【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝海賊王に最も近い男〟

「グララララ、随分とヤンチャしてるみてえじゃねえか。オレの縄張りで暴れまわってる海兵ってのはテメーのことだろ?」

 

海賊をぶちのめした、そのときだった。

 

オレの捕まえた海賊を気絶してしまうほど強大な〝覇王色の覇気〟を纏って、いきなり空から現れた巨大な男をオレはジャンゴに聞かなくても覚えている。いや、絶対に忘れることの出来ないインパクトを持つ男だろう。

 

この様々な人が生きる大海原の世界に於いて、誰もが彼の名を知っており、海兵も海賊も畏怖と敬意を込めて。

 

人々は、こう呼んだ───。

 

海賊王に最も近い男、エドワード・ニューゲート

 

「ごきげんよう、海軍〝中将〟のフルボディだ」

 

「ほお、オレの覇気に耐えるか。ガープのヤツも若いヤツを育てるのが上手くなったもんだ」

 

そう楽しそうに大薙刀を担いでオレを見下ろす〝白ひげ〟の後ろに続々と彼の〝息子〟は揃っていき、オレの足元に転がっている海賊を見て、怒りを露にする。

 

「まずはオレの息子を返してもらおうか」

 

「息子?」

 

オレは足元の海賊を見つめる。

 

よく見れば〝白ひげ〟の海賊旗のマークを背中に刻んでいたらしく、オレは海軍の避けていた暗黙の締約を破ってしまったようだ。

 

どうしようか、これ?

 

そんなことを考えながら海賊の手錠を外そうとした瞬間、ふとオレは思ってしまった。これは、ひょっとしなくても最強の海賊と戦えるチャンスじゃね?と素直に思ってしまったわけだが。

 

絶対に戦わせてくれないよなあ。

 

「ビビって動けねえのかよい?」

 

「ああ、いや、ビビってはいない。どうやったら邪魔されずに〝白ひげ〟とタイマンで殴り合いの勝負ができるのかと考えただけだ」

 

オレの言葉に白ひげ海賊団は停止し、あからさまに「コイツは何を言っているんだ?」という失礼すぎる視線を向けてきやがる。

 

「お前ら絶対に笑うなァ……コイツは本気だ。本気でこの〝白ひげ(オレ)〟と対等に殴り合おうとしていやがる。何年ぶりだろうな、ここまで本気で信念を貫くバカなヤツを見るのは」

 

「おいおい、バカとは失礼すぎるだろ?」

 

そんなことを言い返しながら足元の海賊をパイナップルヘアーの男に渡して、地鳴りを起こして歩く〝白ひげ〟と一緒にそこそこ規模のある島の中心部に向かう。

 

「おい、ハナタレ小僧。この〝白ひげ〟に挑むんだ。さっきの自己紹介じゃねえ、本気で戦り合う瞬間の名乗りぐらい言ってみろォ…」

 

「じゃあ、改めて名乗ろう。オレは〝鉄拳〟のフルボディ、この世で一番強いっていうアンタを今からブッ飛ばす男だ。しっかりと覚えておきやがれ!」

 

「よく吠えたな小僧ォッ!!」

 

オレはナックルを嵌めた左右の拳に〝武装色の覇気〟を纏わずに〝白ひげ〟の間合いに飛び込み、豪快なパンチを全身に受けながら〝白ひげ〟のボディをぶん殴り、お互いに上半身を仰け反らせる。

 

「ハッ、ハハハハハハッ!!これが世界最強のパンチかよ、すんげえ身体に響くなァ…!」

 

「グララララッ!ワンパク小僧が、このオレを仰け反らせやがったな!?」

 

オレがあまりの強さに高揚し身震いする最中、〝白ひげ〟は大薙刀を地面に突き立て、オレに向かってド迫力のガープ中将みたいな拳骨を振り下ろしてきた。

 

