この素晴らしいダンジョンにカズマさんを!   作:ぽーぴー

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リヴェリア様…何故こんなに壊れてしまわれたのですか……


このハイエルフ様にご自制を!

 

「さあカズマ、お前の魔法について詳しく聞かせてくれ!そしてそれを私に撃ってくれ!なに遠慮はいらん、さあ早く!!」

 

「リヴェリア様!落ち着いてください!ステイですステイっ!!」

 

ロキに誘われるがまま頭のおかしい狂人エルフさんの隣に座った俺だが、早速後悔しています。

 

「先程ベートに行使した魔法でも拷問魔法でも何でも構わない!とにかく未知の魔法を喰らわせてくれ!かの静寂、アイズ、レフィーヤ以来の期待の新星、それがお前だサトウカズマ!お前の欲望の赴くまま、私の身体を自由に……!」

 

何口走ってんだこのエルフっ!?マジで頭ダクネスってるのか!?

 

変態ドMお嬢様なのか!?マゾセイダーなのか!?

 

頼むから俺のエルフに対する幻想をこれ以上壊さないでくれ!

 

「リヴェリア様!お願いですからこれ以上エルフ族の品位を地に落とさないでください!!ハイエルフとしての自覚を持って下さい!!」

 

山吹エルフさんがバーサクエルフに向かってど正論をぶちかます。

 

うん頑張れ!あんたが最後の希望だ!!

 

だがそれを受けた狂人エルフは、あたかも山吹さんが間違ってるかのような神妙な面持ちで口を開いた。

 

「レフィーヤよ、品位を保てばモンスターは倒せるのか?」

 

「え?な、何ですか急に……」

 

「品位とやらを保てばモンスターは倒せるのかと聞いているんだ!早く答えろ!」

 

「ひんっ!?た、倒せないです!倒せないと思いますはい!!」

 

「そうだろう?ならばそんな無駄な物は捨ておけ、我々は冒険者だ。無垢なる人々を守る為に強く有らねばならない。故に、未知なる魔法を受け強くなる機会を逃すことなど有ってはならないのだ!……それが静寂達に託された次代の冒険者たる我らの役割であり責任だと思っている。……私は何か間違った事を言っているか?レフィーヤ」

 

「………い、言ってないです(何それっぽい事言ってるんですか!このポンコツハイエルフ様!!……って叫びたいですけど流石に立場が終わります!アイズさん助けてください!!)」

 

「(ごめんねレフィーヤ……私もどの口が言うんだろう……って思ってるけどこのリヴェリアと会話するのはちょっと………疲れるから)」

 

「(そんなっ!?)」

 

頭のおかしい狂人娘の愛弟子達が、アイコンタクトで壮絶な意思疎通を行っているのを知る由もないハイエルフ様は止まることなく言葉を続ける。

 

「だろう?ならば私の邪魔をするな、これは絶好のシチュエーション……!」

 

「いやお前それっぽい事言って自分の欲望満たしたいだけだろうが!なにちょっとまともな人間ぶってるんだ!山吹エルフさん苛めんなよ可哀想だろ!?」

 

「(((よく言った(てくれました)サトウカズマ!!)))」

 

流石に我慢の限界が来た俺は思わず口を開き、このクソバカエルフに物申す。

 

あたかも正しく聞こえる理論武装で趣味嗜好性癖を満たすのは俺の仲間の常套手段だ!それを見逃してやるカズマさんだと思うなよ!?

 

「……な、何のことだか分からないな」

 

「おい目逸らすなこっち見ろ!俺の目を見て今山吹さんにほざいた事もう一度抜かしてみろ!言えるもんならな!!」

 

「ぐっ…レ、レフィーヤからも何か言ってやってくれ」

 

「私には何も聞こえませんでした」

 

「レフィーヤ!?」

 

山吹エルフさん改めてレフィーヤさんに梯子を外されたことに対して、何故かショックを受けてるリヴェリアさん。

 

いや当たり前だろ…寧ろなんでこの流れで味方してくれると思っちゃったんだよ……残念美少女すぎるだろ。

 

「レフィーヤ…何故……何故だ……何故なんだレフィーヤ……!」

 

「リヴェリアの……自業自得だと思う………」

 

「アイズまで!?私の味方は居ないのか…副団長だぞ私は……ただ未知の魔法を知りたかっただけなのに……もう知らん、私も飲む!寄越せロキ!」

 

「お、おおう…リヴェリアが飲むなんて珍しいな……程々にするんやで?」

 

しょんぼりと不貞腐れ酒盛りを始めた彼女を見てこれ幸いと思ったのか、ロキ・ファミリアの団長フィン・ディムナが話しかけてくる。

 

「うちの仲間が何度もすまないね…いや本当に」

 

