ぬらりひょんの孫~双子の妹に転生しました~   作:唯野歩風呂

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第2話

 

 

 

 暗い――――真っ暗。

 

 自分の身体も見えないほどの闇――――。

 

 「目覚めたか。いや、目覚めたという表現は少しおかしいかの」

 

 どちら様でしょう。

 

 「ふむ。我は神である」

 

 紙?

 

 「神じゃ」

 

 患者?

 

 「神様」

 

 ワン・サマー

 

 「……お主、いい性格しとるの」

 

 冗談です。

 

 「平然と冗談を言うな」

 

 申し訳ありません。

 

 「まぁ、よい。それよりお主、死んだことを覚えておるか?」

 

 はい。覚えています。

 

 「……覚えているのにその落着き様」

 

 ありがとうございます。

 

 「褒めとらんわ」

 

 ふふっ。

 

 「覚えてるのなら話が早い。お主は死んだ」

 

 はい。

 

 「本来なら輪廻の環に乗ってもらうのじゃが、少し頼みがある」

 

 それは困ります。

 

 「何?」

 

 安倍晴明さんと約束したのです。転生してあの方を倒すと。

 

 「通常なら輪廻の環に入った時点で記憶がなくなる。が、我の頼みを聞いてくれたら記憶を残したまま転生し、なおかつ世界も救えるぞ?」

 

 お話を聞かせてください。

 

 「……決断が速いの」

 

 ありがとうございます。

 

 「……で、頼みというのはだな」

 

 はい。

 

 「『ぬらりひょんの孫』の世界に行って、安倍晴明を止めてほしいのじゃ」

 

 はい。

 

 「……驚かんのか」

 

 先をどうぞ。

 

 「う、うむ。……本来なら、安倍晴明は平行世界に干渉できるほど力を持ってはおらんかった。しかしある時、奴は出会ってしまったんじゃ」

 

 誰とでしょう。

 

 「異世界からきた人間に、じゃ」

 

 それは……異世界トリップということでしょうか。

 

 「……意外と俗世に詳しいの。お嬢様なのに」

 

 元、ですよ。今はそれなりに知識はあります。

 

 「そ、そうか。……で、異世界トリップ者、“旅人”とでも呼ぶかの――旅人は、元はお主の世界の住人じゃったのだが、悪魔の儀式をしおって異世界に、『ぬらりひょんの孫』の世界に飛んだのじゃ」

 

 ……そうですか。

 

 「そのものは百物語組と手を組み、迅速に晴明を復活、さらに力をつけさせおった」

 

 神様は何をなさっていたのですか?

 

 「旅人が呼び出した悪魔が厄介なやつでの。何とか原作の記憶を消すことだけは成功したが、元の世界に戻すのも、原作に直すのもできなかった」

 

 まぁ……。

 

 「悪魔はなんとか倒したが、時すでに遅し。晴明は神を喰ってしまった」

 

 神を食べるって……そんなことできるのですか?

 

 「それほど力をつけたということじゃよ」

 

 それで、別の世界にいけるようになったのですね。

 

 「そうじゃ。我は救える命を救えなかった。これは世界が始まって以来の忌々しき事態」

 

 それで、私は何をすればいいのでしょう。

 

 「我の力のすべてを使い、『ぬらりひょんの孫』の世界の、晴明が復活する前に飛ばす。そして、旅人を倒してほしい」

 

 イレギュラーにはイレギュラーを、ですね。

 

 「そうじゃ。……お主しかおらんのじゃ。晴明と対峙して魂が無事だったやつはおらん。お主だけが傷つく前に我がすくい上げることができたのじゃ」

 

 今までのことを整理すると……つまり、未来を変えるということですか?

 

 「それであっておる」

 

 未来が変わったら、今死んだ私や弟はどうなるのですか?

 

 「晴明がお主の世界に行かない未来になるわけじゃから、時はそのまま進む。しかし、お主だけは、未来が変わっても何らかの形で死ぬことになるだろう。お主の魂……存在自体を向こうに移すことになるからの」

 

 わかりました。

 

 「お主には負担をかける。しかし、これ以上世界を壊させるわけにはいかんのじゃ!だから頼む。行ってくれ!!」

 

 いいですよ。

 

 「……即決じゃな」

 

 ただし条件があります。

 

 「ほう、何じゃ。言ってみよ」

 

 弟を幸せにしてください。

 

 「ん?」

 

 もし未来が変わっても、私がいなければ弟は……。気になって、集中できません。なので、幸せに……誰よりも幸せになると分かっていれば、心残りなく行けます。

 

 「うむ、分かった。それくらいなら簡単じゃ。お主亡き後、哀しむじゃろうが、お主の弟にとって最も幸せな人生を送れるよう、手配しよう」

 

 ありがとう……ありがとうございます。

 

 「もういいかな?」

 

 はい。構いません。

 

 「では頼む」

 

 はい。

 

 

 

 

 

 ※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 こんな重大な事をあっさりと決めて行きおった……。呆れた娘じゃ。

 じゃが、揺るぎのない真っ直ぐな瞳じゃった。

 彼女ならやってくれる気がするのが、不思議じゃな。

 

 

 

 

 さて、疲れたのう。

 

 

 

 もう一つ仕事をしてから、眠るとしよう。

 

 

 

 

 神が祈るのも変じゃが、彼女の幸せを願って――――。

 

 

 

 

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