【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
わらわはボア・ハンコック、海賊女帝である。
絶世の美貌を持つわらわに言い寄る男は星の数ほど多く存在しているのは公知の事実なのじゃが、ほんの些細な出来事によってわらわは恐ろしい変態に狙われることになってしもうた。
その変態の名前はホーディ・ジョーンズ。
〝海侠〟のジンベエの唯一たる部下であり、わらわの美貌に囚われる以前より女に見境がなく、ジンベエ曰く「アイツは揺りかごから墓場まで女は自分の出会うべきステキなお姉さんだと思っとるじゃ」と宣った。
「ジャハハハハッ!!待ってくれよ、ボア・ハンコック!!せめて、オレとデートだけでもしよう!あわよくばラブな関係になろう!」
「えぇい、付いてくるでないわ!?」
ホーディ・ジョーンズは海を泳ぎ、空を跳び、陸を駆ける弱点の皆無な変態なのじゃ。いくら高速船に乗ろうと泳いで追いつき、わらわに近付いてくる。
わらわに靡かぬフルボディによってお仕置きを受けて尚も向かってくるのは一種の生存本能によるものかと不安を抱きつつ、わらわはアイボリーやおつる殿の背後に回り込む。
「ジャハハハハッ、オレはおつるさんも範囲内だ!!」
「冗談は止しとくれ。アイボリー」
「えっ、私が相手をするんですか!?」
「この際だ。もうオレはNTRも辞さねえ!!」
そう言い放った、そのときじゃった。
何処からともなく現れたフルボディとジャンゴによってホーディ・ジョーンズはボコボコにされた挙げ句、地面に上半身を無理やりめり込まされ、ピクリとも全く動かなくなってしもうたのじゃ。
「アイボリー、怪我はないか?」
「おつるのばあさんも怪我はないよな?もしもアンタに怪我があったらセンゴク元帥とガープ中将にオレ達が怒られちまうからさ」
「あたしは大丈夫さね。怪我の不安や心配なんてのはハンコックにしときな」
「私も大丈夫ですよ、あと二人ともハンコック氏のことも心配してあげてください。ホーディ氏の変態行為の一番の被害者は彼女なんですよ?」
うむ、その通りじゃな。
アイボリーとおつる殿の言う通りじゃと思いつつ、わらわに極力近付こうとしない二人にわらわは好感を持っておるぞ。あのような変態と対峙した後では、まさに雲泥の差と言えよう。
「ジャハハハハッ!!」
「いい加減にしろ、バカタレッ!」
「ガフッ!?」
フルボディはまたもや飛び出してきたホーディ・ジョーンズの腹部に拳を打ち込み、流れるように引き戻した腕をそのまま顎に振り上げた。
「〝燕返し〟の応用か?」
「ただのパンチだ」
そんなことを話す海兵に、わらわは困惑しながら変態の脅威は去ったのだと安堵し、そそくさと見つかる前に帰ることにした。
もう変態は懲り懲りじゃ……。
〈燕返し〉
出典・はじめの一歩
ボクサー・浜団吉/真田一機の必殺技