【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

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〝海賊狩り〟のゾロ

ガイコツ剣士の仕込み刀を右斜め下に振り下ろし、素早く逆手に持ち変えてリューマの胴体を斬り上げるが致命傷と言える手傷を負わせることは出来ず、オレの振るう刀は空気を斬る。

 

「〝三刀流〟───〝牛鬼〟ッ!!」

 

「ヨホホホ、私相手に突き技ですか!」

 

「牛鬼の武器は角だけじゃねえ…!」

 

「グフッ!?」

 

カラン、カカン、と下駄を鳴らしてオレの右の刺突技を受け流しながら笑うリューマに向かって、牛鬼の隠し持つ角にも劣らない魔爪───至近距離で最大火力の一撃を誇る〝勇爪〟を放つ。

 

リューマは攻撃を受けたリアクションを取っているが、オレに手応えはななかった。おそらくオレの〝牛鬼勇爪〟はアイツの着物の脇を少し斬った程度だ。

 

「おい、斬れてねえだろ」

 

「……ヨホホホ、やはり分かりますか。あそこで好機と判断し、そのまま向かってくれば、その首と〝影〟は私のモノになっていたんですがね」

 

「生憎とオレの首はテメーにくれてるほど安くねえ。親友と船長との野望を叶えるまで、オレは負けるわけにはいかないんでな」

 

「俄然やる気が出てきましたよ、ヨホホホ!」

 

オレの首を狙うように振るわれる突きを受け流し、往なし、逸らしながら切り返し、お互いに最も刀を振りやすい間合いを奪い合う。

 

だんだんと剣の間合いが重なり、オレとリューマの攻撃は身体を開いて、相手を切り裂くモノに限定されていく。もっとだ、もっと近づけ、死地に飛び込め…!

 

「〝三刀流〟───〝蟹獲り〟ッ!!」

 

ちょうどオレとリューマの身体が擦れ違う刹那に両手を蟹のハサミに見立ててヤツの身体を挟み、力任せに叩き斬ろうとした瞬間、ガギィンッ!!と鈍い金属音が響き渡り、オレの左手はリューマに掴まれ、刀を振るえずにいた。

 

「ヨホホホ、危うく身体を真っ二つにされるところでしたよ。今度は此方の番、その身体に風穴を開けて差し上げましょう…!〝酒樽舞曲(ポルカ)・ルミーズ〟ッ!!」

 

「おわっ、ぐあ゛ァ゛ッ!?」

 

無数の刺突に特化した剣戟を躱しきれず、僅かに右肩と脇腹を切り裂かれる。クソ、危ねえな。もう少しで首を突き落とされるところだったぞ!?

 

後ろに飛び退いて傷口を滴り落ちる鮮血に視線を向け、また直ぐにリューマに意識を集中させる。この程度の傷なら問題ない。鷹の目に斬られた傷に比べりゃあ大抵の傷は薄皮程度だ。

 

「〝三刀流〟───〝奥義〟」

 

ゆっくりと両手の刀を旋回させて、すべての意識をリューマに集める。ただ、オレは斬るのみ。祖先だか名前だかもう関係ねえ、やることは一つだ。

 

〝伝説の侍〟リューマを斬り伏せる。

 

「────〝鼻唄三丁〟」

 

オレとリューマはお互いに持ち得る最大最強の剣戟を放つために全身の力を集結させていた、そのときだった。オレの構える三本の刀が、じわりじわりと鷹の目やリューマと同じ〝黒刀〟に刀身が変わっていく。

 

なんだか知らねえが、このまま仏陀斬る!

 

「〝矢筈〟───」

 

「〝三・千・世・界〟─────ッ!!!」

 

訳の分からねえ力に後押しされるようにオレは踏み出し、リューマの渾身の突きを打ち破るように三刀を同時に振り抜き、斜め十字に身体を切り裂き、トドメに横一文字の剣戟をリューマの身体に叩き込んだ。

 

今まで出したことも感じたこともない強大な力を制御しきれず、オレは地面に転がりながら上半身と下半身の別れたリューマに視線を向ける。

 

「…ヨホ…ヨホホホ…見事なり…」

 

リューマは緩やかに崩れ始める身体を動かし、オレに称賛の言葉を投げ掛け、いつの間にか鞘に納めていた黒刀を突き出すように右手を差し出していた。

 

「…我が愛刀……〝黒刀〟の秋水をお主に遣ろう……ああ、死んで尚も善き死合いを出来た…ヨホ…ヨホホホ…いつかお主の野望の…果てを…」

 

「ああ、お前の強さを糧にオレは最強になる」

 

そう言ってオレは風に乗ってこの世を去る。

 

〝伝説の侍〟霜月リューマを静かに見送った。

 

 

 

 

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