この素晴らしいダンジョンにカズマさんを!   作:ぽーぴー

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すごーく適当です。ノリで書いてます。シリアスは有りません。


この素晴らしい出会いに祝福を!

どうも、カズマです。優秀な仲間達と共に魔王軍と戦い遂には魔王を倒し世界を救った勇者、佐藤カズマです。

 

そんな俺ですが、今窮地に立たされています。

 

「何処なんだよ……ここ」

 

ある日突然、良く分からない迷宮の様な所に迷い込んでしまったのです。

 

とても怖いです。

 

……いやマジで、どうしてこうなった?

 

原因は…まあ何となく分かってるけど……それにしたってなぁ……。

 

「俺の運が良いとかって設定絶対嘘だろ……はぁ」

 

溜め息を吐きながら数分前の事を思い出す。

 

───天界───

 

「やあ」

 

…相変わらずこの人は何の気なしに天界にテレポートしてきて……全く、困った勇者様ですね。

 

「やあ、じゃ有りませんよ。今度は一体何をやらかしたんですか?カズマさん」

 

私は笑いながら、頬に叩かれた後が残っているカズマさんに問い掛ける。

 

…本当に何やらかしたんだろう……。

 

「やらかした前提で話を進めないでくださいよエリス様。流石に傷付きます」

 

「す、すいません!」

 

私は猛省する。カズマさんが何かをやらかしてしまったと決めつけていた事実に。

 

…そうだよね。いくらこの人でもそう頻繁にトラブルを起こすわけが……。

 

「…では、一体何故叩かれたんですか?」

 

きっと何かがあったに違いない。カズマさん程の人がただ叩かれてここに避難してきている。

 

そんな何かが。だって彼は、世界を救った勇者……。

 

「いやぁ最近めぐみんがやたらと手玉にとろうとしてきてムカついたんでスティールで下着剥いて狙撃で街中に放り投げたら叩かれただけですよ。アイツらに」

 

「…………………」

 

「……す、すいません。俺が悪かったんで無言で睨むのやめてください」

 

……全く、この人は本当に。

 

「貴方もそろそろ、自重と言う言葉を覚えた方がいいと思いますよ」

 

仮にも魔王を倒した勇者なのだから、それに相応しい振る舞いを……。

 

「それアクアやダクネスに向かって言えます?」

 

……………。

 

「……そ、そろそろ戻った方がいいんじゃないですか?ほら、めぐみんさんが怒り狂って街中に爆裂魔法を撃ち込む可能性も有りますし」

 

「露骨に話逸らしましたねエリス様」

 

「う、うるさいですよ!それよりほら、早く戻ってあげて下さい!本来ならここは生者の貴方が来ていい場所ではないんですよ!!さあさあ!!」

 

「わ、分かりました!分かりましたから!!そんな押さないで下さいよエリス様!!」

 

……本当に分かってるんだろうか、この人は。

 

「さぁて…じゃ、あの爆裂っ娘に叩かれた仕返ししてやりますかね!」

 

「…仕返しも何も悪いのはカズマさんじゃ?」

 

「それは言わないお約束ですよエリス様」

 

「ふふ」

 

カズマさんがテレポートの詠唱を始める中、私はこれから起こる愉快で騒がしい彼等の喧嘩を想像する。

 

きっと、アクア先輩は泣かされて、めぐみんさんは爆裂して、ダクネスは縛られて……でも最終的には皆んなで仲良くあの屋敷でお酒でも飲むんだろうなぁ……なんて考えると思わず笑ってしまう。

 

相変わらず彼の周りは騒がしくて厄介事だらけだけど、やっぱりとっても楽しそう。

 

「よし、それじゃエリス様。行ってきますね。あいつら全員泣かせてやりますよ」

 

「ふふっ、あんまりやり過ぎたら駄目ですよ?」

 

勇者に相応しい振る舞いを……なんて思ったりもしたけど、彼はやっぱりこうでないと。

 

勇者らしくない勇者様。いつだって自由で、いつだって本気で、いつだって楽しそう。

 

彼の周りには笑顔が、幸せが溢れている。

 

幸運の女神として、これ以上に嬉しい事なんてない。

 

だから……。

 

「カズマさん!とびっきりのをあげますね!『ブレッシング』!!」

 

この残酷だけど、素晴らしい世界を選んでくれた貴方のこれからの人生に祝福を!

