ、お父さん!まだ、そっちに行かないでよ!!」

 

ヤマトの悲痛な叫びが木霊する。が、もはやカイドウは人であることを捨て、死闘を求めて彷徨う竜に成り掛けているのだ。

 

「─────止まってやれよ、カイドウッ!!」

 

カイドウの道を荒々しく燃える炎が遮った。

 

「ウォロロロロロ。何のつもりだ、小僧」

 

「アンタ、ヤマトの父親なんだろ?少しは前じゃなくて後ろを見ろよ!!アンタを追いかけて、追いかけて、ずっと頑張ってる子供ぐらい見ろよ!アンタのために死に物狂いで強くなろうとしてるアイツに『強くなったな、偉いぞ』って、立ち止まって言ってやれよ!!」

 

カイドウの巨体に飛び付いて、怒りのままに言葉をぶつけるエースの言葉にカイドウの目付きが変わる。竜の鋭さは残したまま、人の気配が僅かに戻り始めている。

 

ゆっくりとカイドウは後ろに振り返ると。

 

袖無しの白い着物に赤い袴を履き、自身と同じ金棒を地面に落として涙を流す成人しているはずの娘が小さな子供のように見え、身体中が怪我で傷だらけになっているのに、それでも腕や手を必死に伸ばしているのだ。

 

「小僧、名前は?」

 

「エース、ポートガス・D・エースだ」

 

エースの名前に懐かしさを感じるが、すぐにカイドウはエースの身体を掴んでヤマトに投げつける。

 

「……オレは今さら謝るつもりも立ち止まる気もねえ。だが、お前らに一つだけ言っておく。海賊王になりたきゃオレ達に追い付け、そしてオレ達を追い付いてみろ。ヤマト、お前もおでんに憧れるなら、ひたすらに突き進んでみせろ!────その先にオレは立っている」

 

そう言い残してカイドウは〝青龍〟に変わり、暗雲の立ち込める空に昇っていき。───暫くして取り残されたヤマトは涙を拭い、エースの隣で立ち上がった。

 

 

 

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