【完結】ごきげんよう、オレは海軍〝大佐〟のフルボディだ。 作:SUN'S
モモイロ島を統治する女王様に会うにはアポイントメントを取る必要があり、さすがに入国してきたばかりのサンジが易々と会えるわけもないので、少しの間だけアタシの家に泊めることにした。
「ごめんなさいね。背の高いサンジ君にはアタシの家にあるズボンは短いわよね」
「い、いや、レディの服を貸して頂いている上に泊めてもらえているし。それにズボンの長さなんて、とくに気にしていないよ、ジョアさん」
「ほんとう?それなら良かったわ」
アタシの服を着たサンジは少しだけ気恥ずかしそうに胸元の緩みを正している。なんだか新婚みたいだと思う反面、サンジにはステキなお嫁さんが出来るという事実を知っているため深入りすることは出来ない。
そんなことを考えながらアタシは用意しておいたティーポットを傾け、トトト…と音を最小限に留めて、ゆっくりとティーカップに注ぐ。
この紅茶はモモイロ島の特産品の茶葉を使用した豊潤な香り、とほんのり酸味の効いたもの。サンジにとっても初めての味かしら?
「……っ、すげえ美味しいよ。あまり主張せずに鼻腔を抜ける豊潤な香り、爽やかに舌を滑り落ちる味わい深さ、とても良い紅茶だ。ありがとう、ジョアさん」
「こ、此方こそ、どう致しまして……」
サンジは純粋にアタシの淹れた紅茶を美味しいと喜んでくれるだけじゃなくて、アタシにも「ありがとう、美味しかった」と伝えてくれた。
サンジってほんとうにもう、こういう人の聞きたい言葉を無自覚に言えちゃうクールなのに心を温かくさせてくれるステキなイケメンすぎるのよね。
「それに、このクッキーの甘さが紅茶の酸味に良く合っているし。まるでジョアさんの優しさが伝わってくるようで、とても温かいよ」
「も、もう、あんまりからかわないで!」
「いや、からかうだなんて、そんな」
アタシはサンジの言葉にドキドキと激しくなる心臓の音を隠すように後ろを向き、たぶん赤く染まってしまっている頬を触りながら胸を押さえる。
落ち着いて、アタシは出来る女よ。
サンジの未来のお嫁さんのためにも辛い想い出は少しでも減らしてあげなくちゃいけないし。アタシは乙女のトキメキに任せて、彼に抱き着いてしまいたいという気持ちを押さえて、キッチンに向かう。
「かっこいいなあ、サンジ君…」
ずっと押し込めていた言葉をポツリと呟き、アタシは聴こえていないよね?と後ろに振り返ってサンジを見る。うん、まだアタシの紅茶を飲んでるし、キッチンとリビングは少し距離もあるから聴こえてないわね。
〈ヴィンテージ・ジョア〉
恋多き乙女の転生者
前世を含めて推しは「サンジ」。あまり原作に関わるべきではないと考える〝
モモイロ島の女王様を補佐する役目を受け持っているものの。あまり政治に関わることはせず、静かに女王の方針を応援し、危険な場合は幹部召集を行い、数日間に渡って会議を開催する事もある。