【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「アクアラグナ?」
「そろそろ時期らでな、いくら魚人でもアレを受けたら一溜りもない。ボウヤも怪我したくないなら高台らりに行って、避難しときな」
オレは豪雨の降り続ける中、ココロさんの勤め先の戸締まりを手伝っていたとき、アクアラグナというウォーターセブンを丸ごと呑み込んでしまう高潮の話を教えてもらった。
アクアラグナの影響で年々ウォーターセブンは水位は上がっており、年を重ねる毎に高潮の規模も大きくなっているらしく、このまま行けば数十年後にはウォーターセブンは沈むだろうとココロさんは呟く。
「その時期って何時なんだ?」
「んががが!今夜らね」
「今夜なのか!?」
あまりにも突然すぎる発言にオレは驚き、ココロさんをガン見してしまった。やっぱりステキなお姉さんだと思う反面、だからジャンゴは高いところに向かったのかとオレはようやく納得した。
「ばーちゃん、そろそろ行くよ!」
「迎えも来たんでらね、アタシはもう行くらよ」
「おう。気を付けてな、ココロさん」
しっかりと高台に向かっていくココロさんとお孫さんを見送り、オレは逆方向に向かって歩き出す。
───アクアラグナ。まだ海の底で暮らしていたときは知る由も無かったステキなお姉さんを悲しませる忌まわしき高潮はオレがブチ壊してやる。
「ルフィ!何処にいるのよおぉ~~~~っ!!!」
そんなことを考えながら歩いているとオレンジ色の髪をしたボンキュッボンなステキなお姉さんと擦れ違う。ルフィ?……ルフィっていえばジャンゴの教えてくれた主人公の名前だったな。
「おい」
「な、なにアタシは急い…でッ?!…」
「お前の探してるヤツはあれか?」
オレの顔を見て驚愕するステキなお姉さんを口説きそうになるのを我慢して、オレは頭に叩き込んでおいた主人公の人相をなんとか思い出して、家屋に挟まっている少年を指差す。
「あ、あんなところに!?」
アクアラグナの波が迫っている家に挟まったルフィのところまで地面を蹴って跳ぶ。少し地盤が緩いせいで床が割れたが気にするほどじゃないか。
「ナミ!ナミか?!」
「ルフィ、何やってんのよ!?早くしないとロビンが、なんで抜けない…!」
ワチャワチャと騒ぐ少年とステキなお姉さんを守るようにアクアラグナに向かって、オレは両手を突き出して踏ん張るように構える。
我が至高たる〝魚人柔術〟の奥義───。
「〝逆潮一本背負い〟ッ!!」
我が身に降り注ぐ海流を瞬きの間に捻り上げ、同質の海流をぶつけることでアクアラグナを粉々に破壊し、無理やり捻り上げた大気は竜巻に変わって雨雲を一撃でブチ抜く。オレの投げは引潮や渦潮と違って、馬力が有りすぎるからな。
本気で投げたのはジンベエ親分以来だ。
「ウソ、天候を変えたの…!」
「うほおぉぉーーーっ!!すんげえ投げ技っ!」
「ジャハハハハッ!オレの後ろにいるヤツは誰だろうと死んでも守り抜いてやる!もしもヤバかったらオレを頼れ、オレは〝大簗〟のホーディだ!!」
そう言ってオレは二人を抱えて街に跳ぶ。
〈逆潮一本背負い〉
出典・ONE PIECE/オリジナル
ホーディ・ジョーンズの必殺技。
数十年に及ぶ鍛練を経てたどり着いた〝覇王色の覇気〟と〝武装色の覇気〟を重ねた海だけでなく大気すらもぶん投げる至高の一本背負い。