【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「ダラッシャアァッ!!!」
オレは海賊の一人を捕まえ、力任せにぶん投げてイビツに出来た空間に飛び込み、四方八方に向かって百を越えるパンチを繰り出していく。
まだ傷も塞がっていない上に血が足りなくて目の前が霞んで見えるが、大量に押し寄せ、迫り来る海賊や侍、忍者に心が躍り、荒々しく魂が震える感覚に血潮が沸き上がり、動きの精度が高まる。
「フルボディ、しゃがめっ!!」
最高の気分に酔いしれそうになっていたそのとき、ジャンゴの叫び声で闘争に支配され掛けていた意識が戻り、バカみたいにデカい巨人の攻撃を防ぐことに成功した。
「白ひげのところにいた……いや、クローンか?」
しかし、血色は悪いし、ヨダレも垂れて〝金獅子〟の作っていたクローンに比べると知性を感じず、単純な命令をこなすのも難しそうな雰囲気だ。
「な、なんで防げるんだ!?」
「バケモンだ!」
「いや、あの背中は金剛力士だぞ!」
「ピンクゴリラの間違いだろ、どう見ても」
ざわめく人々に混じってオレの悪口を言うジャンゴを睨みつつ、背後に忍び寄ってきた忍者の顔面に裏拳を打ち込み、倒す。
やっぱり本気の戦いが出来るのはカイドウだけか。
そんなことを考えながらワノ国の上空にやって来る鬼ヶ島を見上げる。あそこにカイドウがいるのは、なんとなく分かる。だが、他にも強そうなのがいるな。
ドン!
「……ピストル。いや、こっちだと火縄か」
おそらくオレを狙ったであろう弾丸を掴んで受け止める。この肌触り、海楼石を加工して作ってるのか。海軍でも使ってるやつはいるけど。この弾丸の方が形も良いし、加工も上手いな。
しかし、なんでオレに海楼石の弾丸を……。
「まさか、オレのこと能力者だと思ってるのか?」
────怒りが、発露する。
何十年と鍛え上げてきた肉体を外付けの付属品みたいな悪魔の実を食べたものだと思われた怒りがこみ上げ、オレの身体が〝殺意〟に蝕まれる。
地より這い出るように〝波動〟がオレに纏わりつき、オレの手足に〝殺意〟が迸り、オレの思考があの日と同じように怒りに呑まれる。
「アホゴリラが、少しは落ち着け」
「ジャンゴ、邪魔すッッッ………悪い、助かった…」
「思考はクールにしとけよ」
そう言うとジャンゴはオレの怒りに怯え竦む相手を押し退け、未だロロノア・ゾロやサンジ、おそらくネームドキャラの強敵達を残して戦いの終了を告げる。
怒りを静めろ、オレは海兵だ。
あの日の過ちを繰り返すな。
怒りは不要、心涼しく在れ。