【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。   作:SUN'S

87 / 316
シャボンディの麗しき変態達の大戦争(シャボンディパンデモニウム・パンデミック)

その日、天竜人は逃げていた。

 

押し寄せる股間に白鳥を携えたレオタード姿のオッサン達、全身にハチミツを塗りたくったフンドシ仮面、なんか関わりたくないカマバッカ王国の化け物の大行進に世界政府も海軍も逃げ出した。

 

変態は変態を引き寄せる。

 

そんな知りたくもない現実にオレは溜め息を吐きつつ、バケツに顔面を突っ込んでホントに吐きそうになっているジャンゴの看病に勤しみ。チラリと世界政府の役員に視線を向ければ半泣きだ。

 

そりゃあ、まあ怖いよな。

 

なにかを伝えようとした瞬間、役員の兄さんはカマバッカ王国の化け物の群れに引きずりこまれ、数秒後には全身をキュートな姿に変えられ、見るも無惨なカマバッカ王国の住人になっている。

 

「ジャンゴ、そろそろ本気でカマバッカ王国の奴らはお前の貞操を狙っているぞ。とくに筋肉ムキムキでマッチョな奴らが舌舐りしてるぞ」

 

「やめでぐれぇ、聞きたくねえよぉ…」

 

「あー、そこに隠れてる世界政府の人」

 

ジャンゴが使い物にならないので近くに隠れていた世界政府の役人を手招きし、三人で固まるように集まり、各々の死角を防御する。

 

「た、助かります、フルボディ中将」

 

「まあ、気にするな。ところで、そっちは今回の変態達の集団行動の原因は掴めてるのか?」

 

「……えぇ、まあ、単なる兄弟喧嘩のようなんですが。どうにも兄弟共に影響力は強いらしく、こうなった原因も惚れた男を巡っての争いだそうです」

 

「なるほど、変態の兄弟喧嘩ってことか」

 

知りたくもない事実を知り、さらに関わる気力を失う。ジャンゴなんか「いやだ、オレが行ったら絶対に狙われるじゃねえか」とうわ言のようにつぶやき、なんとも情けない姿を晒している。

 

「とりあえず、オレ達のやることは逃げる天竜人の足止めだ」

 

「「え?」」

 

「いや、当たり前だろ?あの変態達に乗じて命を狙う輩もいるはずだ。ホントはやりたくないが、仕方なく天竜人の足止めをするんだ」

 

「た、確かに、天竜人の命を狙う者は多くいますね。フルボディ中将の言う通りです!ど、どのように足止めすれば良いんでしょうか?」

 

「知らん。お前が変態の群れに行ってこい」

 

そう言ってオレは世界政府の役人を変態達に向かって放り投げる。

 

「………なんで、アイツ投げたんだ?」

 

「電伝虫で盗聴してたからだが?」

 

「えっ、助けられたクセにそんなことしてたのか」

 

オレの言葉にショックを受けるジャンゴの肩を叩きつつ、未だに片手を出して生存報告を行う世界政府の役人の底力にオレ達はビックリしていた。

 

「わりと余裕あるみたいだな」

 

「そうだな、オレは帰るけど」

 

そう言うとジャンゴは〝月歩〟で逃げた。

 

 

 




〈変態大進行〉

シャボンディ諸島で起こった珍事件

レオタードの股間に白鳥の頭を拵えた変態衣装を纏う〝エモエモの実〟を食べた〝感情(エモーション)人間〟───〝水底の害鳥〟スワン・マドレーヌ率いるスワン海賊団の大進行による天竜人スワン化被害者、多発。

本日も颯爽と現れたハチミツを塗りたくったフンドシ仮面による股間スライディングの被害者数は5000人を突破し、また天竜人チャルロス聖は珍しくパンツを履いていたフンドシ仮面の下着に頭部を囚われ、現在も意識不明の重体となっている模様です。

カマバッカ王国による反乱か?最愛の兄弟はたったひとりの男を巡って争い、シャボンディ諸島に住まう全ての新人類(ニューカマー)は友のために立ち上がり、その恋の成就を願って奔放しているそうだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。