 

「お、ありがとうございますエリス様。これでもう無敵ですね。じゃ、『テレポート』!」

 

余談であるが女神エリスは女神アクアの後輩である。

 

そう、あのやらかしの天才女神アクアの後輩なのだ。

 

女神エリスは滅多な事ではミスはしないが、それでもたまにミスはする。

 

女神アクアがちまちまとしょっちゅうやらかすのなら、女神エリスはたまーにどでかくやらかしてしまう。

 

まあつまり、何が言いたいかと言うと。

 

「?あ、あのエリス様?俺の周り揺れてるって言うか、ひび割れてるって言うか……何か凄いことになってるんですけど!?」

 

女神エリスはブレッシングを、本気で掛けすぎた。

 

その結果……。

 

「!?!?!?!?かかかかかかカズマさん!!おおお落ち着いてください!!!」

 

「いやエリス様が落ち着いて下さいよ!どうするんですかこれ!?てかどうなるんだこれ!?俺死ぬの!?こんな所で!?魔王も倒したカズマさんなのに!?」

 

「だだだだだだ大丈夫です!!恐らく異世界の何処かにテレポートするだけですので!」

 

「大問題じゃねえか!エリス様!何とかして下さい!!」

 

「え、えっと…えっと……ぶ、『ブレッシング』!!」

 

「運任せって事じゃねえかふざけんな!っておわぁぁあぁあぁぁぁぁ………………!!!!!」

 

「か、カズマさあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁんんんんんん!!!?!?!?」

 

佐藤カズマは数多ある異世界の何処かに消えていった。

 

 

───カズマside───

 

「て言うかこれエリス様のせいだよな…今度会ったら欲望の限りを尽くしてやる……!」

 

どうしてやろうか…ダクネスみたいにメイド服着せてご奉仕して貰うのもありだな。

 

…いや、待てよ?……ダクネスのサイズのドレスを着用させ、胸囲の差でドレスがズリ落ちて赤面するエリス様を悪魔であるバニルやアクシズ教徒と眺めるのも有りだな。

 

「ふふふ…楽しくなってきたぜ……」

 

…しかしエリス様の言葉が本当ならば、ここは俺が居た世界とはまた違う異世界な訳で……そうなると。

 

「…も、モンスターとか居ないだろうな……ダクネスも居ないのに戦闘とか勘弁だぞマジで」

 

アイテムも何もないジャージ姿だからな…下手したら死ぬ。下手しなくても死ぬ。コボルト相手でも死ぬ。

 

「まあ…エリス様のブレッシング掛かってるし……何とかなるか」

 

頼むぞ、俺の唯一の取り柄の幸運。

 

自身の幸運とエリス様のブレッシングを信じながら、恐る恐る迷宮の様なところを探索していく。

 

…迷宮、迷宮か。そう言えばこの感じ、何かダンジョンに似ている様な……。

 

「い、いやいやそんな訳ないだろ!いくら何でも転移先がダンジョンだなんて……!」

 

ゴトリッ。

 

後ろから物音が聞こえる。

 

「……き、気のせいだろ。うん、気のせい気のせい」

 

コツッコツッコツッ。

 

此方に足音が近づいてくる。

 

「(やばいやばいやばいやばい!絶対何か居る!絶対何か居るぞこれ!!ど、どうする!?人かモンスターかも分からないし……あっ、敵感知!敵感知を使えば……!)」

 

コツコツコツコツコツコツッ!!!!

 

「(いや無理だこれ間に合わねえ。こ、こうなったら振り向きざまにドレインタッチで……)」

 

コツッ。

 

………良し。真後ろに来たな。

 

喰らえっ!ドレイン……!「あ、あのー」タッチ……を浴びせる前に肩にぽんと手を置かれた。

 

ひ、人?人か?声からしても男っぽいし……何だ人か。脅かしやがって。

 

俺は安心して振り向くとそこには真っ白な髪と真っ赤な目。

 

そして…血の滴り落ちるナイフを持った……え?血?

 

……血?

 

「ふわぁあぁぁあぁぁぁあぁああぁあ!?!?!!?!????」

 

「うわあぁぁあぁぁぁあぁぁ!?!?!?!??!?」

 

こ、これはやばい……!こいつ、可愛い顔して殺る気満々なタイプのサイコパスだ……!

 

エリス様……!俺の幸運って何処に行ったんですか!?異世界初邂逅が殺人鬼って詰んでませんか!?

 

ゲームバランスどうなってんだ俺の人生!!