「気にするなよ、頭のおかしい子の相手は慣れてるからな。……悲しい事に」

 

「そう言って貰うと助かるよ……それで話を進めたいんだけど、あの時ダンジョン内で起きた事を君の視点から聞かせてくれるかい?」

 

そう尋ねてくるフィンに、俺は魔法狂いが反応しないよう話を脚色しながらあの時あった全てを話した。

 

当然歩く嘘発見器に引っかからない様にあからさまな嘘は言っていない。

 

あくまで脚色である。

 

因みに脳金髪と新しい財布(ベートさん)をおちょくった事は話していない。

 

いや無力化した事は普通にバレてるから無駄だとは思ったが、その手段が魔法である事は恐らく気付かれてはいないので話さなかった。

 

魔法使用がバレてない根拠は簡単だ。……だって一番反応しそうなリヴェリアさんがそこに関しては問い詰めて来なかったからな。

 

知ってたら絶対『ドレインタッチ!?フリーズ!?クリエイトウォーター!?ずるいずるい!私も喰らいたい!!』って駄々を捏ね始めるに決まってる。

 

「成る程…ではやはり、君達は僕達の恩人と言う訳だね。…もし死者が出ていたら我々の名声は地に落ちていただろう。……ファミリアを代表して深く感謝を送らせて欲しい。必要であれば謝礼も」

 

ベルが向かわなかったら見て見ぬふりするつもりだった俺からすると結構気まずいんだが。……まあいいか、都市最強派閥に貸しを作れるチャンスだ。ナイスベル!

 

「感謝するなら俺じゃなくてベルに送ってやってくれ。あいつが動かなかったら俺は逃げる気満々だったからな。……あと謝礼って言うならヘスティア・ファミリアからロキ・ファミリア全体に貸し一つって事で」

 

「ああ。……ベル・クラネル、彼の勇気ある行動に敬意と感謝を。……貸しの件も当然受け入れさせて貰う。"ロキ・ファミリア全体"に貸し一つだね?」

 

流石に気付くか…まあ分かりやすかったしな、ヘスティア・ファミリアからロキ・ファミリア全体、つまり団員全てに貸し一つって訳だ。

 

「折角の機会だからな、欲張り過ぎってんならやめるが」

 

「いや構わない。それは寧ろ、当然の権利だ」

 

「おっ、中々話が分か「かずまー!まほーがほしい!まほーをくれ!ひっく…すりぃーぷ……すりーぷ!」……おい、誰だこのあたおかエルフにここまで酒飲ませたのは!?ロキお前か!?」

 

フィンとの実りある話が、何故かやたら出来上がってるハイエルフ様に肩を組まれる事により中断される。

 

あっ、胸が当たっ……てか酒臭っ!?どんだけ飲んだんだこいつ!?エルフって酒癖悪いのか!?

 

「う、ウチやないで!?リヴェリアが勝手に飲んだんや!馬鹿みたいに強い酒を!!」

 

「いや止めろよ!「ミツルギダッ!すりーぷ!」うるせえなこの酔いどれエルフ!静かにしてろ!てかレフィーヤさん!?レフィーヤさんで良いんですよね!?」

 

「へ!?は、はい…レフィーヤ・ウィリディスと申します……」

 

「あなたがこの残念ハイエルフ様のお世話係じゃないんですか!?何目離してんだっ、しっかりしろ!」

 

「す、すいません!?…じゃないですよ!お世話係ってなんですか!?その方はエルフの王族、ハイエルフのリヴェリア様ですよ!?不敬にも程があります!」

 

…………………へーほーふーん。

 

そういう事言うのか……。

 

「さっき見捨ててた癖に」

 

「!?み、見捨ててません!あれはそのっ……ほ、本当に聞こえなかっただけですから!私はエルフです!リヴェリア様を見捨てるなど有り得ません!」

 

胸を張り堂々とそう言い張るレフィーヤさん。

 

……言質はとったぞ?

 

「じゃあほら、この酔いどれハイエルフ様の介抱よろしくな!」

 

「えっ!?」

 

俺はレフィーヤさんに、かなり面倒臭いことになっているリヴェリアを押し付ける。

 

「んむぅ…れふぃーや?ふふふふ……我がまほーを宿したどーほー……おいしそうだな……ぼうしょくにならって……わたしも………ごくりっ」

 

「ひいっ!?し、失礼します!サトウカズマさん!あとは頼みました!」

 

「あっおいこら逃げるな!」

 

一瞬で種族単位の王女を見捨てた薄情なエルフさんがそこにいた。

 

「……がぶりっ」

 

「「「「リヴェリア(様)!?!?!?!?」」」」

 

「いったっ!?いきなり何しやがるリヴェリア!?」

 

「みちなるまほーを宿したおまえをとりこみたいのだ!」

 

何言ってんだこいつ!?マジで頭おかしいのか!?

