【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
そこにいたのは紛れもなく変態だった。
全身にハチミツを塗りたくったフンドシを顔に身につけた全裸の男は優雅にシャボンディ諸島のメインストリートを歩み、流石の天竜人も変態すぎる男には近寄りがたかったのか。そそくさと別の道に移動しようとした、そのときだった。
「ウオオォォーーーーッ!!そこのステキなお姉さんを連れた天竜人ォ!!是非ともお姉さんとお話しさせてくれえぇ!!ついでに、そこのステキな天竜人のお姉さんともお話しをさせてくれえぇーーーーっ!!!」
そして、変態は地面をハチミツで滑った。
「く、来るなえぇ!?」
「ひぎゃああぁぁぁっ!!?」
そう、ホーディ・ジョーンズだ。
なぜかハチミツを全身に纏って地面を高速で滑り、アイツは天竜人に突撃し、護衛の銃弾はハチミツに弾かれ、必死に逃げる天竜人は血走った目で迫り来る変態にビビり、自分の引き連れていた人々すら置き去りにして、みっともなくダルダルの身体を揺らして逃げていく。
「ジャハハハッ!あとは首輪を外せばお前らは自由だぜ、ほら一人ずつオレの前に並びな」
その一言にガタガタと振るえていた老若男女の目に光が戻り、バキバキと簡単に引き千切られていく自分の首輪に歓喜の声を上げている。
しかし、そこにいるのは変態だ。
ここは海兵として捕まえるべきなんだろうが、流石にオレの持ってる手錠じゃホーディを捕まえておける自信はないし。よし、今回は見なかったことにしよう。
ついでに言えば変態には関わりたくない。
「さて、次は何処に行くか」
そう呟くホーディの股間のモザイクは健在であり、ハチミツを纏って歩く姿は変態を越えた変態だった。ジャンゴのヤツは「すまん、ちょっと吐いてくる」とか言って、どっかに言っちゃったしなあ…。
「ムッ、そこのステキなお姉さん!オレと一晩のSweetな時間を過ごしてみる気はありませんか?えっ、婚約者がいるの?……それなら仕方ねえか」
渋々と引き下がっているようにも見えるがホーディのヤツは颯爽とスライディングし、メインストリートを歩いている女の子の足元を軽やかに滑っている。
「……とりあえず、攻撃しとくか」
オレはいつものように〝指弾〟を撃ち込んだ瞬間、なんか野太い悲鳴と共に、よく耳にするゴミクズの悲鳴も聴こえてきたような気もするが、きっと気のせいだろうと近場の出店でレモネードを買う。
「あー、気持ち悪かったぜ」
「レモネード飲めよ。それにしてもさ、やっぱりホーディってオレ達の想像より遥かに人知を越えたアルティメット変態野郎として極まってるよな」
「もう〝変態仮面〟を越えた怪物だな」
そんなことを話しながら歩いていると天竜人を股間に押し付けて、メインストリートを滑っていくホーディを目撃し、オレとジャンゴはレモネードを吹き出した。
汚ったねえなあ、おい。
〈
シャボンディ諸島に出没する変態魚人
おそらくサメ族の特徴を持つ全裸の変態仮面。フンドシで顔を覆っているため正体を特定することは不可能だと海軍および世界政府は話している。
主に男の天竜人や人攫い屋を狙って行動しており、その醜悪な攻撃手段は股間を押し付けたり、執着的に追い回して股間スライディングを決めるなど。そのため天竜人達は魚人を拐うことは激減し、むしろ天竜人や世界政府は魚人にビビっているそうだ。
その正体は、いったい誰なのか……!?