東方異狂天   作:青緑んご

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距離を操る程度の能力はこう使う。(嘘)


凶悪犯と死神(小野塚小町)

〇〇「うん……?」

 

 

 

 狭い牢屋の中で俺が横になっていると、何かの視線を感じた。

 

 

〇〇「またか……この異様な気配……」

 

 

 俺は慣れきったが、こう何回もあると飽きてくる。こういう事は毎回あり、それも俺がここに捕まる前からずっとあったのだ。

 

 

〇〇「まあ俺を恨んでそうな奴はこの刑務所に山ほどいるだろうな。」

 

 

 俺は自嘲気味に笑い、目を瞑った。

 

 俺は普通の一般人ではなく、完全犯罪の主犯である。強盗、誘拐、詐欺などあらゆる犯罪を行い、世界のメディアを驚かせるような事件を起こした。だが俺は殺人は一切手を出してはいない。その理由は部下に命令をし、自分は一切手を出さずに放置するやり方で行っていた。よって部下達は次々と逮捕が出てはいるが俺は一向に捕まらない。俺にはキャリアがある、だから無敵だ。

 こうして俺は部下のメンバーを道具として扱いながら犯罪生活を過ごしていたのだが、そんな作戦も優秀な探偵に尻尾を掴まれ、俺の犯罪生活は終わり、この刑務所に収監された。そして俺の配下のメンバーはこの刑務所に全員捕まっている。なので恨まれるのは当たり前だろう。

 

 

 

看守「囚人番号2604、出ろ」

 

 

 過去の事を思い出して横になっていると、看守が俺を呼んだ。俺はよそよそと起き上がる。

 

 

〇〇「何の様だ?」

看守「分かっているだろう、お前の死刑執行日だ。」

〇〇「ああ、そうかよ………」

 

 

 俺は慣れた手付きで腕を看守に出し、手錠をかけられて外に出た。辺りの牢屋を見るとかつての犯罪メンバーが俺を睨んでいる。だがこれも慣れたもんだ。俺は気にせず、黙々と看守の後に続いた。

 

 

看守「妙な真似はするなよ。ひとつでも何か行動したら直ぐに射殺だからな。」

〇〇「へいへい…」

 

 

 俺は看守に引っ張られながらその場を後にした。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 気がつくと俺は死刑台に立っていた。周りにはさっきの看守と死刑執行人が何人かいて、俺は首に何かが固定されていた。上を見ると鋭い刃が上にあった。ギロチンをかけられているのか……、なんて残酷な死刑方法だ……。

 

 

死刑執行人「これより刑を執行する。囚人番号2604、最期に何か言いたい事があるか?」

〇〇「ああ、色々あった人生だったよ。」

 

 

 俺は鼻で笑い、目を瞑って気を抜いた。そして死刑執行人の合図が出され、ギロチンが作動して首元に刃が当たった途端、そのまま意識を手放した。

 ああ…、ようやく死ぬんだなぁ俺………。ホント人生楽しかったような気がする……。俺はそう思いながら、謎の死の空間を彷徨い続けた………。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

〇〇「ん………」

 

 

 

 目を覚ますと俺は仰向けになっており、何故が外に出ていた。空は夜であちこちに星がある。と、何かに乗っている事に気づいた。左右を見渡すと、周りは甲板の作りとして出来ていた。どうやら俺は舟に乗っている様だ。

 

 

〇〇(あれ、俺死んだ筈だよな…?何で生きてるんだ?)

