【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
オレの名はホンドウ・タケル。
シャボンディ諸島の近海の小島に生まれ、この「ONE PIECE」の世界で〝仮面バイカー〟として戦っている転生者だ。オレの戦友──ジュウモンジ・マサトと共に世界征服を目論む悪の秘密結社〝チェッカー*1〟と人知れず、休まることのない死闘を繰り広げている。
「おやっさん、こんばんは」
「おお、来てくれたかホンドウ!」
にこやかにオレを出迎えてくれたのはシャボンディ諸島で〝ハナタバトビウオレーシング店〟*2を営んでいるハナタバ・ゼンベエイに話し掛ける。
彼はオレの志す仮面ライダーとしての在り方を教授し、その戦い方やトビウオの操縦技術を教えてくれた大切な恩人だ。オレがまともに仮面バイカーの活動を続けられるのはハナタバのおやっさんのおかげだ。
「それで、チェッカーのウワサと言うのは?」
「……ああ、ここ最近になってシャボンディ諸島のヒューマンショップに向かった貴族や富裕層の奴らを誘拐したり、名の売れた海賊を狙う行動を目撃したっていう情報を掴んでな。おそらく改造人間を作るつもりだ」
「やはりショッカーに準ずるのか…!」
オレの怒りの言葉にハナタバのおやっさんもやるせない顔になり、今も何処かで改造手術を受けている可能性の大きい人々を想像し、ミシリと手に力が籠る。
「ホンドウ、今回のヤツは闇夜に紛れて人を襲う。お前なら視界の悪い暗闇で戦えると思うが、もしものときを考えてアンコウでオレも捜索を手伝うよ」
そう言ってヘルメットを被り始めるおやっさんの優しさに絆され、オレはヘルメットを掴んでハリケーンに飛び乗り、月明かりとか細い光を放つ
少し後ろを走るようにおやっさんもアンコウで追走してくれていた次の瞬間、まるで見計らっていたかのようにオレの目の前に大柄な男が落ちてきた。
「ぐっ!?だ、大丈夫か!?」
「…ぁ…ばけっ、もの…!…」
「ひ、酷い傷だぞ、兎に角病院に行かねえと!」
慌ててトビウオを止めて、地面を転がり、屈強な肉体を無惨にもズタボロにされた男に駆け寄る。───辛うじて生きているものの、痛ましい傷で覆われた身体に顔をしかめながらオレは立ち上がる。
オレのセンサーにヒシヒシと伝わってくる邪悪な気配を辿るように顔を、ゆっくりと持ち上げればヤルキマンマングローブの上に〝巣〟を張り巡らせ、逆さまになっている人影を見付ける。
「今回の事件、お前の仕業だな。おやっさん、ここは良いから彼を安全なところに連れていってやってくれないか」
「分かった!でも、ホンドウも気を付けろよ!」
「フッ、ありがとう」
アンコウの発光率を最大にして移動しようとするおやっさんのおかげでマングローブの上にいるヤツを見ることが出来た。クモだ、かつてテレビで見たことがある〝蜘蛛男〟が、そこに佇んでいた。
「バイカー……変身ッ!!」
───ゆっくりと右手を左斜め上に突き上げ、緩やかに右側に弧を描くように右側に戻し、素早く左手を右斜め上に突き上げ、右拳を腰に添える。
そして、キュイイィーーンッ!とオレの腰に現れた変身ベルトは目映い光を発し、オレの身体の作り変わる瞬間を隠すように光を増していく。
「フハハハ!待ち兼ねたぞ、仮面バイカー!」
「オレも会いたかったさ、チェッカー!」
オレの変身を見届けた蜘蛛男は高揚する感情を隠しもせずに木の枝を蹴り、オレを標的に定めて落下してくる蜘蛛男に呼応されるように飛び上がり、お互いを狙ってオレ達はパンチを繰り出す。
「トウッ!」
「ケヤアッ!!」
オレと蜘蛛男は落下しながら攻防を繰り広げる。オレのパンチを弾き、蜘蛛男のチョップを受け止め、ミドルキックを叩き込み、噛みつき攻撃をアッパーで防御する。しかし、オレのアッパーを受けながら蜘蛛男はオレの顔面にエルボーを打ち付け、フロントキックをお見舞いしてきた。
「デリャアッ!!」
「ツアァーッ!!」
オレのチョップと蜘蛛男のチョップがぶつかり、凄まじい打撃音を真夜中のシャボンディ諸島に鳴り響き、僅かに地鳴りを生み出す。ぐらりと姿勢を崩した蜘蛛男の首と腕を掴み、そのまま上空に放り投げ、不規則に姿勢を動かすヤツに追随するように飛び上がる。
「バイカーキィックッ!!」
「ゲフアッ、ば、ばかなぁっ!?」
ミシミシとオレの右足に蜘蛛男の内臓や骨肉の軋む音が伝わるのを感じながら地面に向かって、強く、より強く叩きつけるように全身に力を漲らせ、オレは無尽蔵に現れるチェッカー戦闘員ではなく、本物の蜘蛛男を倒した。
「……始まりか」
そう静かに呟いて、オレはハリケーンに跨がる。