 

素でぶっ壊れてるやつが酒飲むとこうなるのか!?

 

ダクネスとめぐみんを足して二で割らなかったどころじゃない!

 

ダクネスとめぐみんとアクシズ教徒を合わせて融合覚醒した化け物だ!

 

魔王より強いかもしれないと噂のバニルさん!助けてくれ!!

 

「むぅ…なぜこんなにかたいのだ……だがあきらめんぞわたしは!」

 

「待ってくれリヴェリア!?いや本当、待ってくれリヴェリア!ハイエルフとして、いや人としてそれは越えてはいけない一線だ!落ち着くんだリヴェリア!」

 

「ドワーフでもせんぞそんなこと!?」

 

「そうですよリヴェリア様!冗談抜きで世界四大クエストが始まっちゃいます!!エルフ族が色々終わります!!」

 

「リ、リヴェリア!?ちょい落ち着きいや!?ほら、アイズたんが魔法使ってくれるで!?」

 

「えっ!?」

 

「あ、あたしたちも止めたほうがいいかな!?」

 

「いや無理でしょ…目がキマッてるわ」

 

「あ、あれは不味い!?今直ぐ……!ってシル!?ど、どうしたのですか!?」

 

な、なんでもっ…なんでもないから……!大丈夫だから……!」

 

「みち!まほー!すばらしい!かずま!わがみのかてとなるのだ!」

 

こ、これ以上はマジで食われるっ!?こ、こうなったら……!

 

「いい加減目覚ませ!『セイクリッド・ハイネスヒール』!」

 

最高位の回復魔法、セイクリッド・ハイネスヒール。

 

これは傷だけではなく身体に悪影響を及ぼしている事象全てを回復する究極の癒し魔法だ。……アホやらバカやらには効かないが。

 

アルコールも言ってしまえば毒みたいなもん。

 

だからこの魔法なら……。

 

「……む?カズマ、何故私はお前の肩に噛み付いているのだ?」

 

ギガ酔いしてる酔いどれエルフを素面に戻せるって訳だ。

 

……最悪だ!何でダンジョン探索より魔力消費が激しいんだ!?

 

こんなくだらない事で最高位魔法使わせるんじゃねえよ!頭のおかしいハイエルフめ!

 

「いいかリヴェリアよく聞け。お前は酒を飲んで酔っ払った影響で理性と倫理を失いレフィーヤと俺を捕食して一つになろうとしたんだ。それを俺が魔法で酔いを飛ばす事で防いだ。……分かったか?」

 

そこまで聞くと、リヴェリアは目を見開きワナワナと震え始めた。

 

…流石にこいつも仲間を捕食しようとした罪悪感に苛まれてるんだろうな……。

 

「ま、魔法!?魔法を喰らったのか私は!?どんな魔法だった!?」

 

……うん、知ってた。

 

「お前ちょっとは反省しろよ!俺は別にいいけど仲間のエルフを食べようとしたんだぞ!?この頭のおかしいハイエルフめ!」

 

この糾弾に今回ばかりはこの狂人も罰が悪かったようで、申し訳無さそうな表情をしながら。

 

「う…そ、そうだな……す、すまなかった……レフィーヤも……その…ご、ごめんなさい……」

 

頭をぺこりと下げるのであった。

 

「リ、リヴェリア様!?お辞めください!わ、私は気にしてませんから!大丈夫ですから!」

 

「……ほ、本当か?」

 

「は、はい!いつもの事ですから!!ですからそんな泣きそうな表情をしないで下さい!リヴェリア様らしくありませんよ!(魔法が絡まなければ本当に尊敬できる方なのに…どうしてこうなっちゃったんでしょうね……)」

 

「すまないカズマ…度重なる無礼、もう僕はどうして良いのか分からないよ…貸し借り関係無く何でも一つ命令してくれ……その時が来たら協力は惜しまないつもりだ。……いや本当に」

 

「団長に何でも一つ命令権ですって!?」

 

「ティオネ!すていだよすてい!」

 

フィン…苦労してるんだなあ…分かる、分かるぞその心労……仲間がやらかして方々に謝罪周りに行くの滅茶苦茶疲れるよな……くっ、イケメンで都市最強派閥の団長だって言うのに……!全く羨ましくないんだが!

 

寧ろ同情するまであるんだが!

 

リヴェリアのぶっ壊れ具合は俺の仲間に匹敵、あるいは凌駕するレベルでやばい。それが副団長だもんなあ……任せろフィン!俺はお前の気持ち凄く分かるから!責めたりしないから!味方だから!