 

「お、俺を殺そうたってそうはいかないぜ……俺を誰だと思ってる?数多の大物達と渡り合ってきた、カズマさんだぞ」

 

「え?こ、殺す?そ、そんな事しませんよ!何を言ってるんですか!?」

 

そう慌てて弁明する真っ白な少年…少年だよな?少年は本当にこちらを害する気はなさそうで……。

 

……あれ?もしかしてこいつ、良いやつ?

 

「ほ、本当に殺さないんだな?」

 

「当たり前じゃないですか!モンスターじゃないんですし!!」

 

モンスター…ね。……やっぱ居るのかぁモンスター。

 

出来れば居ないで欲しかった……。

 

アクアも居ないし、死んだらマジでお陀仏だなこれ。

 

「そうか。悪い。血の付いたナイフを見て思わずな……俺の名前は佐藤カズマ、よろしく」

 

「い、いえ!気にしないでください!勘違いなんて誰にも有りますから!あっ、僕はベル・クラネルって言います!!よろしくお願いします!!」

 

「お、おう。よろしく……」

 

なにこれ。何だこいつ、滅茶苦茶良い奴じゃねえか。しかもミツルギと違って可愛げのある顔してるからムカつかないし……あれ?もしかして幸運値仕事した?

 

モンスターが居る異世界で底抜けの善人と最初に出会えるってかなりの幸運では?

 

……ベル・クラネル。逃がす訳にはいかない。て言うか逃げられたら俺が死ぬ。マジ死ぬ。

 

…まずは会話で情報を引き出すか。

 

「なあベル。ここってもしかしてダンジョンだったりする?」

 

「え?もしかしても何も…ここはダンジョンですよ?」

 

……ダンジョン確定か。

 

「ダンジョンに潜ってるって事は…ベルって結構強かったりするのか?」

 

「そ、そんな!僕なんてまだまだで…この二階層のモンスター達を相手するので精一杯ですよ」

 

階層があるってことは降りれば降りるほど難易度が上がっていくタイプのダンジョンか。

 

それでここが二階層って事は……割とすぐ出られそうだな。

 

エリス様……!感謝します……!!

 

「ベル。ダンジョンから出るにはどうしたら良い?」

 

「?来た道を戻れば出れると思いますけど……」

 

来た道が分からないんだよなぁ……。

 

どうしよう…よし、ここは定番のアレで乗り切るか。

 

ベルみたいに良い奴の良心に付け込むのは若干心が痛むが……背に腹は変えられない。

 

まだ死にたくないしな。

 

取り敢えずダンジョンから出たらどうにかなるだろ。

 

…こう言う時、アクアが居ればなぁ……アイツの馬鹿さ加減が若干恋しいぜ。

 

なんとかなーれ。

 

「あー、そのだな…記憶喪失……と言うか気付いたらここに居て、ダンジョンの出口とか覚えてないんだよな。それ以外は全部覚えてるんだが」

 

「えぇ!?た、大変じゃないですか!大丈夫なんですか!?」

 

「……正直不安で仕方がない。マジ怖い、めっちゃ怖い」

 

さて、これでどうなるか。……いくらベルが良い奴って言ってもこれだけじゃちょっと弱いか?

 

「っぼ、僕で良ければダンジョンの入り口まで案内しますよ!は、話も聞きます!!」

 

「おっ!本当か!?サンキュー!頼むぜベル!!」

 

一切の迷いも無く即断してくれたなこいつ…なんか、善人過ぎて不安になってきたんだが。

 

悪い奴に騙されたりしないか?格好のカモだぞベル。

 

「え?は、はい……任せてください!」

 

───────────

 

───────

 

────

 

──

 

 

「────そこで俺の華麗な指示により、魔王軍幹部のシルビアは葬られたって訳だ」

 

「す、凄い……!凄すぎます!カズマさんってとっても強い人だったんですね!!僕、憧れます!!」

 

「ふっ…まあベルも直ぐ俺に追いつける時がくるさ……世界を救った勇者、この俺佐藤カズマが認めてやる」

 

「は、はい!僕、頑張りますね!!他にはどんな話があるんですか!?」

 

ダンジョンの出口に向かう道中俺はベルからこの世界の様々な事を聞き出した。

 

神が下界に降りて何やかんや遊び呆けていること。ダンジョン攻略を目指す冒険者がいる事。

 

恩恵、眷属(ファミリア)が存在する事等など。

 

それを聞いて俺が思った事はただ一つ。

 

この世界滅茶苦茶危険じゃねえか!ふざけんな!!

