この素晴らしいダンジョンにカズマさんを!   作:ぽーぴー

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この素敵な家族に入団を!

ベルのおかげでダンジョンから無事に脱出出来た俺の目の前に広がる景色。

 

それはあらゆる種族が暮らすとされる、世界の中心点。迷宮都市オラリオ。

 

それを見て俺は……。

 

「…この馬鹿みたいに高い塔がバベルか……あのロリっ娘が居なくて良かったぜ。居たら絶対『我が前世は破壊神!そんな我がこれほどの塔を見て破壊衝動を抑える事が出来ようかっ!いや、出来ないっ!神ごと吹き飛ばしてやりますよ!そして私は、神を殺す者(ゴッドスレイヤー)の称号を得るのです!!』だのなんだのうるさかっただろうからなー」

 

そんな感想を溢していた。

 

「あ、あはは……」

 

……?何で笑ってるんだ?

 

「……別に冗談じゃないからな?」

 

「えっ!?」

 

「いやマジで」

 

「…か、変わった人なんですね。その方……」

 

少し引いた目でこっちを見てくるベル。

 

…えっ、何でそんな引………いやうん、まあそうか。その反応が普通か。

 

冷静に考えると前世が破壊神だの神ごと吹き飛ばすだの普通に頭おかしいわ。

 

アクセルでこんな発言しても『またやってるよ』で終わりだからなあ…。

 

良い都市だな、ここ。常識的で。

 

「でもこの塔には神様がいらっしゃるので、もしそうなったら絶対止めて下さいね?とんでもないことになっちゃいますから」

 

……止める?アイツを?三度の飯より爆裂魔法が好きなアイツを?

 

毎日毎日特に意味もなく爆裂魔法をぽんぽんぽんぽん撃ちまくるアイツを?

 

……いや無理だろ。

 

そこまで考えて、俺は投げやりに答えた。

 

「出来るだけ頑張るよ」

 

「絶対止めて下さいよっ!?」

 

ほんとお願いしますよ!って念押ししてくるベルは何だか泣きそうだった。

 

…………。

 

「うん。だから頑張るって。俺が頑張っても止められなかったらそれはもう仕方のない事なんだ。諦めようぜ」

 

「何他人事みたいに言ってるんですかっ!?あなたの仲間でしょう!?」

 

やだよ面倒くさい。

 

「ベル。世の中にはな、無理な物は無理って偉大な言葉があるんだ。だからもし、俺が頑張っても無理だったらそれは俺のせいじゃなくて世界が悪い。よって俺は悪くない。分かったか?」

 

「全然ちっとも分かりませんよ!止めてくださいね!?絶対に!!」

 

止まるかなあ……。

 

「……おっ、そう言えばこの塔には神様が住んでるんだっけな。最上階には誰が住んでるんだろうな」

 

「話逸らさないでくださいよ!?…一番上、ですか?……美の女神様が住んでるって噂は聞いた事が有りますけど……」

 

「美の女神!?美の女神だと!?……い、いや俺は騙されない。どうせアレだろ?見た目は良くても中身が残念な女神様ってオチだろ?俺はそんな見え見えの罠にハマるほど甘くはない」

 

「不敬にも程がありますよ!?もし聞かれたらどうするんですか!?」

 

小声で叫びながら突っ込むと器用なことをやってのけたベルは、慌てながら周囲をキョロキョロ見回している。

 

そんなベルに俺は自身の理論を話してやることにした。

 

「いやだってこんな馬鹿みたいに高い塔のてっぺんに住んでるんだぜ?絶対頭悪いと思う」

 

「なんですかその自信!?こ、根拠はあるんですかっ!?」

 

「昔から馬鹿と煙は何とやらってよく言うだろ?つまり、この都市で最も高いところに住んでる女神様は馬鹿って事だ」

 

「暴論にも程があるっ!?」

 

本人に聞かれたら大変なことになりますよとベルが言ってるが知らん。て言うか大丈夫だろ、聞こえるわけないし。

 

 

……因みにこっそりベル君を観察していた神フレイヤにはバッチリと聞こえており、馬鹿馬鹿言ってくる謎の男に頬が引き攣りそうになるのを抑えるのに必死だった。

 

そんな主神の様子にバベルの頂上では『殺しますか?』『……いえ、大丈夫よ。気にしてないもの』『?いえしかし……』『気にしてないの』『は、はい……貴女がそう仰られるなら』と物騒な会話が繰り広げられていた。

 

本来なら即座に殺される所だが、神フレイヤの気紛れにより、''幸運にも''佐藤カズマは命を拾った。

 

そして地上──。

 

「ところでカズマさん。……何処か行く宛はあるんですか?」

 

「んー?……ないな」

 

「!!そ、そうですか……あ、あのっ、じゃあもしよければ僕のファミリアに来ませんか?」

 

「え?良いのか?自分で言うのも何だが結構怪しいぞ俺」

 

「だ、大丈夫……だと思います。カズマさんはその…悪い人ではないと思ったので」

 

「……本当に良いんだな?吐いた唾は飲み込ませないぞ?」

 

「…はい。大丈夫です。カズマさんさえ良ければ僕の家族(ファミリア)になってください」

 

「…そこまで言われちゃしょうがない。……頼むぞベル!俺の命はお前にかかってるからな!!」

 

「重くないですかっ!?」

 

「ははは、そんな事ないさ。…俺は昔親泣かせのカズマさんと呼ばれた男だ。だからお前が養ってくれなかったら死ぬ。飢え死ぬ」

 

「働けっ!!」

 

「おっ、いいな。俺たちはもう仲間で対等だ。だから敬語も要らないし名前も呼び捨てで構わないぞ」

 

「えっそれは…ありがとう……じゃなくて!働いてよカズマ!!」

 

「……さっきも言ったろ?無理な物は無理って。俺が働けないのは働けない世間が悪いのであって俺はちっとも悪くない。結論世界が悪い」

 

「なに開きなおってるの!?僕のファミリアは団員一人でカズマで二人目!!仲間で対等なんだったら僕と一緒に働いてよっ!!」

 

「……働かなきゃ稼げない世の中っておかしいと思うんだ。だから俺はそんな世の中を変える為に頑張る。お前はそんな俺を支える為に頑張る。……ほら、対等だろ?」

 

「どこがっ!?」

 

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