ぬらりひょんの孫~双子の妹に転生しました~   作:唯野歩風呂

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旧鼠編スタート!

アニメ版のストーリーで進行します。


第27話

 

 

 夜の街。

 ネオンが色とりどり光り、まるで昼間のように街を明るく照らす。

 しかし、そんな街にも必ず暗がりは存在する。

 

 その暗がりに偶然目を向けたサラリーマンが一人。

 会社帰りに酒を飲み、上司への不満を酒に流して上機嫌だった。

 目を向けたのは本当に偶然だった。

 音がしたのだ。

 ぴちゃ、ぴちゃと、水が滴り落ちるような音がした気がしたのだ。

 おかしい。今は雨が降っていないのにどこから水が漏れているのだろうか。

 そう思って暗がりに目を凝らした。

 よく見ようと近づいてみた。

 

 それが男の最後。

 一つの悲鳴を残し、男はこの世から姿を消したーーーー。

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

 【奴良桔梗】

 

 

 おはようございます。

 

 反リクオ派が鴆一派の統領である鴆さんを殺そうとして覚醒したリクオに返り討ちにあった日の翌日です。

 

 あの後、屋敷を失った鴆さんは、一時奴良組預かりとなり、残りの鴆一派の方々と一緒に奴良組の屋敷に住むことになりました。

 弟子の私としては、鴆さんーーーー師匠が身近にいてくれた方が勉強になりますのでありがたいですが、頭領としては総大将の屋敷にお世話になるのは気持ちが複雑らしく、体を休めつつ屋敷の復興を急いでいるそうです。

 

 少し残念です。

 

 奴良組は力技で押し切る人が多い中、ケガや病気をきちんと治療して治す妖怪はほぼ皆無に等しいので、師匠のような妖怪がいてほしいのですが・・・・・・。

 

 

 さて、今は昼休み。

 いつものようにリクオやカナちゃんたちと食べようと屋上に来ていますが・・・・・・知らない女の子がいますね。

 

 「おぉ、きたきた!最後のメンバーが!」

 「メンバー?」

 「そう!我が『清十字怪奇探偵団』の最後のメンバー、それが君だよ、桔梗さん!」

 「・・・・・・リクオ?」

 「えっと、実は今朝転校生が来てーーーー」

 

 どうやら、清継君がまた暴走しているみたいですね。

 先日の探検からまだこりていないみたいで・・・・・・どうしてくれましょう。

 まぁ、清継くんの妖怪への異常な興味は、興味本位や悪意のあるものではないので止めはしないですが、人間が妖怪の世界へ踏み込むのは危険と隣り合わせですからね。いざとなったら私やリクオが止めますから。

 

 それにしても、妖怪に詳しい転校生ですか。

 

 「初めまして。私は奴良桔梗と申します」

 「あ、ご丁寧にどうも。私の名前は花開院ゆら言います」

 

 京都弁ですか。あそこは古来より魑魅魍魎の集まる場所。

 京都出身で、妖怪に詳しいとなるともしかしてーーーー。

 

 「さっ、自己紹介が済んだところで、今日は奴良くんと桔梗さんの家で会議だからね。放課後、校門前で集合だ!」

 「・・・・・・リクオ?」

 

 どういうことでしょう。

 にっこり笑ってリクオを見ると、リクオは慌てて清継くんを止めに入りました。

 

 「ちょ、ちょっと清継くん!さすがにすぐは難しいよ!えっと、ほら、部屋汚いし、お茶とか茶菓子とか何も用意できてないし!」

 「むぅ?お茶菓子は大切だな!よし。君は一足先に家に帰って僕たちを迎える準備。僕たちは一度帰宅後、ゆっくりと向かうとしよう。桔梗さん、案内は頼みました」

 「はぁ。わかりました」

 「桔梗!?」

 

 リクオが「裏切られた!」という目をしていますが、うちが妖怪屋敷と呼ばれているのは本当のこと。

 むしろ今まで清継くんが突撃訪問をしていなかったことに驚きです。

 一度見ておけばその後疑うことはないでしょうし。

 

 それに・・・・・・

 

 花開院さんが私の視線に気づき、こちらを見ました。

 私はにっこり笑ってごまかします。

 

 彼女はとても、不思議な感じがします。

 そう、私たちにとっては危険な感じがーーーー。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 【奴良リクオ】

 

 

 やばいやばい!

 清継くんたちがうちに来る!?

 そんなことしたら、うちが妖怪屋敷だってばれちゃうよ!

 それなのに、どうして桔梗は許可しちゃうのさ!

 

 「もう、桔梗は何考えてるんだよ」

 「姫様のことです。何か考えがあったのでは?」

 「そうかもしれないけど・・・・・」

 「まぁまぁ若。俺たちがみんなに言い聞かせますから」

 「でも花開院さん、妙に妖怪に詳しかったし・・・・・・心配だなぁ・・・・・ん?」

 

 何だが、騒がしい声がうちの中から聞こえてくるぞ?

