【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝忌まわしき拳〟の目覚める日 中

その〝殺意〟は忽然と現れた。

 

血まみれのフルボディを激しい〝覇気〟のようにも感じるが、圧倒的な〝殺気〟を孕んだ波動は大気を揺るがし、毒蛇の如くフルボディの全身に纏わりつき、いつも両手を上げて構える彼のフォームではなくなっていた。

 

フルボディは大雑把に左手を下段に向け、右手を握り締めて頭部の真横に構える。ワシの知らない、一度もフルボディの使った事の無い構えだ。

 

「心の臓、止めてくれる…!」

 

「落ち着かんか、フルボディ!?」

 

まるで暴風雨の如く放たれる無数の拳打、その拳打の嵐を突き抜けるようにワシの腹や下半身を穿つ蹴撃、普段のパンチのみに固執しとるフルボディとは似ても似つかない猛襲にワシはガードを固めながら呼び掛ける。

 

「ヌェアッ!!」

 

「ゴフッ、ごお゛ぉ゛ッッ」

 

フルボディのストレートフックを鳩尾に受け、臓物を叩き潰す様な衝撃に腰が曲がり、ワシの横面に向かって続け様に裏拳が打ち込まれ、ワシは身体ごと無理やり地面に叩き落とされる。

 

……ワシ、何十年ぶりに倒れたかもしれんな。

 

「自分の師に向かって無遠慮に攻撃を仕掛けおって、此処からはワシも本気で仕置きに行くぞ、この軟弱者のフルボディ!!」

 

「我が〝波動〟の糧となれ、ガープッ!!」

 

そんなことを考えながら立ち上がり、フルボディとお互いの拳を交換するように殴り合う。だが、いつものヤツとは違う、人体の急所を執着的に狙い、コイツはワシの息の根を本気で止めようとしとる。

 

「〝斬空〟────」

 

「なっ、衝撃波か!?」

 

ガッチリとワシの腹に両手首を重ねて押し当てた瞬間、凄まじい〝覇気〟の集束に気付き、もはや別人の様な人相になってしもうたフルボディの腕を殴り落とす。

 

「───〝波動拳〟ッ!!!」

 

「ぬおぉおぉおーーーっ!!!?」

 

弾丸に〝武装色の覇気〟を纏わせて飛ばす技術は存在するが、己の生み出す衝撃波に〝武装色の覇気〟を纏わせるなんぞ前代未聞どころの話ではないぞ。

 

チリチリと焼き焦げたコメカミと髪の毛を押さえるように触り、また直ぐに拳を握り締めてフルボディに向かって拳を打ち込み、今度は大技を撃てぬように重傷手前まで殴り続ける。

 

「はどうけん、波動拳か?普段のパンチに執着しとるお前が拳を捨てるとは予想外じゃが、ようやく見えてきたぞ。お主の中に巣食う〝殺意〟が───」

 

「くだらん世迷言だ。我が殺意の波動を貴様程度の男に見据えることは不可能!!貴様の〝拳骨〟など粉微塵に砕いてく、があっ、なんだッ!?……ふざけ、んなッ、早く…でてけッ!…」

 

いきなり動きを止めたフルボディは己の顔を殴り始める。突然の出来事に呆然とし、ワシはフルボディの抗う姿に魅入ってしまっとった。

 

「愚図が、貴様は引っ込んでいろ」

 

ゆっくりと血まみれの顔を持ち上げ、フルボディは再び拳を構えてワシに突進し、先程より洗練され連動率の上がった猛打を繰り出してくる。

 

「目覚めろ、フルボディ!」

 

「一瞬千撃…!!」

 

───次の瞬間、一瞬にして千の拳を受けた。

 

「まだじゃアァッ!!!!」

 

「ヌウゥアァッ!!?」

 

「この程度の攻撃なんぞとっくに経験しとる」

 

ワシは吹き飛んだフルボディに、いや、フルボディに乗り移っとる得体の知れぬヤツを叩き出すためにメキメキと拳を握り締める。

 

 

 




〈斬空波動拳〉

出典・ストリートファイター

使用者多数の必殺技。

暗殺拳の伝統的な技のひとつ。全身の気を凝縮し、両手のひらより放つ強烈な波動。さらに衝撃に〝武装色の覇気〟を纏わせている。

〈一瞬千撃〉

出典・ストリートファイター

使用者多数の必殺技。

〝殺意の波動〟に目覚めた者は自ずと技の入り口にたどり着き、一瞬にして千を越える打撃を打つ。しかし、その神髄は打撃の瞬間に〝波動拳〟を体内に捻り込み、対象の内外を悉く破壊する事。


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