この素晴らしいダンジョンにカズマさんを!   作:ぽーぴー

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この優しき鍛治神に懇願を!

 

「────という訳でね?ボクのあれは何処ぞのゲス野郎が吹っかけて来たただの罰ゲームの結果であって、決して頭がおかしくなったって事じゃないんだ!……いや穿てとかアイドルモードは罰ゲーム関係なく勝手にやっちゃったけど……で、でもヘファイストスが心配する事は何一つないぜ!?ボクは落ち着いてる正常だ普通だ!!」

 

「……………」

 

ボクの頭が壊れてしまったと思い込んで涙ぐみながら、ミアハの所に連行しようと気絶を試みてくるヘファイストスに、あの奇行にはちゃんとした理由があったことを物凄く丁寧に説明する。

 

……カズマ君、改めて思い返すと君の罰ゲームってただの自己紹介だったよね?何でこんな神生アイドル、アル☆ゴッド様なんてものが生まれてるんだい?……あっ、ボクの自業自得?はいそうですね…否定できないです。

 

帰ったら『わたくしヘスティアはお金に目が眩んで伝説を作ってきて参りました。助けてください』って書いたプラカードでもぶら下げながら、カズマ君に土下座……いや、土下寝でもしてみようかな?きっと驚くぞ。

 

「……ははっ」

 

その光景を思い浮かべるだけで自然と笑い声がこぼれ落ちていく。

 

きっと、ベル君は『伝説!?す、凄いですよ神様!……でも助けてくださいってどういう事ですか?』みたいに目を丸くして素直な反応を見せてくれるんだろうなあ……。

 

…カズマ君は……『伝説?知るか、自分で蒔いた種は自分で回収してこい。元三大なんたら様でもそれぐらい出来るだろ』とか、面倒臭そうに言ってくるんだろうなあ……でも、なんだかんだ言いながらもその後助けてくれるのが目に見えてるからあざといんだよなあ……カズマ君は。

 

「……ふふっ」

 

最近家族になったばかりの規格外の少年サトウカズマに、ボクもベル君も、ロキやフレイヤといった癖の強い神々でさえも振り回されている。

 

不変である筈の神が、どんどん変わっていってしまっている。

 

……だけどその事実に一切の不快感を感じない。

 

きっとそれは、ボクだけじゃなくてロキやフレイヤでさえも────。

 

その事が面白くて、可笑しくて思わず笑いが溢れてしまった。

 

そんなボクを見てヘファイストスは────。

 

「……ねえヘスティア、その子…カズマって子は本当に大丈夫なの?貴方に危害を加えたり……その……あ、危ない子だったりしない?」

 

何処か言いづらそうに、だけどこちらを案じてくれているのが分かる表情でそう言ってきてくれて……。

 

…ああ、なるほど。心配してくれてるのか、ヘファイストス。

 

「大丈夫なもんか、だってカズマ君だぜ?クズだしゲスだし直ぐ下着剥いてくるし、罰ゲームのレベルは普通に頭おかしいし、口は悪いしボクの事駄女神とかヒモ神とかクソ神とか呼んでくるし、ベル君には変な冗談言うし、厄介事は引き寄せてくるしで、彼が来てからボクの心が休まる日なんて一日足りともありはしないのさ。……本当───困った子だよカズマ君は」

 

『この駄女神が!泣かせてやる!!』

 

『上等じゃないかい!ボクの本気を見せてやる!!』

 

『あ、あの二人とも……ちょっと落ち着いて……』

 

『『今それどころじゃないんで!!』』

 

……思い返すと、一週間とは思えないほど濃密な日々を過ごしている気がするよ。……大変だなぁ……本当に。

 

「!……ヘスティア、貴方……」

 

大変だし、苦労は絶えないし、気が休まらなくてうんざりするぐらいだ。

 

だけど────。

 

「でも…でもね、ヘファイストス。……ボクは今、とっても楽しいんだ。……カズマ君が来てからベル君は前にも増していい表情をする様になったんだ。……やっぱりあのぐらいの歳の子には同性の友達が必要って事なのかな?毎日凄く楽しそうで……そんな子供達を見てるとボクも幸せな気持ちになっていくんだ。……だからボクは大丈夫だよ、ヘファイストス」

 

「……ヘスティア」

 

「それにね?カズマ君は全然悪い子なんかじゃないよ。…分かりにくいけど、あの子はとても優しい子だ。……なんだかんだと憎まれ口を叩きながらも、最後まで仲間や家族の事を見捨てる事なんて出来ない子なんだよ、あの甘くて弱っちい男は」

 

悪ぶった言動をしてみたり、卑怯卑劣は当たり前的な戦法を取るせいで、勘違いされやすいだろう彼の本質。

 

────ベル君にだって負けちゃいない、輝かしいまでの善性。

 

…それが何故か変な方向に出力されちゃうのも、カズマ君の魅力の一つなのかもね。

 

「だからボクは、他の神々や誰に何と言われようと、彼を手放すつもりはないよ。……彼本人が自分の意思で離れていかない限りはね」

 

……その日はきっと、永久の別れになるんだろうけど。

 

「……はぁ…分かったわヘスティア。……ごめんなさいね、貴方の大切な子供を悪く言ったりなんかしちゃって」

 

「はは、気にしないでおくれよ。……ボクも君の立場だったら主神にあんな事させる子供とか大丈夫かい?縁切ったほうが良いんじゃないかい?とか思っちゃうだろうしね」

 

「……そう言って貰えると、助かるわ」

 

茶化す様なボクの言葉に先程まで強張っていた肩を緩ませ、安心した様に微笑むヘファイストス。

 

…こ、これは……良いタイミングなのでは?寧ろ今しかな……って待て待て!?ボクは一体何をっ!?罪悪感につけ込んで依頼達成だなんてまるでカズマ君の手法じゃないか!!落ち着けボク…落ち着くんだヘスティア……!!