 

…だけどダンジョン攻略は強い冒険者達がやってくれるだろうし、都市内はそれなりに安全らしいし、そこら辺に関しては少し安心した。

 

そして何より素晴らしいのは!このオラリオには美少女が沢山いるって事だ!!

 

……まあめぐみんとの関係もまだ決着着いてないし、その美少女達と付き合いたいとかは思わないが。

 

見るだけならタダってやつだよな。

 

因みにベルもその美少女目当てでこのオラリオに来たらしい。…可愛い顔して意外とやるなこいつ。

 

そんなこんなでこの世界の情報を粗方聞き出したのだが…今度は逆にベルの方から俺に対する質問コーナーが始まった。

 

どうにもベルは英雄に憧れているらしいので、この俺佐藤カズマとその仲間達が歩んできた軌跡を聞かせてやった。

 

……若干脚色はしてるが。

 

それがまあハマった。『こんな英雄譚聞いた事ないです!もっと聞かせてください!!』みたいな。

 

世間では『卑劣マスターカスマさん』だの『ド腐れ外道のクズマさん』だの謂れのない誹謗中傷を身に受けている俺だが、やって来た事を考えると普通に英雄譚に出てくる英雄な訳だ。……何回も死んでるけど。何ならコボルトに袋叩きにされて死んでるけど。

 

だがそこら辺を省いてアイツらの碌でもない性癖だの趣味だのをすこーしマイルドにすると……結構良い感じの英雄譚が出来上がった。

 

そしてそれをベルに話してやってる。

 

……こんな尊敬の眼差し受けたのはアイリス以来だ。凄く気持ちいいです。

 

「他には…そうだな。……世界を蹂躙し続けた機動要塞デストロイヤーを俺の指揮の下見事に討伐した話でもするか?」

 

「機動…要塞……デストロイヤー……!!は、はい!聞かせてください!!カズマさんの英雄譚!!」

 

「ははっ、そう慌てるなよ……ん?何だこの音?」

 

ガラガラガラガラ…岩が崩れ、落ちていく音が聞こえる。

 

……落石でもしたか?

 

「こ、この音は……!か、カズマさん!下がってください!モンスターが来ます!!」

 

「モンスター?……さっき言ってたゴブリンか?」

 

「はい!恐らくは!!」

 

…ゴブリンか……ゴブリン位だったら俺でも倒せるのでは?

 

ここは一階層、しかも相手はゴブリン。雑魚の代名詞ゴブリンである。

 

「……来るっ!」

 

「「「「ギャッギャッギャ!!!!!!」」」」

 

……クリエイトウォーターからのフリーズでハメ殺せそうだな。

 

…ふっ、ベルに俺の実力を見せておいてやるか。

 

「下がってな、ベル」

 

「え!?か、カズマさん!?」

 

「見せてやるよ。……魔王を倒したカズマさんの力をな」

 

「!!!!」

 

ゴブリン共は明らかにひ弱そうな俺が出てきた事で戸惑っているのか、一瞬止まった。

 

その一瞬が、命取りになる事を知らずに。

 

「行くぜ…『クリエイトウォーター』!からの『フリーズ』!」

 

勢いよく差し出した掌から水魔法が飛び出しそれを凍り付かせる事によって奴らの動きを………。

 

「「「ギャッギャ?」」」

 

……あ、あれ?

 

「か、カズマさん?」

 

後ろから不安そうな声が聞こえてくる。

 

…そう言えばこの世界って恩恵がないとスキルも魔法も使えないってベルが言ってたような……。

 

いやでもそれって異世界人の俺にも適用されるの?嘘だろ?

 

……うん、成る程ね。

 

「ご、ゴブリンってよく見ると可愛いと思うの」

 

「「「「ギャッギャッギャッ!!!!!」」」」

 

「ひいぃぃぃぃぃぃ!!!!!べ、ベル!ベルさん!!たすっ、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!!?!?!?!?」

 

この後ゴブリン達はベルさんが倒してくれました。

 

……ボソッと呟かれた『もしかしてカズマさんって滅茶苦茶弱いんじゃ……』ってセリフはゆんゆんの『カ、カズマさん…最低……』並の威力がありましたとさ。

 

……くっそ!俺の異世界人生こんなんばっか!!

 

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