 

 

 確か俺はさっきギロチンで首を刎ねられた筈だが……。俺は起き上がって辺りを見渡す。すると真っ先に目に入ったのは、舟を漕いでいる少女だった。赤髪のツインテールで半袖の着物の青いロングスカートの様なものを着ており、鎌を担いで漕いでいる。ちなみに、この川を見ると目印なのか木が一本ポツンと川の真ん中に生えていた。

 と、少女は俺の気配に気付いたのか、こっちに振り返る。

 

 

 

???「おや、目が覚めたかい?」

 

 

 少女は江戸っ子気質の喋り方をし、舟を漕ぐのを止めた。

 

 

〇〇「………アンタは?」

小町「名乗るほどでもないけど一応伝えておくよ。アタイは小野塚小町、死神だよ。」

〇〇「死神………?いや、それよりも…俺は今どうなってるんだ………?さっき死んだはずだが……」

小町「勿論アンタは死んだよ。さっきの刑務所でギロチンに首を刎ねられて死んだんだ。だから今アンタは幽体だよ。」

 

 

 小町は淡々と喋った。彼女の偽りがなさそうな言葉だったので嘘でない事は間違いない。

 

 

〇〇「……てことはここは三途の川か。俺は今閻魔様の所へ連行されてるのか。」

小町「理解が早いね。怖くはないのかい?」

〇〇「ああ、寧ろゆっくりできるかな。さっきまでずっと牢屋に居てたんだ。うるさい囚人どもと一緒にいられなくて気が楽になったぜ。」

小町「ふふ、面白い男だね。アンタ」

 

 

 小町は不敵に笑った。手で口を軽く抑える仕草が何とも女の子らしい。

 

 

〇〇「しかし、死神ってもっと怖いイメージだと思ったが、まさかこんな可愛い嬢ちゃんだったとはな。」

小町「嬉しい事言ってくれるね。ま、とりあえず目的地に着くまでよろしく頼むよ。」

〇〇「ああ」

 

 

 と、小町は手を俺に差し出す。握手か、そういえば随分やってなかったな。とある犯罪グループと同盟を結ぶ時やってたよな。まあその犯罪グループは直ぐに騙したが。俺は手を差し出し、小町と握手した。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

〇〇「…それで俺は介護施設に金をだまし取ってやったのさ。」

小町「相当悪い奴だね、アンタ」

〇〇「これもまだ軽いもんだ。もっと悪い事してるぞ。」

小町「へー聞かせてくれよ」

 

 

 俺は小町にこれまでの俺の人生を話した。凶悪犯の俺が死神に話すのは何ともアレだが、どうせ地獄に落ちるなら全部話してスッキリして後はゆっくりするつもりである。ちなみに小町は俺が犯罪話をするとき、何件か何やら知ってるような素振りをしていたが、気にはならなかった。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 何時間くらい経ったのだろうか、いやもしかしたら何日か何週間か経ったのかもしれない。周りを見ると同じ光景がずっと続いている。独特な形をした岩山が5、6回見た気もする。

 そんなことを気にしつつ、小町の手料理を平らげた。

 

 

小町「アタイの料理は美味かったかい?」

〇〇「ああ、かなり美味い。刑務所の飯はクソ不味かったからな。それに引き換え、お前の料理は最高だ。」

小町「そいつは良かった。」

 

 

 小町は微笑み、腕を組んで横になった。本当に美味い、お世辞とかそういうのではなくただ美味い何とも女の子らしい料理だった。と、俺は不意にずっと気になっていた事を小町に問いかける。

 

 

〇〇「ああ、そうだ小町………。一つだけ質問していいか?」

小町「うん?何だい、改まって。」

 

 

 

 

 

 

〇〇「さっきから背景がループしてないか?同じ光景が続いているんだが………」

 

 

 

 

 

 

 明らかにおかしい。もっと言えば俺がここで目覚めた場所の様な気もする。どこか見覚えがあるかもしれない。

 

 

小町「……アンタの気のせいじゃないかい?ここの三途の川は彼岸とも言うべき場所で同じ風景が続いてるんだ。それに遠くの光景は幻影で彼岸の雰囲気を出す為に出来ているんだ。だから気のせいだよ」

〇〇「いや、それはないぞ。この場所は絶対見覚えがある」

 

 

 と、俺は川であるものを見つける。それはここで目覚めた時に初めて会った小町と共についでに見かけた目印の木だ。形もこんなだった気がする。触ってみると確かに木の感触だ。