そのパンチを敢えて受け流さず、オレは骨身に沁みる痛烈な打撃を浴びながら殴り返し、無防備に開いた〝白ひげ〟の脇腹に左のロングフックを叩き込み、全身全霊の覇気を使わない状態で迎え撃つ。

 

「コイツはァ…どうだッ!!」

 

「なんだ、そりゃあ゛ァ゛───ッ!?」

 

〝白ひげ〟が右の拳を振り上げる。

 

彼の拳を包み込むように現れた球体は景色を歪め、オレはパンチを受けるためにガードを固めた次の瞬間、全身を突き抜ける凄まじい〝震動〟に身体を揺さぶられ、オレは血反吐を吐いて地面にめり込んだ。

 

「ぶわはぁっ!?全身の骨が砕けるかと思うぐらいすんげえパンチだった。───けどなあ、なにも〝震動(ビート)〟を使えるのはテメーだけじゃねえぞ!!」

 

「あァ?どういう意味だ、ソイツは」

 

だが、オレは直ぐに飛び起きて拳を握り固める。

 

「〝ビートパンチ〟ッ!!」

 

「ごお゛ォ゛ッ!?」

 

爆発的な心臓の鼓動を生み出して、体温調整のために発生するシバリングを無理やり起こし、全ての〝震動(ビート)〟を右の拳に集めて〝白ひげ〟をぶん殴る。自分の使う〝震動〟の攻撃に度胆抜かれて血反吐を吐く〝白ひげ〟にオレは「してやったり」と笑みを浮かべる。

 

「…ずいぶんと味な真似するじゃねえか。どうやってオレの一撃を真似やがった?」

 

「べつにそこまで難しくねえさ。ちょっと豪快に心臓の鼓動を強くして、それに身体の震えを利用してぶん殴っただけだ」

 

「グララララ、ソイツはすげえな」

 

オレは素直に〝ビートパンチ〟の原理を話しながら〝白ひげ〟との間合いを詰めていく。折角、本気で戦ってくれてるんだ。ここで後ろに逃げるなんて勿体無いこと出来るわけがないんだよ。

 

「そろそろ片ァ着けるか?」

 

「ハッ、こっちも本気のパンチだぜ!」

 

オレは右の拳を振りかぶるように後ろに引き、〝白ひげ〟も同じように右の拳を後ろに振りかぶって構える。

 

「〝拳骨爆星(ビッグバン・インパクト)〟オォォッ!!」

 

「〝海震〟ッ!!!」

 

オレの持つ最強のパンチは〝白ひげ〟の振り下ろした拳骨とぶつかり、凄まじい衝撃波を作り出しながら大地を砕き、空をぶち割り、一瞬の輝きと共にオレ達の攻撃に耐えきれなかった島は弾け、オレは海底までめり込み、〝白ひげ〟は上空にブッ飛んだ。

 

がばぼぼがぼぼべばぁ(次は絶対に勝つ)っ!!」

 

そんなことを叫びながら群がってきた海王類をぶん殴り、海面を目指して泳ぐ。向こうには飛行できる能力者がいるし、大丈夫だろうけど。

 

「ぶはぁっ、怒られるよなあ……」

 

あー、いやだ。

 

オレは消えてなくなった無人島を放置して、ガープ中将やアイボリー達の停泊しているウォーターセブンを目指して、このまま泳いでいこうかと考える。

 

「ほら、掴まるよい。海兵」

 

「……良いのか?」

 

「今回だけオヤジの頼みだよい」

 

「なんか悪いな」

 

オレは淡い炎に包まれた両足を伸ばす〝不死鳥〟のマルコに申し訳なさを感じながら、白ひげ海賊団の巨大軍船に連れて行ってもらう。

 

 

 

 




〈ビートパンチ〉

出典・トリコ

美食四天王・ゼブラの必殺技。

爆発的な心臓の鼓動を生み出して、全身を揺らす強力なシバリングを利用して、音の震動を纏った拳で相手をぶん殴るというシンプルなパンチ。


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