ぬらりひょんの孫~双子の妹に転生しました~   作:唯野歩風呂

29 / 32
第29話

 

 【奴良桔梗】

 

 

 

 なんとかその日は帰ってもらうことに成功しました。

 しかし、日はすっかり暮れてしまい、みんなは疲労困憊で大広間に集まります。

 

 「まったく。ワシを見習わんかい。陰陽師の娘一人に慌てよって」

 

 おじい様が、陰陽師の当主の家でご飯を食べてきた話をしていますが、さすがにそれをできるのはおじい様しかいません。

 

 「とはいえ、皆妖気くらいは消せるようにできなくては」

 

 なにやら妖怪談義が始まってしまいましが、木魚達磨、あなたも口をなんとかしなければ怪しまれますよ?

 

 「はぁ、疲れた。それにしても最後のなんだよ。家来って・・・・・・」

 「私にもよくわかりませんが、悪い子ではないのはわかりました」

 「悪気なくても、今日はもう本当に疲れた。・・・・・・それにしてもあのネズミ」

 「えぇ。組のものではありませんでしたね」

 「一体どこの・・・・・・」

 

 話を聞いていた首無しが、無言で大広間を出て行きました。

 首無しはクールで優男風を装っていますが、基本は仲間を大切にしている腹黒です。二代目の娘息子である私たちには明るく優しくしてくれます。

 そんな首無しが手伝いでもなく私たちに断りもなく出て行くことは珍しいです。

 

 何かあったのでしょうか。

 ちょっとついて行ってみましょう。

 

 

 

 「あのネズミ、旧鼠組にちがいない」

 「確かに。そういえば旧鼠組の奴ら、一番街を化け猫組から乗っ取って好き勝手やっているらしいな」

 

 首無しと黒田坊の声が聞こえます。

 どうやら昼間のネズミのことについて心当たりがあるようです。

 

 そういえば、寝物語で首無しが化け猫組の良太猫について話してくれたことがありました。

 二人は仲が良かったようですが、根城を旧鼠組に奪われたとすれば、当主の良太猫は・・・・・・。

 

 「旧鼠組はどうしてうちにスパイを送りこんだのでしょうか」

 「!?姫様」

 「いつの間に・・・・・・。気がつかなかった」

 「旧鼠組は以前奴良組の傘下でしたが、素行の悪さゆえ追い出されたと聞きました。奴良組に敵意を持っていても仕方がないと思います」

 「姫様・・・・・・確かに、そう考えられます。しかしなぜ今?旧鼠組が奴良組を追い出されたのは随分前ですよ?今更どうして」

 「・・・・・・」

 

 確かに疑問です。

 旧鼠組は武闘派ですが、追い出されてから弱体化の一途をたどっていたと聞いています。それがなぜここまで強気になれたのか。

 スパイを送り込むにも、リスクが入ります。もしバレたら今度こそ組ごと消されるかもしれないのですから。

 そんな危険を冒してでもスパイを送り込んだのはーーーー。

 

 「三代目」

 「「!?」」

 

 今、奴良組は誰が三代目を継ぐかもめています。その時の組は、大抵脆いものです。

 決まってしまえば強いですが、今が一番弱い時。

 そこを狙われてしまいました。

 とすると・・・・・・。

 

 「・・・・・・いけません」

 「姫様?」

 「烏天狗を呼んでください」

 「姫様、一体どうしたと」

 「早く!」

 

 いけません。考えていることが正しいというのなら。

 

 「カナちゃんたちが危ない」

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 【家長カナ】

 

 

 「へぇ、花開院さんて一人暮らしなんだ。いいなぁ」

 「そんなにいいもんでもないですよ」

 

 奴良家からの帰り、繁華街をゆらとカナは歩いていた。

 

 「ところで、さっきの何?」

 「?」

 「キーちゃ・・・・・・桔梗ちゃんに家来にしてくれって」

 「あ、あれはつい体が勝手に」

 「勝手に動いて、『家来にしてくれ』なの?」

 「陰陽師はもともと、平安時代から朝廷や貴族に仕えてきたんです。今はそんなことめったになくなったけど・・・・・・む、昔からちょっと憧れやったんよ。主人を守るために仕える陰陽師って!」

 

 思わず頬を赤くしたゆらを見て、カナはホッとしていた。

 妖怪を退治するゆらを、少しばかり怖いと思ってしまったからだ。

 しかし今のゆらは、自分の夢を恥ずかしげに語る女の子にしか見えない。・・・・・・内容はさておき。

 

 これから仲良くやっていけそう。そう思っていると。

 

 

 「可愛い子ちゃん見っけ」

 

 

 二人にとって、長い夜が始まる。

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 【奴良桔梗】

 

 

 「どうでしたか、烏天狗」

 「はっ。清継、島両名は無事に家に帰っておりました」

 

 二人は無事。けど、『両名は』ということは・・・・・・。

 

 「この家に来た女二人が家に帰ってきておりませんでした」

 「遅かった!」

 

 後悔してもしきれません。

 ネズミが出た当日の、しかも夜に返すなど、襲ってくださいとでもいうようなもの。

 しかも相手は奴良組三代目を乗っ取ろうかと思っているかもしれない奴ら。

 弱みを握ってくるのは当然です。

 

 「リクオは?リクオはどこにいますか?」

 

 カナちゃんたちが危ないとリクオに伝えた時、青ざめていました。

 この結果を聞けば、やみくもに飛び出していきかねません。

 

 「ひ、姫様!」

 「納豆小僧。あなたリクオについていたはずじゃ」

 「も、申し訳ありません。少し目を離したすきに何処かに行ってしまわれました!」

 

 ピキッ

 

 ふ・・・・・・ふふ、ふふふ。

 

 「ひ、姫様?」

 「こっちが、こんなに忙しく動いているっていうのにリクオは・・・・・・」

 

 それもこれも、大した力もないくせに奴良組にたてついた旧鼠組のせいです。

 

 覚悟してくださいね、旧鼠組の皆さん。

 友達と大切な家族を苦しめた代償は大きいですよ?

 

 あとリクオ。帰ってきたらお仕置きです。

 

 

 

 




※妖気ぐらいは消せるように
→木魚達磨の顔は結構怖め。

※クールで優男風の基本仲間を大切にする腹黒
→褒めてんだが、貶してんだか分からんぞ桔梗よ。

※お仕置き
→やだなぁ。力のない桔梗のお仕置きなんてたかが知れているさ!ハハッ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。