【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
ウォーターセブンの穏やかな潮風を浴びるオレの真後ろをドスドスと歩くホーディは行き交うレディを見る度、アホみたいに鼻息を荒くして「やはり地上はスゴい。オレはもう性欲を持て余すぞ、ジャンゴ!」と呟いた。
そんなギラギラと血走った目を見開くホーディにオレはゲンナリしながら「逮捕だけはされるなよ」と切実な思いで返事を返す。
一応、こんなんでも〝覇王色の覇気〟を持ってるんだよな。静かに心の中で思いながらオレはジンベエの頼まれたホーディとフルボディを引き合わせるという仕事を早々に終わらせるために、ひたすら歩き続ける。
「ジャンゴ、あれはヤバい」
「なにがだ?」
「あれほど麗しい人魚もいるんだぞ?」
そう言ってホーディの指差す方向に顔を向け、オレはこの世のモノとは思えないおぞましい存在を水路で見てしまった。いや、この表現はレディに対して失礼だな、うん、もっと違った表現をするべきだ。
「お嬢さん、オレと一夜限りのパラダイスを築くつもりはありませんか?」
「んがががが!!こりゃまた、随分と積極的なボウヤが来たもんだねぇ…だけど。あたしにゃあ旦那がいるんらでな、諦めとくれ」
「しかし、オレは貴女にムラムラしています!」
「少しゃあ風情を持ちなバカモン!?」
バシン!と頭を叩かれるホーディに溜め息を吐きつつ、オレは海列車シフト駅の駅長として勤務する〝化け物の置き物〟あるいは〝怪獣のばーちゃん〟ことココロのおばあちゃんを見つめる。
「これが人魚なんて知りたくなかった…!」
「そっちもそっちで失礼だねぇ!?」
オレに酒瓶を投げつけるココロのおばあちゃんに現実の辛さを嘆きつつ、折角なのでサンジが度胆を抜かれたアクアラグナの塩を使った料理を食べたいぜ。
「あ?」
「クル?」
ふとオレの帽子に止まったハトを見て、ようやくオレは重大な失敗に気づいてしまった。オレは、フルボディ達より先にウォーターセブンに来ていた。
ってことはサイファーポールもいる!
「最悪すぎるぜ、これは」
「なにが最悪なんだ?」
どこぞの王様みたいな声にオレはビビりつつ、ゆっくりと後ろに振り返ると。そこには仕事終わりっぽい姿のロブ・ルッチが佇んでいた。
「クルッポー」
「ブフォ!?」
いきなり沈黙を破るように鳴いたハト。
いや、ロブ・ルッチの家族ともいえるハットリの鳴き声に耐えきれず、オレは吹き出してしまった。あの寡黙な顔で腹話術はズルすぎるだろ!?
「笑いすぎだ」
そんなことを考えながら地面を何度も叩いて、ヒーヒーと爆笑し、オレはロブ・ルッチに蹴られて水路に落ちた。……いや、まあ、アホみたいに笑ったのは悪かったけど、蹴らなくても良くないか?