ぬらりひょんの孫~双子の妹に転生しました~   作:唯野歩風呂

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第7話

 三歳になりました。

 

 今では少しの時間なら庭で遊べるようになりました。

 体力がないので本当に少しの時間ですが、リクオはとても喜んでくれました。

 

 許可が出た日は私を連れまわし、庭で発見したことを話してくれました。だけど健康な子どもの体力にはついて行けず、すぐに疲れて倒れてしまいました。

 

 そのことでリクオは父に怒られ、私も次倒れたら外出禁止を言い渡されました。

 体力を作りたくとも動かないと体力は作れず、かといって無理すれば外出禁止は本末転倒なので、今は疲れたらすぐ言うようにしています。

 

 ちなみに、今の私の恰好ですが、小袖に紫の袴、上には衵《あこめ》(袿の裾を短くしたもの)で、いわゆる平安時代の童女の恰好です。

 

 リクオの着物や母若菜の着物とは時代が全く違い、祖父のぬらりひょんに訊いてみたところ、

 

 

 

 

 

 『おじいさま、どうしておかあさまとちがうふく?』

 

 『おぉ、桔梗はばあさんに似てるからの、よく似合っておるぞ?』

 

 『おばあさま?』

 

 『そうじゃ。美しい娘での、ワシらは出会った瞬間に――――(惚気)』

 

 

 ということで、私の見かけは祖母に似ているため、この恰好らしいです。

 

 おかしいと思うのだが、誰もが私を見て「お懐かしい」「似合っている」というので、気にしないことにしました。

 といっても、母若菜や雪女の着る着物は、正直言って苦しいし動きにくいので、袴はありがたい。

 長袴ではなく足の出る袴なので、平安時代の恰好というより、巫女服の気分です。

 

 ちなみに、部屋の中でも袿は着ません。

 一度周りに煽られてきてみたのですが、十二単とか五衣など、重すぎて身動きができなかったため、それ以来一度も来ていません。

 

 女性として十二単に少し憧れがありましたが、あんなに重いとは思いませんでした。

 

 平安時代の女性は今より力持ちだったのではないかと思います。

 

 今も昔も、お洒落には命がけなんですね……。

 

 

 

 

 「ききょー!こっちこっち!」

 

 

 リクオが池の前で手を振っています。

 私は早足でリクオのもとへ向かいます。走るとすぐに疲れてしまうのでゆっくりです。

 

 リクオはせかさずに待っていてくれました。

 以前はせかしたのですが、それで走って転び、二日寝込んだのでそれ以来私をせかすことはなくなりました。

 

 今では私に合わせて歩いてくれたり、先に行って待っていたりしてくれます。

 

 とても優しいいい子です。

 

 

 「どうしたの?」

 

 

 ようやくたどり着いて聞くと、リクオは池を覗き込みました。

 

 すると、水面が盛り上がり、池の中から何かが顔を出しました。

 

 

 「ききょー、かっぱだよ」

 

 「はじめましてだね、桔梗様。オイラ河童」

 

 「河童さん……」

 

 

 この世界に産まれて三年。少し感動しました。

 

 私の部屋に、外に住む妖怪はあまり来てくれませんし、来ても大体寝込んでいるので世話係かたまに遊びに来る小妖怪たちしか会いません。

 それに、世話してくれる雪女や首無、青田坊、毛倡妓は人型なので妖怪という感覚は薄いですし、小妖怪は主に付喪神ですが、名前の知らないモノばかりです。

 

 比べて、河童を知らない日本人はいません。

 妖怪と聞いて思い浮かぶのは「河童」か「ゲ○ゲの鬼○郎」というほど私の中でメジャーです。

 伝承にあった河童とは見かけが違いますが、初めて『妖怪』と言えるものにあった気がします。

 

 

 「ききょー?」

 

 「ん?」

 

 

 あぁ、感動で少し固まってしまっていたらしいです。

 リクオが心配そうに私の顔を覗き込んできました。

 

 

 「つかれた?」

 

 「いいえ。まだだいじょうぶですよ」

 

 「本当に大丈夫なの?」

 

 

 河童さんにも心配させてしまいましたが、今日は本当に体調がいいのです。

 

 そう強く言うと、二人とも納得してくれました。

 

 

 「あ、はじめまして。ききょうです。よろしくおねがいしますね、かっぱさん」

 

 「よろしくー」

 

 

 それから色々お話をしていましたが(主に河童の暮らしについて)雪女と青田坊が来て私の顔が赤く、熱があることに気付いたので強制的に布団に戻されました。

 

 どうやら、はしゃぎすぎてしまったようです。

 

 リクオは私に無理させてしまったことに反省しているようでしたが、「今日はとても楽しかった。ありがとう」と伝えると、嬉しそうに笑ってくれました。

 

 それに、「明日はもっと紹介するね!」という言葉通り、次の日。開け放たれた障子の向こうには、屋敷に入りきらない巨大な妖怪が目だけ覗き、驚いてお茶に咽て、心配させてしまいました。

 

 

 

 

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