 ま、まさか・・・・・・。

 

 「あ、若!お帰りなさい!」

 「み、みんな!一体何の騒ぎ!?」

 「聞きましたよ、若!昨夜は見事に変化なさったそうじゃないですか!」

 「実にめでたいことですなぁ」

 「ほら、もう直ぐ夜ですぞ?この間みたいに、パパーっと変化してください」

 「いよっ、若!」

 

 「知らないよ、変化なんか!とにかく、直ぐに奥に隠れて!これから学校のみんなが来るんだから!」

 

 みんなは驚いた後、しぶしぶ宴会の片付けをしてくれた。

 何より騒ぐのが好きな妖怪たちだから申し訳ないと思うけど、こればっかりはボクも譲れない。

 正体がバレたら、人間の世界で暮らせなくなっちゃう!

 

 

 「ぬ〜ら〜く〜ん。あ〜そび〜ましょ〜〜〜!」

 

 この、誰よりも妖怪みたいな声は・・・・・・。

 

 「き、きた〜〜〜っ」

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 【奴良桔梗】

 

 

 「ただいま戻りました」

 「やぁやぁ奴良くん。お招きありがとう」

 「いや、招いてないし」

 

 リクオと母様が出迎えてくれました。

 というより、二人しか出迎えができる人間はいないと言った方が正しいですが。

 

 リクオはとても嫌そうな顔をしています。

 対して母様は久々の人間のお客様に嬉しそうです。

 

 「まぁまぁいらっしゃい。よく来てくれたわね。人間のお客さんなんて滅多に来てくれないから嬉しいわ」

 「・・・・・・人間の?」

 

 花開院さんが母様の言葉に引っかかりを覚えたようです。それに気づいたリクオが慌てて家の中へ促します。

 

 客間へ向かう途中の廊下には、妖怪一匹いませんでした。

 みんな、うまく隠れているようです。

 ですが、私にはわかります。何人か、こちらの様子を伺っていますね。

 調子に乗っていると気づかれてーーーー 

 

 「っ、あそこ!」

 

 花京院さんが素早く振り向きました。

 しかし振り向いた先には誰もいなかったのでしょう。気のせいだと思ってくれたようです。

 

 全く。あとでお仕置きですね。黒田坊、首無。

 

 

 客間につき、私たちはそれぞれ座布団に座りました。

 人の声はせず、葉が風でこすれる音が怪しい雰囲気を醸し出しているのか、島くんがビクビクしています。

 逆に清継くんはこの空気に満足そうです。

 旧校舎の時は真っ青になって怖がっていたのに、怪しい雰囲気自体は好きなのですね。

 

 「さて、結成式を始める前に、僕らが探すべき妖怪についての研究結果だがーーー」

 「お茶が入りましたよー」

 

 毛倡妓がお茶を持って入ってきました。

 あらあら。リクオの目が焦りすぎてグルウル回っています。

 そんなに慌てたら逆に怪しいですよ、リクオ。

 私は毛倡妓が出してくれた湯飲みを手に取りました。

 こういうことは、家のものが先に手をつけた方がお客さんが飲みやすかったりしますからね。

 

 と、島くんとカナちゃんが興奮してリクオに詰め寄りました。

 

 「スッゲー奴良!お前あんなお姉さんいたのか!?」

 「え、いないよね?」

 「あぁ、え、えっと、お、お手伝いさん!お手伝いさんだよ!」

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 「スッゲー!お前んちお手伝いさんいるのかよ!金持ちか!?」

 「・・・・・・島くん?」

 「スッゲー!ん?何桔梗さーーーーひっ!」

 

 えぇ。気づいたようで嬉しいですよ、島くん。

 あなたが興奮して立ち上がったときに私にぶつかり、飲もうとしていたお茶が服にかかったことを、ね。

 

 「き、キーちゃん大丈夫!?」

 「桔梗!火傷してない?」

 「えぇ。セーターの上からでしたので大丈夫ですよ。お茶もそんなに熱々ではありませんでしたし。えぇ」

 

 私は着替えるために立ち上がりました。

 

 「き、桔梗さん。ご、ごめんなさい!」

 「別に怒っていませんよ。わざとではないんですから。でも・・・・・・」

 

 次はないですよ。

 

 島くんだけに聞こえる声量でつぶやくと、島くんは真っ青になって、座布団に沈みました。

 彼も悪気があったわけではないのでこれ以上言いませんが、これで少しは落ち着いてくれると助かりますね。

 

 ということで、一人で頑張ってくださいね、リクオ。

 

 ふすまを閉じる直前、救いを求める目をしているリクオに微笑み、着替えるために部屋を出ました。

 

 

 

 

 




※ゆら登場!
すでに桔梗は正体を見抜いているぞ!

※ぬ〜ら〜く〜ん
一番妖怪っぽいね。

※金持ち
屋敷見ればわかる。

※お手伝いさん
着物をセクシーに着こなすお手伝いさんって・・・・・・。

※島くん・・・・・・。
不憫なやつ・・・・・・。
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