【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
「元気そうね、フルボディ?」
「ごきげんよう、ベルメールさん」
ニッコリと笑顔を浮かべてオレを見上げている鮮やかな赤髪を独特の刈り上げヘアースタイルにした美女ベルメールは海軍新兵の頃にオレを指導してくれた恩人だ。
もっとも恩人という免罪符片手に地獄のような特訓を課せられ、彼女の任務に付き合わされて死ぬほど苦労したことは絶対に忘れることは出来ない。
「それで、今回のご用件は?」
「ご用件って程じゃないわよ。ちょっと不自然な漁船を見かけることが増えてね。もしかしたら海賊かも知れないし、アンタに伝えとこうと思って」
「成る程、漁船に偽造した海賊か」
彼女の言葉にオレより早く答えるジャンゴ。
流石はオレの親友、もう殆んど原作の知識もうろ覚えなオレと違って真面目に原作のストーリーを手帳に書き残しているだけのことはある。
そんなことを考えながらベルメールの真後ろに隠れている子供に視線を向ける。どこかで見覚えのある顔だが、あんまり上手く思い出せない。
「フルボディ、どうかしたか?」
「いや、なんでもない」
「フッ、お前の事だ。どうせ忘れてるんだろ?」
「…………」
ジャンゴの言葉に図星を突かれ、何も言えずに視線を逸らす。オレの親友なら恩人の前ぐらい上司を持ち上げてくれてもいいだろ。
「ふふ、仲良しだねアンタら」
「「まあ、親友だからな」」
どうやらベルメールさんにもオレ達は親友に見えるようだ。まあ、オレもジャンゴも原作でふたりが親友になったから親友になろうと思った訳じゃなく、ホントに秘密を共有できる相手だから親友と呼んでいる。
きっとONE PIECEの世界に転生する前に出会っていても親友になっていたとは思うが、ここまで秘密を共有できるようにはなっていなかったはずだ。
「ところで、その子達は?」
「ふふん、私の子供だよ!」
「なん、だと?」
ベルメールさんに子供が?
あまりにも衝撃的な一言に硬直するオレに「な、なによ、悪いの!?」と文句を言う彼女の足元に倒れ込みながら、長年の片想いが散ったことをオレは悟った。
その様子でオレの心情を察したジャンゴもまた「気にするな、世界は広いんだ」とだけ静かに呟き、深く中折れ帽子を被り直した。
なんとも言えない悲しさを抱いてベルメールさんに「また来なよ」と見送られながら、ふらふらと軍艦に戻っている途中、どこか遠くを見つめるジャンゴに「ちなみにベルメールはナミの母親だぞ」と教えられた。
「オレの記憶力ぅ…!」
どうして、おれは重要な事を忘れるんだ?
〈ベルメール〉
ココヤシ村のみかん農家
フルボディがまだ新兵だった頃の先輩であり、彼の教官を務めるなど現在のフルボディを構築する重要な人物。実はフルボディの初恋かつ片想い相手だったらしい。