 

「……ねえヘスティア。そう言えばあんた、ここで久しぶりに顔を合わせた時、私に会いたかったって言ってたわよね?それって……そのカズマって子が関係してたりするのかしら?」

 

「みぐっ!?そ、それは……ソノー……アノー……エー………」

 

「……ぷっ、ふふっ……!あんた、さっきまで凄く格好良かったのに……!やっぱりヘスティアはヘスティアね。……少しだけ安心したわ」

 

「うぐっ……か、揶揄わないでくれよヘファイストス……」

 

「ふふふ…ごめんなさい。……それで、答えてはくれないのかしら?」

 

そう溢す神友の顔が、少しだけ寂しそうに見えたのはボクの目の錯覚ではないはずだ。

 

……覚悟を決めろ、ヘスティア!

 

「ヘ、ヘファイストス!お願いがあるんだっ!!」

 

「!……何?」

 

「ボ、ボクの子供達に武器を作ってあげて欲しいんだ!!お金はボクが一生かけてでも必ず返す!!だからお願いだっ!!ベル君とカズマ君の力になりたいんだ……!!見てるだけなのは嫌なんだっ、彼等の力になりたいんだ……!!だから……!!」

 

────お願いします。

 

……声は、返って来ない。表情も分からない。

 

ボクはただ、祈りながら頭を下げ続ける事しか出来ない。

 

「……一つ、聞かせて。……貴方にとってベル・クラネルとサトウカズマは一体どんな存在なの?」

 

頭上から響き渡る声。

 

ベル君とカズマ君がボクにとってどんな存在か、だって?

 

そんなの───。

 

「────────家族だよ。他の何者にも変え難い、大切な家族だ。絶対に失いたくない、ボクの心の灯火だ。彼等を失ってしまったらボクの心は壊れるだろうね。そう確信するほどボクの中で大きな存在があの二人だよ」

 

────英雄になりたい少年と、英雄になった少年。

 

きっとこの先、想像も付かない様な困難が押し寄せてくるだろう。

 

そんな時、少しでも彼等の力になりたい。だから武器が欲しい、彼等の旅路に着いていってくれる様な強力な武器が。

 

それを作れるのは───ボクが知る限りでは彼女だけ。

 

「……お願いだヘファイストス、無茶を言ってるのは分かってる。……でも君しかいないんだ。君が作った武器が良いんだ。……ううん、君が作った武器じゃないと嫌なんだ……!」

 

だからどうかと続けようとするボクの言葉を遮って。

 

「……はぁ…分かったわ。鍛治神として、そこまで言われちゃ引き下がれないもの。……ただし、あんたも手伝うこと。……それが条件」

 

「……え?」

 

肩を竦めてそう溢すヘファイストスの言葉の意味を遅れて理解してボクは。

 

「ほ、本当かい!?本当だね!?もう取り消せないぜ!?」

 

「それはこっちのセリフよ。……借金、踏み倒すんじゃないわよ」

 

「!う、うんっ……勿論さ!!」

 

さあこれから忙しくなるぞーと前向きな疲労感に覆われるボクの肩に、背後からぽんっと手を置かれて。

 

「いやードチビの家族愛、泣かせてもろたで?」

 

「ふっ…ヘスティア……貴方の家族愛、堪能させて貰ったわ」 

 

何故かやたらと後方理解者面でそんな事を……。

 

「みぎゃっ!?ほ、抱腹絶倒女神達!?い、いつから起きてたんだい!?」

 

ボクのその言葉に二人は仲良く顔を突き合わせて。

 

「いつからって……なあ?」

 

「ええ……そうね」

 

「「────という訳でね?ボクのあれは何処ぞのゲス野郎が吹っかけてきたただの罰ゲームであって、決して頭がおかしくなったって事じゃないんだ!……いや穿てとかアイドルモードは罰ゲーム関係なく勝手にやっちゃったけど……で、でもヘファイストスが心配する事は何一つないぜ!?ボクは落ち着いてる正常だ普通だ!!」」

 

「「……辺りから?」」

 

「つまり最初からって事じゃないかい!!よく静かに出来てたもんだよ!!」

 

「「……疲れたし」」

 

「そりゃ気絶するだけ笑えば疲れるだろうさ!この抱腹絶倒女神ーズ!!」

 

「「……てへっ♪」」

 

「ムカつくーっっっ!?!?!?!?何だこいつら!?ぶっ飛ばしてやる!!」

 

「ちょ、ちょっとヘスティア!?」

 

────名前のおかしい爆乳娘vs胸囲のおかしい沈没娘vs様子のおかしい爆笑娘──── Fight!




様子のおかしい爆笑娘は感想欄からパクりました。
次回神会終わりですかね。
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