 

「おいおい…そう堅苦しいこと言うなよフィン。俺たちは同じ冒険者だろ?つまり一蓮托生の同志って訳だ。困った時はお互い様だろ?……それにリヴェリアみたいな欲望に忠実な女の相手は慣れてるからな、別に何の問題もないさ。だからそう気にすんなよ」

 

「………そうだね、困った時は助け合うのが正しい冒険者の姿だ。有難うカズマ、僕は君を尊敬する」

 

か、堅いなあ…マジでそんなに気にしなくていいんだが……アイツらのやらかしに比べたらリヴェリアのこれくらい日常茶飯事みたいなもんだぞ……今更だが本当に良くあのメンバーで魔王討伐まで果たせたな、俺ってもしかしなくても相当凄いのでは?……まあ俺一人じゃ無理だったろうけどな。

 

「あっはっはっは!カズマお前中々ええこと言うやないか!全部本音なんがホンマ小気味いいわ!そやでフィン!あんま堅すぎるのも考えもんやで?カズマの言う通りサッパリしとけばええんや!」

 

「はは、堅すぎるとか壁神様が言うと説得力が違いますねロキ様」

 

「ぶちのめすぞゴラァ!」

 

突っかかってくるロキを軽くいなして、改めて席に座る。

 

……いや普通に座ったけど俺もう帰っていいのでは?

 

「今度こそ堅っ苦しい話は抜きで楽しく飲むで!ほれカズマも!」

 

…まあ楽し気に酒瓶差し出されたら受け入れるしかないのだが。

 

だって俺、冒険者だし?

 

「……勿論奢りなんだろうな?」

 

「当然や!……ええやろ?フィン」

 

「愚問だね。好きなだけ飲み食いしてくれカズマ」

 

「よっしゃ!団長様の許可が降りたぞ!リュー!この店で一番高い酒と食い物を持ってきてくれ!」

 

「!は、はい!!」

 

合法的に人様の金で飲み食い出来るんだ。遠慮なんてバカがやる事だよな。

 

思う存分楽しむことが、今この場で出来る最適解だ!

 

「ふっ、容赦がないなカズマ。それでこそ冒険者だ」

 

何時の間にかシレッと横に座っているリヴェリアさんが何かドヤ顔で語っている。

 

「お前加害者の癖によくそんな自然な態度で座ってられるな」

 

ちょっとした皮肉を投げかけてやる。

 

まあどうせ『魔法探究のためにした行為だ!反省はしているが、後悔はしていない!』とか返してくるんだろうなあ……と思っていたら。

 

「……お、怒っているのか?そ、その…ご、ごめんなさい……」

 

泣きそうな顔でしょんぼりと……。

 

くっそ!頭おかしいのに何でこういう所は常識人なんだよ!?

 

俺が悪者みたいじゃねえか!

 

「べ、別に怒ってないから落ち込むなよ!ほら、魔法かけてやるから!『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!」

 

「!?こ、これは……!芸達者になる魔法だと!?素晴らしい!素晴らしいぞカズマ!」

 

何で分かるんだとか不粋な突っ込みはしない。あえて言うならリヴェリアだからだろうか?

 

「『我が名はアルフィア!行き遅れ年増エルフとか言ってごめんなさい!』……凄い!凄いぞカズマ!」

 

た、楽しそうだなー…アルフィアって人、なんかごめんなさい。

 

「なんやそれ!?めっちゃおもろいやん!な、なあカズマ…胸を増量する魔法とかは……」

 

「ないよ」

 

「即答すんなや!?」

 

無いものはないんだからしょうがないだろ。

 

「もういっそのことパッドでも入れてみたらどうだ?」

 

「……笑わへん?」

 

「……………わ、笑わないよ?」

 

「はいダウトや!こんのクソガキ!ぶっ飛ばしたるわ!」

 

「おいやめろ酒が溢れる!?」

 

「『ふっ、雑音共め……消え去るが良い!【福音】(ゴスペル)……【炸響】(ルギオ)……!』……最高の魔法だなこれは……!おいカズマ!他にはないのか!?」

 

「今それどころじゃないんだよ!この壁神なんとかしろ!」

 

「壁神って言うなーっ!!!!泣くぞ!?ホンマに号泣するぞウチィィィィィ!!!!!」

 

彼らの酒宴は、それはそれはもう騒がしかった。

 

────おまけ(リヴェリアさん)────

 

「また貴様か…今度は何だ、英雄の作法でも教わりに来たのか?」

 

「そんなものは良いからとっとと魔法を撃て。お・ば・さ・ん」

 

「お前本当いい加減にしろよこの行き遅れ年増狂人ハイエルフが!」

 




次回で酒場回は多分終わります。長くてすいません
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