無謀少年ロジカルひーくん 〜論破したい無謀少年〜 作:人見知り
本編ラスト
ミッドチルダ最強の非魔導師 …肩書きが重い
JS事件*1の後、俺は管理局内で多少発言権が増した。
非魔導師ながらも、聖王のゆりかごに侵入、ナンバーズ撃破、といった活躍?の他、
レジアス中将の隠し球として最高評議会を探っていた*2という功績からだ。
これだけでも気が重いのに、重い二つ名がついた。"ミッド最強の非魔導師"だ。
確かにそれなりの実力があるとは自負してるし、ミッドは魔導師の方が多いし、非魔導師の戦闘職なんて母数が少ないから、多分嘘ではない。
……ないんだけど、なのは達の身体能力を知ってると……ね。
しかも、ヴィヴィオ達小学生組の水遊びとか見るとさ、水切り*3で爆弾みたいな水飛沫が上がる訳さ。自信失くすよね。
それに、1番困るのは「ハッ!」とと。危ない危ない。油断すると胴体が真っ二つだな。
「はぁはぁ 余裕そうですね」
「いやいや。ヒヤヒヤしっぱなしさ」
こうやって面倒事が寄って来る事だ。
「そろそろ落ち着いた?」
「……はい。最強と呼ばれるのも納得です」
……スッキリしたわけではなさそうだな。
真っ向勝負じゃないから当然だけど。
受け流す・逸らす・避ける以外はミンチになっちゃうんだよねー。
「ごめんね。真っ向勝負してくれる相手は紹介するから。
今日は家まで送るよ。
聖王様とかの話は後日で良いね?」
「はい」
素直で何より。
ヴィヴィオとイクスの件か……
イクス絡みなら、スバルには声を掛けないとな。
どこまで声掛けるか。
ヴィヴィオに声かけて即fight!とかなっても困るし……
代わりにノーヴェにでも声を掛けるか。真っ向勝負できるし、ヴィヴィオ達の先生だし。
《だいぶ前》
……やっと追いついた。
って…チンピラっぽいのが気絶してるし、中も騒がしい。
もう殴り込みした後だな。
「いいか!? このガキは犯罪者なんだよ!」
なんか叫んでる。
中は…何人かが逆さまになっていて、さっき車を走って追いかけていた女性1人、縛られてる被害者1人、ナイフ持ち1人か……
下手に刺激できないな。
様子見だな。
「ウチの妹の顔面をグチャグチャにしやがった!」
「あら? それ本当?」
「………本当です。 色んな事があって……それで」
「だからって、攫って敵討ちはいけないでしょう?」
「うるせぇ! こいつにやられたウチの妹も友達も、なんも悪いことなんてしてねぇんだぞ!
友達同士の軽口にこいつが勝手にキレて……それでいきなり!」
……それっていじめっ子の定型文じゃ……
「彼女から…そう聞いたんですか…」
「彼女から、そう聞いたんですか?」
彼女は男の腕を捻り上げ……?
縛られてなかったっけ?
もしかして縄抜け?正
「暴力を振るった事は謝ります。
その後で、あの子が私に、同じだけ殴り返したいと言うのなら……
それを黙って受け止めます」
「ぐああぁぁ!!」
……いや、強すぎない?
背丈からして中学生前後だよな。
「だけど、もしも彼女が家族にまで嘘をつくような人であるなら…
私は…もっと…許せなくなる」
流石に出ないと不味いな。
「遅れて悪いけど、そこまでにしてもらってもいい?」
「貴方は?」
「非番だった管理局員。これ身分証。
とりあえず、ナイフは没収ね」
刃物はとっとと押さえないと危険だからね。
刃しまって、ポッケに入れてっと。
「あっそうだ。君さ、この件で妹さんは犯罪者の親族っていう事になったけど、理解してる?」
「…あ?」
だいぶ呆けてるな。
「管理局としては申し訳ないけど、犯罪者の親族って肩身狭い思いをする事が多いんだよね」
「っなんだよ!そいつだって妹に手を出したんだぞ」
「ちょっと待ってねー。
お嬢ちゃん、お名前はリンネ・ベルリネッタで合ってる?」
「はい」
リ…ン…ネ…ベルリネッタっと。
出た出た。
「それなら暴行の件は示談してるよね。
それにさっきの話だと、軽口程度じゃなかったって事でしょ。
調べ直されると困るの、妹さんじゃない?」
えーと、他には……
「あっ、教会の孤児院出身なんだ。
リンネちゃん、出身についてなんか言われた?
はいか、いいえでよろしく」
「えっと…はい…」
「なるほど。そういう方面でも動けるか…」
忙しくなりそうだ。
そんな事もあったなぁ と、過去を振り返っていた。
野良試合を挑んできた娘とのタイトルマッチを懸けて、病院に運び込んだ娘と誘拐されてた娘が闘うとは…
人生とは数奇なものだ。
その割に何も成せてないのがやるせない。
ヴィヴィオを助けたのは、なのは。
アインハルトを変えたのは、ヴィヴィオとノーヴェ。
リンネの危うさを理解し気にかけていたが、俺の言葉ではどうにもならなかった。
フーカの鮮烈な想いならきっと届くだろう。
やはり俺には大した事はできないようだ。
けれど、彼女たちのためにできる事を探すのを止めることは出来ない。
これからも全力で足掻いていこうと思う。
小賢しいだけでは心を動かせない。そういうお話でした。
軽くまとめて、次作に取り掛かります