 

 

〇〇「見ろ、これは俺が最初に見た川の木だ。こんな立派な木が幻影な訳ないだろ。感触もある。これがあるって事はループしている証拠だ。」

小町「………」

 

 

 俺が説明を終えた途端、小町は黙ったままになった。絶対何か隠している。

 

 

〇〇「正直に答えろ、本当はループしてんだろ。」

 

 

 俺は小町に問い詰める。すると小町は体を起こし、静かに息を吸った。

 

 

 

 

小町「はぁ……、ここまで鋭いとはねぇ。まだもうちょっと気づかないかなっと思って黙ってたんだがねぇ。」

〇〇「やっぱりそうなんだな………」

小町「ああ、そうだよ。アンタの言う通り、この場所にアンタを閉じ込めたのはアタイだ。」

 

 

 小町は開き直ったかのように、はっきりと喋った。俺は冷静になり、理由を聞く。

 

 

〇〇「何故こんな事をする?俺に何の因果があって…」

 

 

 俺がそう言おうとしたその途端、小町が俺に抱き着いてきた。

 

 

〇〇「ぬお!?」

 

 

 その調子で俺は仰向けになり、小町に押し倒された。弾みで舟が若干揺れ、落ちそうになった。

 

 

○○「………小町?」

小町「決まってんだろ。アンタをアタイの物にする為さ。」

 

 

 そう言った小町の顔は一般男性を惑わす、なんとも妖艶な顔になっていた。

 

 

小町「ずっと好きだったんだよ。アンタのその顔、体、行動…。アンタが××で住んでた所からずっと見ていた。」

〇〇「………!?」

 

 

 小町は俺の頬を触りながら、ゆっくりと話す。何で…俺の犯罪生活の時の隠れ家を知ってるんだ……。俺は一気に寒気がした。

 

 

〇〇「まさか……俺が捕まってた時からずっと見てたのか……?今までの妙な視線はお前だったのか……?」

小町「正確にはアンタが犯罪者になった所からだね。それにずっとじゃなくて時々見ていたよ、まあ今となっては毎日のように見てたかな。」

 

 

 小町は楽しそうに俺の顔を見ながらずっと喋った。気のせいか小町の体重が重くなった気がする。

 

 

〇〇「もしかして……俺をここに連れてきたのはお前なのか……?」

小町「ああ、アンタが本来の現実世界の彼岸へ行く最中にアタイが距離を操ったんだ。少し能力を使ってね。アタイの能力は距離を操る事が出来るんだよ。まあ…、魂の通り道を勝手に変えるのはタブーだけど、ちょっと弄っただけだ。そして……うまい具合にアンタが刑務所で死んでここに転送された。これはもう運命だよ。」

 

 

 小町は俺の顔を撫でながら優しく微笑む。その顔は笑ってはいるが、瞳は薄暗く澱んだ色になっていた。俺はこの小町の異常な愛に危険信号が増し、何とか起き上がろうとしたが……、

 

 

小町「ふふ、無駄だよ。アンタは今、幽体なんだ。死神のアタイに逆らう事は出来ない。それに逃げようとして川に飛び込んでもここに戻るだけだよ。」

〇〇「………」

 

 

 小町は嘲笑うかの如く、俺を見つめる。その表情に俺は言葉を失った。こいつからは逃げられないと悟った。

 

 

小町「ふふ、心配しなくてもいい。アンタは空に浮かんでる魂を数えてればいいんだ。安心してアタイに言いようにされてくれ……。」

〇〇「………」

小町「愛してるよ、〇〇……」

 

 

 

 そう言いながら小町は耳元で囁いて俺の頬にキスをし、ゆっくりと顔を抱きしめた。ああ……、また狭い所に閉じ込められるのか……、こういう運命だったんだな……俺の人生は……。そう思いながら俺は小町の胸に埋もれてそのまま気を失った。




やっぱり死神は怖い。
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